アジアを代表するユネスコの自然遺産10選

気候帯別にみるユネスコ自然遺産
寒帯エリア
バイカル湖/ロシア
多種多様な自生植物
レナ川の柱群/ロシア
ヴランゲリ島/ロシア
ウランゲリ島へのアクセス
温帯エリア
旅行のベストシーズン
青海フフシル/中国
独特の生態系
白神山地/日本
神農架林区/中国
植物学研究の要所
亜熱帯エリア
西ガーツ山脈/インド
生物多様性ホットスポット
キナバル公園/マレーシア
キナバル公園
スマトラの熱帯雨林遺産/インドネシア
フォンニャ=ケバン国立公園/ベトナム
気候帯別にみるユネスコ自然遺産

広大なアジア大陸は、緯度によって全く異なる気候をもつ。極地も含む北部は永久凍土もある寒帯、緯度を下げると年間を通して温暖な温帯、さらに亜熱帯となる。今回は気候帯別にアジアを代表するユネスコの自然遺産を紹介していこう。

寒帯エリア

寒帯に属するのは、ツンドラ気候(気温0度以上10度未満)の北極圏近くと、永久凍土が広がるシベリア北部。冬は非常に寒く、夏も冷ややか。降雪量は多いが、ウィンタースポーツのエリアが少ないので、旅行のベストシーズンは6月から8月にかけての夏の間だ。

写真:Hans-Jurgen Mager / Unsplash

バイカル湖/ロシア

ロシア南東部に位置するバイカル湖は、2500万年前に誕生した世界で最も古い湖。最大水深1741mの世界で最も深い湖で、大きさは琵琶湖のおよそ46倍の3万1500㎢。貯水量も世界一で、地球上にある凍っていない淡水の20%がここにある。「ロシアのガラパゴス」と称され、淡水のみに生息するアザラシ科唯一のバイカルアザラシをはじめ、独特で多様性のある淡水動物が生息している。

写真:Daria Gordova / Unsplash

多種多様な自生植物

ユネスコによれば、バイカル湖西部は針葉樹の森林や草原、東部には松林や落葉樹林といった多種多様な自生植物が広がっているという。

レナ川の柱群/ロシア

サハ共和国の首都ヤクーツクから180kmのところにある自然公園。高さ150mから300mにおよぶ岩の柱がレナ川沿いに続く。夏は摂氏40度、冬はマイナス60度、年間の気温差が100度近くになる極端な気候が、凍結破砕作用と呼ばれる浸食作用をおこし石柱群が形成された。またレナ石柱自然公園は、およそ5憶4200万年前のカンブリア爆発期間中の化石の産地としても有名だ。

写真:Eugene Mutovin / Unsplash

ヴランゲリ島/ロシア

ウランゲリ島保護区には、ロシア北部とチュトコ海の中間に位置するウランゲリ島(7608㎢)とヒラルド島(11㎢)、および周辺海域が含まれる。第四紀の氷河期に氷河で覆われなかったため、この島特有の多様性にあふれた生態系が成形された。世界最大の白クマの繁殖地で、アザラシ、タイヘイヨウセイウチの生息数でも世界最大級。コククジラの餌場でもあり、100種以上の渡り鳥も確認されている。

ウランゲリ島へのアクセス

チュコトカ半島のアナディリから、専門家が率いる探検ツアーがでている。唯一無二の北極圏の風景を楽しむにはツアーに参加する以外の選択肢がない。現地のツアーだけでなく、日本の旅行会社からもウランゲリ島を訪れるツアーが発売されている。

温帯エリア

アジアのほぼ半分が温帯に属している。ロシア、中国、カザフスタン、キルギス、北朝鮮などの国々だ。

写真:Daniele Nabissi / Unsplash

旅行のベストシーズン

温帯エリアでは、標高によって気温や降水量に大きな違いがあるが、一般的には春から夏にかけてがアジアの温帯エリアのベストシーズンとなっている。

写真:Chuttersnap / Unsplash

青海フフシル/中国

チベット高原北東に位置する青海フフシルは、世界で最も広大で高所にある高原で、標高4500mを超える高山と草原から形成される。平均気温が氷点下の極寒の地は、世界の「第3極」とも呼ばれていて、世界で3番目に大きな無人地帯でもある。

写真:JuniperPhoton / Unsplash

独特の生態系

こうしたユニークな地理的条件や気候条件のもと豊かな生態系が維持されており、このエリアに育つ植物の3分の1以上、哺乳類全体の60%、そしてあらゆる種類の草食動物が固有種となっている。

写真:JuniperPhoton / Unsplash

白神山地/日本

本州北部の山間にある白神山地には、「人の影響をほとんど受けていない原生的なブナ天然林が世界最大級の規模で分布」している。8千年前頃に形成されたブナ林には、二ホンツキノワグマ、ニホンカモシカ、ニホンザル、87種の鳥類など、合計で4000種の生き物が生息している。

神農架林区/中国

神農頂と巴東県の沿渡河鎮一帯、そして老君山地区が神農架林区として世界遺産に登録された。中国中央部最大の原生林には、チュウゴクオオサンショウウオ、ウンピョウなど世界的に珍しい野生動物が生息している。

写真:Steven Qian / Unsplash

植物学研究の要所

また植物相、とくに維管束植物が豊富で固有種も多いため、植物学研究の要所でもある。19世紀から20世紀にかけては、世界的に有名な植物採集地だった。

写真:Junyao Yang / Unsplash

亜熱帯エリア

中国南東部、日本の南半分、韓国の南半分、中東の一部が含まれる。東アジアは冬は温暖で夏はかなり雨が多いが、西アジアの夏は暖かく乾燥している。旅行のベストシーズンは晩春と秋、特に5月、9月、10月。しかし、気候は良いが常に晴れているわけではなく、雨が多いこともある。

写真:Takahiro Taguchi / Unsplash

西ガーツ山脈/インド

ヒマラヤ山脈よりも古い西ガーツ山脈には、多くの川の水源がある。緑も豊富で、インド全域の気候に影響を与えている。また世界で最も多様な生物が見られる場所のひとつでもある。

写真:Abhishek Kirloskar / Unsplash

生物多様性ホットスポット

西ガーツ山脈は、世界で最も生物多様性が高いにもかかわらず、人類による破壊の危機に瀕している「ホットスポット」のひとつでもある。ユネスコによれば、ここに生息する鳥類、両生類、爬虫類、魚類といった325種の動植物が絶滅の危機に瀕しているという。

写真:Tejj / Unsplash

キナバル公園/マレーシア

ボルネオ島のサバ州にあるキナバル公園には、東南アジア最高峰のキナバル山(4095m)や、世界最古、そして世界三大熱帯雨林のひとつであるジャングルが含まれている。東南アジアで最も植物多様性にあふれた地域で、特有の植物も多い。

写真:Ryan O'Neil / Unsplash

キナバル公園

標高が高くなるにつれ、緑豊かな熱帯雨林のジャングルから、針葉樹や高山植物などに変化していく、豊かな植物相が広がっている。

写真:Iqx Azmi / Unsplash

スマトラの熱帯雨林遺産/インドネシア

グヌン・ルスル国立公園、クリンチ・スブラット国立公園、ブキット・バリサン・スラタン国立公園の3つを合わせた2万5000㎢におよぶ熱帯雨林が含まれる。絶滅危惧種のスマトラオランウータンをはじめ、スマトラ特有の動植物が生息している。1万種以上の植物、200種の哺乳類、580種の鳥類が生息するが、密猟、違法伐採、農地の拡大などにより2011年に「危機にさらされている世界遺産」リストに登録された。

写真:Levi T. / Unsplash

フォンニャ=ケバン国立公園/ベトナム

4億年以上前に形成されたアジア最古のカルスト地形が広がるフォンニャ=ケバン国立公園。原生林に覆われ、300以上の鍾乳洞がある公園内には、固有種や絶滅危惧種を含む500種以上の植物と800種を超える動物が生息している。

写真:Hi Pham / Unsplash

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