いくつ知ってた?ディズニーキャラクターの意外な実在モデル
ステファン王とリア王妃の娘で、美しく内気で繊細なオーロラ姫。ディズニープリンセスの原型といっても過言ではないだろう。そのモデルとなった実在の名女優は......
無論、オードリーは金髪ではない。しかし、シャイで可愛らしい性格とほっそりしたシルエットがオーロラ姫に受け継がれた。
人々を恐怖に陥れる、映画『101匹わんちゃん』のクルエラ。しかし、悪役とはいえエレガントでオシャレな彼女にはモデルがおり……
クルエラのモデルとなったのは40年代から50年代にかけて活躍したタルラー・バンクヘッド。アルフレッド・ヒッチコック監督の『救命艇』に出演したことでよく知られている。この映画ではファッションジャーナリストのコニー・ポーターを演じた。
オーロラ姫の洗礼式に招待されなかったことを恨み「16歳を迎える前に、指を糸車の針で刺して死ぬ」という呪いをかけたマレフィセント。これはシャルル・ペローやグリム兄弟のおとぎ話に登場する妖魔、カラボスがもとになっている。
しかし、身体の特徴、特に声色のモデルとなったのは女優のエレノア・オードリー(1905-1991)だ。
アンデルセンの童話『人魚姫』に登場する海の魔女をもとに作られたキャラクター、アースラ。アトランティカを追放され、半人半蛸の姿をしているが、トリトン王の妹なのでアリエルにとっては叔母にあたる。魔法で人々を助けるが、もちろん見返りは高くつく。
ドラッグクイーンで女優のディヴァイン(本名ハリス・グレン・ミルステッド、1945-1988)。アンダーグラウンド映画で有名な彼女の体形やダンスの際の動きが、アースラのモデルとなった。
トリトン王の末娘で16歳のアリエル。好奇心旺盛な彼女は冒険を求め、人間の世界に夢中だ。足が欲しいというアリエルの願いはアースラの魔法で叶えられたが、代わりに声を差し出さなくてはならなかった。
『リトル・マーメイド』が公開されたころ、子役として大活躍していたアリッサ・ミラノ。ドラマ『Who's the Boss?』ではサマンサ・ミチェリを好演した。ディズニーのクリエイターによれば、彼女は当時、ティーンエイジャーの代表だったという。
カリブ海とニューオーリンズで暗躍する魔術師で、死者とコミュニケーションができるドクター・ファシリエ。ガリガリで背が高く、手が骨ばっているという、ディズニー悪役の典型的な姿をしている。これは『アラジン』の悪役、ジャファーにも当てはまる。
ドクター・ファシリエのほっそりした身体つきとすきっ歯にプリンスの影響を見出すのは容易だろう。歩き方に関しては、もちろん、マイケル・ジャクソンがもとになっている。
原作となったJ・M・バリ―の小説『ピーター・パン』とウェンディですでに登場するフック船長。原作では悪の権化だが、ディズニー版では怖がりで間抜け、コミカルな人物として描かれている。一方、服装はダンディだ。
フック船長のキャラクターを生み出す上で、多大な貢献をしたのが米国の俳優ハンス・コンリード(1917-1982)だ。彼の影響はダンディな容姿や口ひげだけではない。コンリードはフック船長のシーンを演じて撮影を行い、ディズニーのクリエイターたちはこれを参考にしてアニメーションを制作したのだ。
ディズニー版の『ピーター・パン』ではJ・M・バリーの原作がもっていた意図がかなり薄められている。本来このキャラクターは、後にピーター・パン症候群と呼ばれることになる、大人になりきれない人々を寓意的に描いたものだったのだ。
ディズニー初の子役、ボビー・ドリスコール。同社と最初の契約を結んだのも彼だ。ドリスコールの顔の特徴をもとにキャラクターが作られたほか、幼い彼が演じたシーンをもとにクリエイターがアニメーションの制作を行ったのだ。しかし、思春期になるとディズニーは契約を打ち切り。ドリスコールは薬物中毒の末、悲惨な死を迎えることに。大人になりたくないのも無理はない……
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』および『鏡の国のアリス』をアニメーション化した映画『ふしぎの国のアリス』。登場人物マッドハッターの狂気は、当時の帽子職人がフェルト帽を作る際に利用していた水銀による中毒が原因だという説も。いつもソワソワしているマッドハッターの楽しみはティータイムと、三月ウサギと一緒に「誕生日でない日」を祝う事。
65年のミュージシャン歴も持つ米国の俳優、エド・ウィン。マッドハッターのモデルとなったのは彼の愉快な表情だ。エド・ウィンは『メリー・ポピンズ』でも陽気な「アルバートおじさん」を演じている。
ピーターパンに恋する妖精、ティンカーベル。魅力的だが嫉妬深く、怒ると意地悪することも。
ティンカーベルのモデルについてはいくつかの説があり、はっきりとは分からない。魅力的で繊細な性格はマリリン・モンローがモデルだという主張がある一方で、女優兼ラジオパーソナリティのマーガレット・ケリーがモデルだという説が有力視されているようだ。
歴史の授業などそっちのけで空想にふけり、遅刻の心配をする白ウサギを目撃するアリス。しかも、ウサギを追いかけて不思議の国に飛び込んでしまうのだ。そこでは様々な冒険がアリスを待ち受けていた……
1938年生まれの英国人女優、キャサリン・ボーモント。ロトスコープ(実写映像をトレースしてアニメーションを作る手法)を利用して、ボーモントの姿と声がアリスにもたらされた。
愉快なシマリスコンビ、チップ&デール。初登場はドナルド・ダックの庭木に住む騒々しい隣人としてだった。『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャー』では新しい装いを披露:チップは冒険家の帽子と革のジャケット、デールは黄色い花柄の赤シャツだ。
『私立探偵マグナム』でトム・セレックが演じた探偵トーマスのトレードマーク、花柄シャツと陽気な雰囲気が、デールに取り込まれている。一方、チップのモデルはハリソン・フォード演じる『インディ・ジョーンズ』だろう。
ポカホンタスは米国ツェナコンマカ地域全域を治めていたネイティブ・アメリカン、ポウハタン族の実在の人物だ。ディズニー映画では、族長一家の娘としてスピリチュアルな描かれ方をしている。自然が大好きで動物とお喋りもできるポカホンタスだったが、征服者としてやってきた新住民とネイティブ・アメリカンの仲立ちをすることに。
ポカホンタスの声優を務めたアイリーン・ベダード。しかし、声だけでなく容姿の面でもモデルになっているのは明らか。
アニメ『ランゴ』の主人公でカメレオンのランゴ。ウエスタンを思わせる小さな町「ダートタウン」で、砂漠から現れる無法者たちを相手に活躍を見せる。実はランゴのモデルは『ティム・バートンのコープス・ブライド』の主人公、ヴィクター・ヴァン・ドートのモデルと同じ人物だ。
ランゴの冒険や狂気といった側面は『ラスベガスをやっつけろ』でジョニー・デップが演じた役回りをほぼなぞっている。ヴィクター・ヴァン・ドートについていえば、同じくティム・バートン監督の『スリーピー・ホロウ』でジョニー・デップが演じたイカボッド・クレーン刑事をモデルとして挙げることができるだろう。
遠い未来、バインラージ社が開発したゴミ処理ロボットのウォーリー。もともと、地球を覆いつくすゴミを片付けるだけのロボットだったが、孤独の中で意思が芽生えて……
前半は一切会話がないこのキャラクターに命を吹き込むにあたって、ピクサーの制作陣が参考にしたのは無声映画だろう。となれば、モデルはもちろん、チャーリー・チャップリンだ。
原作となったヴィクトル・ユーゴーの小説『ノートルダム・ド・パリ』にすでに登場する、気が強い16歳のジプシー、エスメラルダ。パリの街を背景に踊り、美しさと魅力で周囲に波乱を巻き起こす、典型的なファム・ファタールだといえる。
エスメラルダを作り上げる上で、クリエイターたちは魅力的で芯のある女性を求めていた。デミ・ムーアのグリーンの瞳とブルネットの髪、逆境に負けない強さがエスメラルダに反映されていると考えてよいだろう。
『おしゃれキャット』に登場するスキャット・キャット。ジャズのリーダーを務めるほか、トーマス・オマリーの仲間でもある。
スキャット・キャットのモデルは完全にジャズトランペット奏者のルイ・アームストロングだ。彼はスキャット・キャットの声優を務めることになっていたが、土壇場になって辞退した。
『千夜一夜物語』の「アラジンと魔法のランプ」ではバドルウルバドゥール姫という名だが、映画ではジャスミンと呼ばれている。勇敢で自立しており、自分の気持ちや直感に素直に振舞う。
ジェニファー・コネリーの黒髪とグリーンの鋭い眼差しがジャスミンに反映されているのは一目瞭然だ。1992年に『アラジン』が公開されたとき、彼女は人気女優だったのだ。
こちらも『千夜一夜物語』の登場人物。仕立て屋ムスタファの息子で、泥棒稼業のアラジンは、魔法のランプを探しに地下に降りる。ランプには魔人が閉じ込められていて、願いごとを3つ叶えてくれるというのだが……
(写真:shri / Unsplash)
アラジンの容姿に影響を与えたのは、当時大人気だったトム・クルーズだ。一方、アラジンが履いているバギーパンツはラッパー、M.C.ハマーのスタイルが参考になった。
不思議なランプの魔人、ジーニー。冗談やおかしな仕草で存在感を発揮する彼だが、アラジンがジャスミンの心を勝ち取り、邪悪な宰相ジャファーを追放するのを手伝う。
ジーニーのイメージや表情に影響を与えたのが俳優ロビン・ウィリアムズ。ジーニーの声優も務めた彼は演技に夢中になり、16時間以上も即興で録音したという!