『青い珊瑚礁』のクリストファー・アトキンズは今どうしている?
クリストファー・アトキンズは1980年代、恋愛映画『青い珊瑚礁』で世界にその名を知られるようになった。そして60歳を過ぎた今もなお、このデビュー作から恩恵を受け続けている。
アトキンズは1961年2月21日にニューヨーク州で生まれた。10代の頃は野球選手になることが夢だったが、膝を痛め、考えを変えた。
写真:Unsplash - Kenny Eliason
彼は16歳のとき、モデルの仕事を志す。18歳のときに友人の奨めで『青い珊瑚礁』のオーディションに応募し、それがその後の人生を大きく変えることになる。
アトキンズはそのオーディションが役者としてのキャリアにつながるとは夢にも思っていなかった。実際、一次審査を通ったことにも驚いた。演技経験はなかったし、これだけ多数の候補者がいては、役をもらうのは到底無理だろうと思っていたのだ。
映画のプロデューサーたちと何度か会って話した後、アトキンズはその後2ヶ月、何の音沙汰もなしで放っておかれた。この話は立ち消えになったのだとアトキンズも半ば諦め、夏季のアルバイトとして子供向けにセーリングを教え始めた。
だが、キャスティング担当から一本の電話があり、もういちど来るように言われた。結局、アトキンズは願ってもみない主役の座を手にしたのである。映画のもう一人の主役はブルック・シールズ。彼女は当時14歳だった。
トーク番組『オプラ・ウィンフリー・ショー』でアトキンズは撮影の裏話をしている。ロケ地の島に到着すると、主演の二人に気持ちを通わせてほしいという監督陣たっての希望で(そうすれば演技に自然さが出るということで)、アトキンズにはブルック・シールズの写真が一枚手渡されたという。
『青い珊瑚礁』の撮影はフィジーのヤサワ諸島で行われた。同じオセアニアとはいえ、オーストラリアからは4000km以上離れた秘境である。映画クルーたちはみな、撮影の4ヶ月半の間、簡素な仮設の小屋で寝起きした。
そのまさにパラダイスのような環境のもと、アトキンズはカメラや撮影セットに親しみ、映画の撮影手順を初めから終いまで目にすることになった。それは彼にとって、まったく未知の世界だった。
映画が公開されたことで人生がどんなふうに変わったか、アトキンズは先のトーク番組で語っている。「世界中のどこに行っても人々に襲われることになった。ファンは文字通り僕の髪の毛をひっつかみ、僕の着ているシャツを引き裂いた」
「正直なところ、僕の人生でまさかそんなことが起こるなんて、想像だにしていなかった」と彼は続けた。
写真:右は娘のブリトニー・ボーマン、2021年撮影
『青い珊瑚礁』で大きな成功を収めた後、アトキンズは1982年に『パイレーツ・ムービー』に出演する。共演はクリスティ・マクニコル。
アトキンズはその後も俳優活動を続け、映画やテレビ映画、テレビドラマでもその演技を見せている。加えて、プロデュースや脚本業にも挑戦している。
原点に還って(というべきか)、アトキンズは『青い珊瑚礁』のリメイク映画にちょい役で登場した。映画タイトルは『ブルーラグーン ~恋の目覚め~』(2012年製作)。
2019年、アトキンズはTV短編シリーズ『Defrost: The Virtual Series』に参加し、全部で11のエピソードに出演した。
キャリアの初期、とある映画の主役を演じる話があったという。だが、肥大化した自意識に邪魔されて、その役を素直に引き受けることができなかった。そのことをアトキンズは『オプラ・ウィンフリー・ショー』で明かしている。
監督陣はアトキンズのかわりにケヴィン・ベーコンを招いて『フットルース』(1984年)を撮った。その役を逃してからというもの、アトキンズはいろいろな映画に出演したが、彼が演じた最も印象的なキャラクターはやはり『青い珊瑚礁』のリチャードでありつづけた。
アトキンズはオーストラリア人の女性、リン・バーロンと1985年に結婚し、2007年に離婚した。
22年間の結婚生活で、夫婦は子供を二人もうけた。グラント・ボーマン(1985年生まれ)とブリトニー・ボーマン(1987年生まれ)である。
2015年、アトキンズはフィジー再訪を果たす。ヤサワ諸島タートルアイランドのリゾートホテルオーナーの計らいで、『青い珊瑚礁』公開35周年を祝う集いが催されたのだ。
そのとき彼に付き添ったのは当時のガールフレンド、サンドラ・アンカルビョルク(Sandra Ankarbjörk)だった。島を訪れるのは、撮影の行われた1979年以来初めてのことだった。
アトキンズの演技はなんといっても1980年代のものが名高く、その頃からの固定ファンがついている。数千人にのぼるファンが40年の長きにわたって彼を応援しているのだ。写真はキャリア初期のアトキンズ。隣は女優のジーナ・ロロブリジーダ。
アトキンズは服をきちんと着ない俳優のさきがけである。これは当初物議を呼んだ。アトキンズも最初はふつうに服を着ていたが、『青い珊瑚礁』がきっかけとなってヌーディズム含む多くの仕事のオファーが舞い込み、アトキンズもしだいにそれに馴染んでいったというのが本当のことらしい。
スクリーンショット:@christopheratkins1
YouTubeチャンネル「Celebrity Drop」のインタビューで、アトキンズはもう普通のビーチに行く気は起きないと語る。それよりかは、もっとうちとけた気持ちになれるビーチに行く方がいい、と率直にコメントしている。
ファンからの熱烈なラブコールにはいまだに驚かされるとアトキンズは語る。「まさに服を脱ぐそのとき、どこからかファンがやってきて、セルフィーをねだられる」とInstagramの自己紹介欄に書いている。
2023年の62歳の誕生日、アトキンスはおじたちとスキーに出かけた。SNSもまめに更新し、そのときの写真をシェアしている。
スクリーンショット:@christopheratkins1