『ゲーム・オブ・スローンズ』マージェリー役のナタリー・ドーマーは今どうしている?
『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』、『ゲーム・オブ・スローンズ』、『ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション』などに出演し、一躍その名が知られるようになったナタリー・ドーマー。各作品での演技が評価され人気女優の仲間入りを果たした。最近のドーマーの活動を追ってみよう。
ドラマ『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』ではシーズン2まで出演(2007~2008年)、メインキャラクターの1人であるアン・ブーリン(ヘンリー8世の2番目の妻)役で注目を集めた。シーズン4(2010年)では、ヘンリー8世が6人の妻たちを回想するエピソードで再出演を果たしている。
『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』で好評を博したドーーマーは、2年後の2012年に次の大役を手に入れた。それが『ゲーム・オブ・スローンズ』で鉄の玉座をめぐり争ったレンリー・バラシオンの妻、マージェリー・タイレル役だ。
『ゲーム・オブ・スローンズ』の後も精力的な活動を続け、『ピクニックatハンギング・ロック』(2018)のヘスター・アップルヤード役、そして最近では『Penny Dreadful: City of Angels』(2020)のマグダ役でテレビドラマに出演。さらに子ども向け番組『ダーククリスタル: エイジ・オブ・レジスタンス 』ではオニカ役で声優を務めた。
『ゲーム・オブ・スローンズ』の撮影を終えた2016年以降は映画作品『JUKAI -樹海-』や『Patient Zero』に出演、順調にキャリアを重ねた。2018年には『インビジブル 暗殺の旋律を弾く女』の主役に抜擢され、翌年は『博士と狂人』に主要登場人物の1人として参加。2020年には『立ち上がれ! ペット団 〜ロボシティを救え〜』のベル役で声優を担当している。
舞台作品にも挑戦し、ロンドンのヘイマーケット王立劇場で上演された『毛皮のヴィーナス』で妖艶なヒロイン、 ワンダ・ジュルダンを演じた。
テレビドラマや映画作品の声優としても知られ、2017年にはビデオゲームの『Mass Effect』シリーズの4作目『Mass Effect: Andromeda』でレクシィ・ティペロの声を担当。それ以前にも『ゲーム・オブ・スローンズ』のビデオゲーム版でマージェリー役で声を吹き込んでいる。
ナタリー・ドーマーにとり重要な出来事となったのが長女の出産だ。2020年、彼女の妊娠を知る人はごくわずかで、翌年4月に突如として長女の出産が発表された。ドーマーはエスター・ランツェンのポッドキャスト「That's After Life」への出演時に、「ロックダウン中に妊娠と出産を経験できたなんて、何てパーフェクトなのかしら」と語っている。
ドーマーは2019年以来、舞台『毛皮のヴィーナス』で共演した俳優デヴィッド・オークスと交際しており、長女は二人の間に生まれた。
長女を授かったドーマーだが長期離脱をする気はないよう、エスター・ランツェンのポッドキャストで仕事再開の意思を明らかにした:「この業界にはベビーシッターを雇って子供連れで現場に行く人が多いの。幼い子供の自然な成長を妨げずに(仕事を再開するのは)かなり大変なことよ」
映画やテレビドラマでの活躍が目立つドーマーだが、実は舞台に立つことが大好きだという。「娘とずっと一緒にいられたし、今が舞台に戻るベストタイミングだと思う」とコメント。
2019年末には映画制作会社「ドッグ・ローズ・プロダクション」を設立。ドーマーはDeadline.comに対し、「あらゆる世代の声に耳を傾け、文化を超えて人々をひとつにするテーマを探求し、幅広い映像作品を制作したい」と語っている。最初のプロジェクトとして第二次世界大戦中の知られざる女性飛行士たちにフォーカスした物語、『Spitfire Sisters』が予定されている。
ドーマーが女優の道を歩き始めたのは2005年、ロンドンのウェバーダグラス演劇芸術アカデミーを卒業したときに遡る。ヒース・レジャー、シエナ・ミラーと共演した『カサノバ』のヴィクトリア役が評価され、タッチストーン・ピクチャーズと3本の映画出演契約を結んだ。
間もなく『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』(2007)でブレイクし、ドラマシリーズ『Rebus』や『Distant Shores』等に出演。『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』が終了すると『Silk 』や『The Fades』に出演。続いて人気作『ゲーム・オブ・スローンズ』のマージェリー・タイレル役を射止めた。また、2013年にはドラマシリーズ『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』(CBS)でアイリーン・アドラー役を務めている。
ドーマーは映画作品を通じて数多くのスター俳優と共演している。『ダイヤモンド・ラッシュ』(2007)ではマイケル・ケインやデミ・ムーアと共演してキャシー役を務め、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)、『ラッシュ/プライドと友情』(2013)にも出演。映画作品でのこうした活躍が認められ、『ハンガー・ゲーム』2部作ではクレシダ役を射止めている。
舞台作品では『間違いの喜劇』でアドリアナ役を務め、続いて『Sweet Nothings 』、『.45』に出演を果たした。2012年の『After Miss Julie』を経て、『毛皮のヴィーナス』(2017)のワンダ・ジュルダン役で高い評価を受けた。
大きな影響を受けた女優はケイト・ブランシェットだと、ドーマーは複数のメディアに語っている。
ドーマーは肌の露出が多い「インティマシー・シーン(親密なシーン)」の撮影を厭わないどころか、ラブシーンの撮影を"快適"とさえ感じるそうだ。『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』、『ゲーム・オブ・スローンズ』、『FADES/フェーズ』、『ラッシュ/プライドと友情』、『The Scandalous Lady W』等の作品でドーマーの体当たりの演技を見ることができる。
2018年、ドーマーは『インビジブル 暗殺の旋律を弾く女』で、ドミニク役のエミリー・ラタコウスキーと並び、過激なシーンに挑戦。肌の露出に対して批判を浴びることになった。なお、この映画の脚本はドーマー本人と元フィアンセのアンソニー・バーンが担当している。
主だった受賞歴をもたないドーマーだが、2008年、2009年にはカナダのジェミニ賞でドラマシリーズ主演女優賞、2021年は批評家協会賞でホラー映画最優秀女優賞にノミネートされている。
ドーマーはフェミニストであることを公言しており、2020年3月8日にはロンドンで開催された「国際女性デー」に参加。「だれもが、それと意識していなくてもフェミニストなの。平等な賃金や選挙権を求める人はそれだけでフェミニストだわ」とコメントした。