「俺はヒトラーが好き」!?:問題発言が止まらないカニエ・ウェスト
極右コメンテーター、ギャヴィン・マキネスが最近、ラッパーのカニエ・ウェストに行ったインタビューによってはっきりしたのは、カニエに問題行動を改める意思はなさそうだということだ。
ヒトラーが好きだという爆弾発言から1週間も経たないうちに行われたマキネスとのインタビューの中で、カニエは「国家の法律は聖書に基づくべきだ」とコメント。さらに、「ユダヤ人はヒトラーを赦すべき」だとも述べた。
問題発言で自前ブランド「Jeezy」を台無しにしてから1ヵ月、ヒトラー賞賛発言で世界に衝撃を与えてからわずか1週間後の出来事だった。
カニエはアレックス・ジョーンズの陰謀論番組 『Infowars』で白人至上主義者のニック・フエンテスと共演し、ヒトラーを賞賛する発言をして大顰蹙を買っていた。
カニエは「俺はヒトラーの良い面に注目しているんだ」と言ってのけ、ジョーンズを呆然とさせたが、ニック・フエンテスは顔をほころばせていたという。
「誰だって何らかの貢献をするものだろう?ヒトラーだってそうだ」カニエはそう続けた。
しかし、カニエの問題発言はこれで終わりではなかった。3時間に及ぶインタビューを通してヒトラーを熱烈に賞賛し、「俺はヒトラーが好きだ」と断言したのだ。
カニエの暴論にはさしものアレックス・ジョーンズも眉を顰めざるを得なかったようだ。実際、何度も助け舟を出して発言撤回を暗に促したのだが……
「ヒトラーが良い人間だったとは思えない」と切り出したジョーンズ。いわく:「ヒューゴ・ボスのデザインしたナチスの制服は確かにカッコいいさ。でも、デザインが気に入ったというだけなら、単に制服が好きなだけだろう?君はデザイナーだしね」
しかし、カニエはこの助け舟に乗ろうとしなかったのだ。「違うよ。ヒトラーを好きになる理由はたくさんあるんだ。たくさんね」と答えたカニエは、現代的なマイクや高速道路システムの発明を挙げたが、実際にはどちらもヒトラーの発明ではない。
さらに、「俺はユダヤ人が好きだが、ナチ党も好きだ」と発言したカニエ。これを耳にしたジョーンズは笑い出し、「いや、それには賛成できないね」と返答したという。
2016年にドナルド・トランプ大統領支持を表明して以来、スキャンダルとヘイトの間で危うい綱渡りをしてきたカニエが、ついに行くところまで行ったということなのだろう。
『Infowars』のインタビューは、カニエがついに正体を現わした瞬間だったと言ってよいだろう。しかし、彼は以前からその一端を覗かせるような問題発言を繰り返していたのだ。
たとえば、ラジオの生放送では元恋人のアンバー・ローズを戸惑わせことがあるほか、アフリカ系米国人は自ら奴隷になることを選んだ人々だと主張したこともある。
要するにカニエは以前から的外れなことを口にする人物だったのだが、友人たちの話が本当だとするなら、ヒトラー信奉も今に始まったことではないらしい。
タッカー・カールソンが司会を務めるFOXニュースに10月に出演したカニエが、ユダヤ人に対する深い嫌悪感を露わにしたことで、かつての友人たちもついに彼のヒトラー信奉について沈黙を破りはじめたのだ。
経営幹部としてカニエに協力していたという人物は、CNN放送のリポーター、クロエ・メラスに対して次のように明かしている:「あれほどまでの権力を握ったヒトラーは素晴らしいと言って、彼とナチ党がドイツ国民のために成し遂げた偉業の数々を賞賛していました」
カニエがカールソンの番組で行ったヘイトスピーチの代償は小さくなかった。10月には、アディダスをはじめとする20社あまりが「カニエ・ウェスト」ブランドとの決別を公表したのだ。無論、その後の行動を見れば、失った富と名声が戻って来ることもなさそうだ。
そして12月2日、鍵十字とダビデの星を重ねた写真をツイートしたことで事態はさらに悪化。言論の自由を掲げてTwitterの新たな主となったイーロン・マスクもこれには匙を投げ、アカウント停止処分を科さずにはいられなかった。
Twitter追放の後、Instagram上で「Someday We'll All Be Free」というニューシングルをリリースしたカニエ・ウェスト。聖書の掟から始まり、人々は口うるさすぎると罵ったりする歌詞なのだが、一体カニエに再起するチャンスはあるのだろうか?