「ミス・ユニバース」機構の新オーナーは、タイのトランスジェンダー女性
世界的なミス・コンテスト主催する「ミス・ユニバース機構」。保守的な機関とされていたが、2022年に大きな転換期を迎えることになった。
2022年10月、ミス・ユニバースを主宰するミス・ユニバース機構が、タイの実業家アン・ジャカポンに買収されたことが報じられた。
写真: @annejkn.official / Instagram
ミス・ユニバース機構の新しいオーナーとなったアン・ジャカポンは、生まれの性別が男性で性自認が女性であるトランスジェンダー。このニュースはミス・コンテスト界やLGBTQI+コミュニティに、大きな驚きをもって迎えられた。
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アン・ジャカポンは「"リッチガール "と呼ばないで。タイのビリオネアトランスジェンダー女性と呼んで」としている。そんなタイのメディア王、アン・ジャカポンの軌跡を追ってみよう。
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アン・ジャカポンはどこか謎めいた人物だが、2021年秋に『Elite Plus』誌のインタビューに応じ、自身のことを "タイのトランス女性でビリオネア "と表現しながら、自分について語っている。
アン・ジャカポン・ジャクラジュタティップはタイで生まれ育った。『Elite Plus』誌のインタビューに対し、「学生時代、自分の性的指向を原因としてクラスメートからいじめを受けました。そのためオーストラリアに留学し、学士号を取得しました」と語っている。
アンは2000年にクイーンズランド州ゴールドコーストにあるボンド大学で国際関係学の学位を取得し、バンコクに戻った。そして、トランスジェンダー女性となった。
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バンコクに戻ったアンは、家族から大きな圧力をかけられた。アンの母親は、息子が性転換して女性になったことを受け入れられず、元の男性として振舞うよう強いたと、『Elite Plus』誌で語っている。
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タイに帰国後、アンは家族のレンタルビデオ事業を受け継ぎ、やがてオンラインビデオやストリーミングといった分野に事業を拡大。そして、2014年にJKNグローバル・グループのCEOとなった。
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LinkedInによれば、JKNグローバル・グループは、オルタナティブ投資市場(MAI)に上場するタイ最大のメディア・コングロマリットで、韓国、中国、インドの魅力的な作品をいち早くタイに紹介している。
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心が女性だったアンは、2014年から2016年にかけて、身体的にも女性となるために約10回の手術を受けたとポータルサイト『Conan Daily』が報じている。
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2018年、アンはタイのトランス男女の権利を保護するためにLIFT(Life Inspired For Transsexual)財団を設立した。
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アンは世界3位の富豪トランスジェンダーで、『バンコック・ポスト』紙によれば、そその純資産は2億1,000万ドルと推定されている。
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2022年10月、アン・ジャカポン率いる企業がミス・ユニバース機構を2000万ドルで買収したことが、CNNを始めとする国際メディアから報じられた。今後はタイのJKNグローバル・グループが、国際的なミス・コンテストの財政面を支えることになる。
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さらに、BBCはアン・ジャカポンの次のコメントを伝えている:「当社はあらゆるバックグラウンド、文化、伝統を持つ人々に対しプラットフォームを提供するという、ミス・ユニバース機構の遺産を継承していきます。また、ブランドを次世代に向けて進化させて行くことを目指しています」
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トランス女性がミス・ユニバースの大会に出場する流れは数年前から始まっている。世界規模の大会として、あらゆる民族的背景を持つ女性に対して開かれたプラットフォームであると同時に、広い意味での女性の美を競うようになったのだ。写真は2021年のミス・ネバダ・USAで、トランスジェンダー女性として初めて優勝したカタルナ・エンリケス。
トランスジェンダー女性が初めてミス・ユニバースの決勝に進出したのは2018年の大会だ。タイで開催された大会に、スペイン出身のトランスジェンダー女性アンへラ・ポンセが出場した。
アンは『インサイダー』にこう語っている:ミス・コンテストに参加するのが夢だった。まだ夢は叶うかもしれない。未来のことは誰にも分からないから。
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ミス・ユニバースはトランスジェンダーにも門戸を開いただけでなく、ボディポジティブや美の基準の多様性にもオープンになりつつある。さらには近い将来、既婚で子供のいる女性の参加も認める方向になるようだ。
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『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙によれば、アン・ジャカポンはインスタグラムで一緒にポーズをとるイギリス人のボーイフレンドとの間に、代理出産で2人の子どもをもうけている。
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JKNグローバル・グループによるミス・ユニバース買収のニュースから数日後、多くの好意的な反応を得たアンは「大きな喜びを感じている」 とSNSに綴った。
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ミス・ユニバース機構の方もポシティブな反応をしている。引き続き運営に携わることになったCEOのエメリッヒは『インサイダー』に対し、「ミス・ユニバース物語の次章を楽しみにしています」と語った。
アン・ジャカポンは世界最大のミス・コンテストを買収し、新たな歴史を作ろうとしている。保守的なファンの中には、この変化を受け入れられない人もいるかもしれない。しかし、ミス・コンテストが多様化の道をたどるという未来が覆されることはないだろう。
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