「クリスマス・クイーン」になりそこねたマライア・キャリーとドル箱になったホリデーソング

「クリスマス・クイーン」になりたい?
クリスマスを独占?
商標登録を申請
クリスマスは共有するもの
「恋人たちのクリスマス」に関するあれこれ
4枚目のアルバムからのリードシングル
曲の裏に隠されたストーリー
クリスマスとマライア・キャリー
クリスマス・アルバムを制作
世界的なスターへ
最初は乗り気ではなかった歌姫
クリスマス・アルバムと自身のキャリア
夫への愛がインスピレーション源
アルバムの録音は1994年の夏
15分で作られた曲
多くのアーティストがカバー
ジャスティン・ビーバーとデュエット
3つのギネス世界記録
初めて公の場で曲を披露
「恋人たちのクリスマス」が生んだ利益
コンサートやツアー
女性アーティスによる最も売れたクリスマスソング
マーケティング
クリスマスの歌姫
「クリスマス・クイーン」になりたい?

マライア・キャリーは、素晴らしい歌唱力とクリスマスの定番曲「恋人たちのクリスマス」で有名だが、少し違った意味でも注目を浴びている。というのも、「クリスマスの女王」の商標登録を申請したのだ。

クリスマスを独占?

もともとマライアはクリスマス・アルバムの制作にあまり乗り気ではなかったが、メガヒットを出してからはクリスマスと自身を関連付けることに積極的になり、「クリスマスの女王」や「プリンセス・クリスマス」という言葉を商品登録しようとしていたのだ。

商標登録を申請

BBCの報道によれば、マライア・キャリーの会社であるLotion LLCは、2021年に米国特許商標庁に「クイーン・オブ・クリスマス(クリスマスの女王)」の商標登録を申請した。他のアーティストたちが音楽や商品でこの名称を使うことを阻止する法的権利を得るためだ。

クリスマスは共有するもの

歌手のエリザベス・チャンが異議申し立てをした際に、マライア側が対応しなかったことで商標登録は却下された。エリザベスは『バラエティ』誌にこうコメントしている。「それは正しいことではありません。クリスマスはみんなのもの。共有するものであって、誰かが所有するものではないのです」

「恋人たちのクリスマス」に関するあれこれ

マライアは法的には「クリスマスの女王」になれなかったが、全世界で最も知名度があり親しまれているクリスマスソングを生み出したことに変わりはない。「恋人たちのクリスマス」がどのように作られ、高い人気を得たのかを追ってみよう。

4枚目のアルバムからのリードシングル

「恋人たちのクリスマス」は、マライア・キャリーの4枚目のスタジオアルバム「メリー・クリスマス」(1994)からのリードシングルだ。マライアはグラミー賞を何度も受賞している音楽プロデューサー兼シンガーソングライターのウォルター・アファナシエフと共に作詞・作曲を担当した。

曲の裏に隠されたストーリー

陽気なメロディではあるが、この曲の背景には悲しい物語が隠されている。2019年にアマゾン・ミュージックが配信したドキュメンタリーで、マライアは貧しい家庭に育ったため楽しいクリスマスを過ごした思い出がないと語っている。その結果として、彼女は何時の日かたくさんのプレゼントに囲まれた幸せで完璧なクリスマスを迎えることを夢見て成長したというのだ。

クリスマスとマライア・キャリー

「私はクリスマスに強い感情移入をしています。それは決してプレゼントのためではなく、そのプレゼントに込められた楽しい気持ちのためです。自分を表現できる曲、幸せな気分になれるような曲を作る必要性を感じました」

クリスマス・アルバムを制作

このクリスマス・アルバムを制作したとき、マライア・キャリーはすでに大スターだった。これまでの3枚のアルバムは、彼女の元夫のトミー・モトーラが社長を務めるコロンビアレコードからリリースされていた。

世界的なスターへ

ファーストアルバムの「マライア」(1990)は、シングル全てが全米チャートで首位を獲得。2枚目のアルバム「エモーションズ」(1991)は、タイトル曲が全米シングルチャートで3週連続1位となった。3枚目の「ミュージック・ボックス」(1993)は、全世界で累計3200万枚を売り上げ、彼女の人気を不動のものにした。

最初は乗り気ではなかった歌姫

マライアの人気が絶頂にあった頃、コロンビアレコード社長のモトーラがクリスマス・アルバムの制作を提案した。彼女は最初断ったと、モトーラは回想録『Hitmaker』の中で語っている。マライアは自身のルーツであるリズム・アンド・ブルースやヒップホップを裏切りたくないと言ったのだ。しかし、最終的には、自分で書いた曲を入れるという条件で承諾した。

クリスマス・アルバムと自身のキャリア

マライア・キャリーはドキュメンタリーの中で、最初はキャリアが絶好調の時にホリデー・アルバムを出すことが得策だとは思わなかったと語っている。しかし、最終的にレコーディングに同意。そして、世界中に支持されるアルバムが誕生することになったのだ。

夫への愛がインスピレーション源

マライアは元夫のトミー・モトーラへの愛にインスパイアされてこのアルバムの歌詞を書いたとされている。「恋人たちのクリスマス」は、どんなプレゼントよりも欲しいのはあなた(モトーラ)という内容の歌だ。この曲をウォルター・アファナシエフがよりクリスマスの華やかなパーティ風にアレンジした。

アルバムの録音は1994年の夏

マライア・キャリー、トミー・モトーラ、ウォルター・アファナシェフの3人は、1994年の夏に「メリー・クリスマス」の最初の曲を録音した。よりリアルな臨場感を出すために、モトーラと暮らしていた邸宅をクリスマスデコレーションで埋め尽くして録音を行った。

15分で作られた曲

マライアとウォルターが「恋人たちのクリスマス」を作るのにかけた時間はわずか15分だったという。この曲は、ダーレーン・ラブの曲「クリスマス(ベイビー・プリーズ・カム・ホーム)」からヒントを得て作曲された。

多くのアーティストがカバー

発表された「恋人たちのクリスマス」は伝説となった。デイブ・ロジャース(1996)、シャナイア・トゥエイン(1998)、オリヴィア・オルソン(2003)、マイ・ケミカル・ロマンス(2004)、チーター・ガールズ(2005)、マイリー・サイラス(2007)、アレクサンドラ・バーク(2009)、マイケル・ブーブレ(2011)、アリアナ・グランデ(2012)を始め、全世界のアーティストがカバーした。

ジャスティン・ビーバーとデュエット

マライアは2011年のジャスティン・ビーバーのスタジオアルバム「Under the Mistletoe」で、「恋人たちのクリスマス」のデュエットバージョンを披露した。

3つのギネス世界記録

マライアは「恋人たちのクリスマス」で3つのギネス世界記録を達成している。ソロ・アーティストによるホリデー・ソングとして米ビルボード・ソング・チャートで最高位、女性アーティストとして24時間でSpotifyにて最もストリーミングされた曲、全英シングル・チャートのトップ10に最長ランクイン(20週)した曲の3つだ。

初めて公の場で曲を披露

マライアがこの曲を初めて公の場で披露したのは、1994年12月のセント・ジョン・ザ・ディバイン大聖堂(ニューヨーク)だった。以来、クリスマスが近くなると、彼女は数え切れないほどのステージでこの曲を披露している。

「恋人たちのクリスマス」が生んだ利益

WEBサイト『Celebrity Net Worth』によれば、マライアは「恋人たちのクリスマス」の印税を毎年12月に60万ドルから100万ドル受け取っている。2019年まで、彼女はこの曲だけですでに6000万ドル以上稼いでいると『エコノミスト』誌が報じた。

 

コンサートやツアー

この金額には、マライア・キャリーがクリスマス前後に開催する公演やツアーは考慮されていない。間違いなく、かなりの額が上乗せされるはずだ。

女性アーティスによる最も売れたクリスマスソング

クリスマスが近づくたびに、ラジオ、ストリーミング、公共の場などで「恋人たちのクリスマス」が絶えずかけ続けられるという現象が起きている。女性アーティストによるクリスマスソングとして最も売れた曲で、ポップミュージックの歴史においても重要な作品だ。

マーケティング

この曲とマライア・キャリーがミュージックビデオで披露したサンタ姿は、様々なマーケティングが進んでいる。彼女の画像をラベルに使った朝食用のマグカップ、衣服、食品など、幅広い商品が販売されているのだ。

クリスマスの歌姫

マライア・キャリーは、つねに歌姫であることを自負している。クリスマスシーズンの彼女は、ヒットチャートを席巻し、今後も大ヒットを続ける定番クリスマスソングを作ったことで「クリスマスの歌姫」と呼ばれてしかるべきだろう。ただし、商品登録に関しては別の話だ。

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