2100年までに人類は滅亡する?科学者たちの予想
人類滅亡など、SFやパニック映画に出てくる空想だと思うかもしれない。しかし、21世紀末までに人類が滅亡してしまうと実際に警鐘を鳴らす科学者も存在している。現代の科学者たちがどのように予想しているかを見てみよう。
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学で教鞭を執るウィリアム・リース教授は、人間の活動が自然環境に与える負荷を表す「エコロジカル・フットプリント」という概念を考案したことで知られている。同教授は、将来的に「大規模な人口修正」が起こる可能性を示唆している。
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リース教授は学会誌『ワールド』に掲載された論文の中で、特定の環境下で生存できる動植物の個体数には上限があるという仮説を提示している。この仮説によれば、上限を超えた時点で個体数の調整が起こる可能性があるという。
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リース教授によると、人口過多によって環境に負荷がかかっている兆候がすでに現れている。具体的には、地球温暖化や、化石燃料や食糧、水などの重要な資源の枯渇といったリスクが挙げられる。
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リース教授は、このまま人口増加が続くと地球環境で生存できる上限を超え、戦争や飢餓、世界情勢や疫病などの要因により今世紀末までに「劇的な人口減少」が起こる可能性があると示唆している。
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天然痘の撲滅に貢献したオーストラリアの科学者フランク・フェナー教授も、ウィリアム・リースの予測に同意している。
英ウェブサイト『Phys.org』によると、人類は爆発的な人口増加と過剰消費に耐えられず、2110年までに他の多くの種とともに絶滅するだろうとフェナー教授は述べた。
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人口と所得の継続的な増加は、過剰消費を引き起こすかもしれない。2018年に米『サイエンス』誌に掲載された記事によると、とりわけ肉類の大量消費は生態系に壊滅的な影響を及ぼすそうだ。
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人類滅亡の時期についてさらに悲観的な予測を立てている科学者たちもいる。2019年に発表されたオーストラリアの気候変動分析では、差し迫った気候変動の脅威に取り組まなければ、2050年までに人類は滅亡すると予測している。
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分析によれば、2050年までに人類社会は地球温暖化がそれ以降は引き返せなくなってしまう状況、いわゆる「ポイント・オブ・ノーリターン」と呼ばれるレベルに達してしまうという。現状のままこの時点を過ぎると、「地球がほぼ居住不可能な状態となり、国家と国際秩序が崩壊する可能性がある」と指摘されている。
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論文に関わった科学者らは、「第二次世界大戦の緊急動員と同規模の」労働力と資源を社会全体で緊急動員することを求めた。
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ここまで見てきたような悲観的な予測をする科学者は少なくない。しかし、それでも人類には希望が残っていると考える科学者もいる。
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英ウェブサイト『Phys.org』によると、人類生態学者で生物史学者でもあるスティーブン・ボイデン教授は、環境問題への認識を高めることで、持続可能性を達成するための劇的な変化を起こすことが不可欠だと語った。
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「希望の光が見えている限り、問題解決に取り組む価値はある。私たちは解決するための科学的知識をもっているが、政治的意志が欠けている」とボイデン教授は語った。
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ケンブリッジ大学人類存亡リスク研究センターの研究員ルーク・ケンプ氏は、米『サイエンティフィック・アメリカン』誌に対し、現状で想定されている最悪のシナリオでは災害の連鎖的影響が十分予測されていないと語った。
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「人類存亡リスクは比較的新しい分野のため、研究が不十分だ」とルーク・ケンプ氏は付け加えた。
しかし、将来のシナリオに焦点を当てるよりも、気候変動と過剰消費によって、すでに悪影響が出ていることに目を向けるべきだと主張する研究者もいる。
ストックホルム・レジリエンス・センターで地球の持続可能性を研究しているサラ・コーネル氏は、米『サイエンティフィック・アメリカン』誌に対し、一部の人々の行動は「多くの人々の生活環境を損ない、破壊している」ため、これは将来的にどこかで起こるリスクというものではなく、いま現在人類にとっての危機となっている。
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