2050年代の子供たちに迫る3つのリスクとは:ユニセフが資料を通じて指摘
今から25年後、2050年代には子供たちの生活はどのように変わっているだろうか。国連の児童支援機関ユニセフは、現在の状況が続けば子供たちに多大なリスクが生じる可能性があると警告を発している。
ユニセフが発表した資料では、3つの主要なリスクが指摘されている。気候変動、新技術への過剰な暴露もしくは極端な制限、世界的な人口動態の変化だ。
画像:Alexander Dummer / Unsplash
「気候変動の影響からインターネット上の脅威まで、子供たちは今後一層激しさを増すであろう種々の危険にさらされています」と語るのはユニセフのキャサリン・ラッセル代表だ。ユニセフの公式サイト上で述べている。
「子供たちにより良い未来を提供するためには、行動が必要です。これまでの数十年で積み重ねられてきた、特に女の子を取り巻く課題に対する進歩が、脅かされているのです」と代表は続けている。
まず、世界の一部地域では子供の数が急速に増加してきている。ユニセフが提示した人口予測によると、2050年代にはサハラ以南のアフリカおよび南アジアが子供の数で最大になるとされている。
画像:Annie Spratt / Unsplash
だが、世界全体では少子高齢化が進んでいることも事実で、世界人口に占める子供の割合は低下しつつある。
画像:Ana Tablas / Unsplash
ユニセフのサイトではこう述べられている:「東アジアや西欧では子供の割合は17%を切るでしょう。2000年代には、東アジアでは人口の29%、西欧では20%が子供でした」
少子高齢化対策にしろ急増する出生率対策にしろ、今後数十年は世界中の国々がなんらかの人口問題に対処せねばならないだろう。
また、ユニセフの報告によると、低所得国ではわずか26%の人しかインターネットにアクセスできていないのだという。電気やネット回線が利用できなかったり、パソコンや携帯電話が入手できないことが原因だ。一方で、高所得国では95%がインターネット環境を手にしている。
「低所得国の子供たち、とりわけ貧困地域に住む子供たちがインターネットにアクセスできるよう支援しなければ、すでに深刻な不利益を被っている世代にさらなる困難を強いることになるでしょう」とユニセフは述べている。
また、最貧国の若者にとってはデジタルスキルを身に付けることが非常に困難であり、「学習過程や就職後に、最新端末を効果的かつ安全に使いこなす能力に影響する」ともされている。
一方で、最新技術を制限無しに利用することは子供の個人情報がリスクに曝され、最悪の場合は性的被害につながる恐れもある。
ユニセフはさらに、現在の水準での温室効果ガスの排出が続いた場合に、子供たちが曝されることになる気候変動リスクについての予測も出している。カナダの放送局「Radio-Canada」が伝えている。
その予測では、2050年には2000年比で約8倍の数の子供たちが猛暑の影響を受けることになるという。また、3.1倍の子供たちが洪水の、1.7倍が火事による被害を受けることになるともされている。
ただし、ユニセフはこういったリスクだけでなく、希望が持てる予測も発表している。平均寿命は延びる傾向にあるほか、子供たちの間では男女格差も縮小しつつあるという。
画像:Andriyko Podilnyk / Unsplash
ほかにも、初等教育へのアクセスも改善されつつある。2000年代には初等教育を受けられた子供たちは全体の80%だったが、2050年代には96%に達すると見積もられている。
ユニセフ研究部門副代表のセシル・アプテル氏は「未来の子供たちには数多くのリスクが待ち受けている」のが事実だとしても、「その解決策はいまの現役世代が握っている」と指摘する。
The Daily Digest をフォローして世界のニュースをいつも手元に
ベルギーのラジオ局RTBFも指摘するように、ユニセフは「教育や長期的なインフラへの投資、気候変動対策の強化、すべての子供たちのための安全かつ開かれたネットワークの構築」を推奨している。子供たちの未来は、われわれにかかっているのだ。