2024年に起きた世界各地の主な自然災害を振り返る
石川県の能登半島地震で始まった2024年。世界各地でも土砂崩れや洪水、山火事などの自然災害が多発し、何千もの尊い命が失われた。
さまざまな自然災害の主な原因のひとつが、気候変動による異常気象である。世界気象機関(WMO)は2024年11月までのデータに基づき、今年は昨年を上回り観測史上最も暑い年になると発表した。
海水温が上昇することにより、より多くの水蒸気が発生。その結果大きな雲が生まれることで、台風やサイクロンの被害も各地で増加傾向となった。
また、熱帯暴風雨により2024年には数百人の命が失われた。こうした自然災害は激甚化・頻発化しているのだ。世界各地で発生した、自然災害の被害状況を振り返ろう。
5月下旬にバングラデシュに上陸し、隣国インドにも甚大な被害を及ぼしたサイクロン「レマル」。米CNNによると、インドでは土砂崩れや停電、断水が発生し、80人以上が死亡したとされる。
米非営利団体「Center for Disaster Philanthropy」によると、台風11号(別名“ヤギ”)はアジアにおける今年最大の台風で、その犠牲者数は800人を超えたという。
台風11号(ヤギ)の後、6個の台風に連続して襲われたフィリピン。その始まりは熱帯暴風雨「トラミ」であり、その死者数は160人にも達した。英紙『ガーディアン』によると、今年最も多くの犠牲者を記録した台風の1つだったという。
大西洋でも例年以上に強力なハリケーンが発生した。米ニュースサイト「アクシオス」によると、1991年から2020年の平均よりも40%以上勢いの強いハリケーンだったそうだ。
同ニュースサイトによると、ハリケーン「ベリル」は観測史上最も早い時期である6月下旬に、最も強いランクであるという「カテゴリー5」まで発達したという。今年の自然災害死亡者数で10番目であり、70人以上が犠牲となった。
大西洋でのハリケーンの発生は、シーズン終盤の11月末まで活発だった。ハリケーン「ヘレン」はフロリダ州とノースカロライナ州を襲い、死者数は200人を上回った。そのわずか数週間後に「ミルトン」が同じフロリダ州に上陸したのだ。
台風やハリケーンによる犠牲者数以上に、2024年に最も多くの死者を出した自然災害は、洪水と土砂崩れだった。過去10年間で、その被害は甚大化し続けている。
実際、アフガニスタンとパキスタンでは洪水により1,000人以上が犠牲となった。国際赤十字赤新月社連盟によると、4月と5月に発生した豪雨に伴う鉄砲水では、アフガニスタンで500人以上が死亡したとされる。
7月30日にはインド南部で土砂崩れが起こり、複数の集落が壊滅的な被害を受けた。英ロイター通信によると、200棟以上の建物が流され、300人以上が死亡したという。
スペイン東部のバレンシア州では10月末に集中豪雨により洪水被害が発生し、200人以上が死亡した。スペイン紙『エル・パイス』によると、この災害によって70以上の町が壊滅状態に陥ったという。
英紙『ガーディアン』によると、ブラジル史上最悪レベルの洪水が5月上旬に南部リオグランデ・ド・スル州を襲い、155人が死亡、54万人が避難を余儀なくされた。また、複数の都市で数週間に渡り浸水が続いたという。
5月にパプアニューギニアで発生した大規模な地滑りにより、600人以上が死亡。地滑り単体としては、今年最も多くの死者数を記録している。米AP通信によると、この自然災害で約1,250人が家を失ったという。