日本はどのくらい?:2023年の「ビッグマック指数」で各国経済力を測定

ビッグマック指数(ハンバーガー経済学)
ユニークな経済指標
アメリカ合衆国:5,58ドル
スイス:7,54ドル
ノルウェー:6,46ドル
ウルグアイ:6,45ドル
アルゼンチン:数値にするのが難しい
ユーロ圏:5,73ドル
スウェーデンとデンマーク:5,70ドル
イギリス:5,20ドル
メキシコ:5,17ドル
カナダ:5,13ドル
アラブ首長国連邦:4,90ドル
オーストラリア:4,84ドル
シンガポール:4,79ドル
ペルー:3,67ドル
中国:3,46ドル
トルコ:3,31ドル
ルーマニア:3,16ドル
日本:3,06ドル
香港:2,94ドル
ウクライナ:2,90ドル
南アフリカ:2,72ドル
インド:2,51ドル
インドネシア:2,46ドル
台湾:2,36ドル
ビッグマック指数(ハンバーガー経済学)

1986年にイギリスの経済専門誌『エコノミスト』が考案した「ビッグマック指数」は、各国の為替レートなどの分析を可能にするきわめて実用的な経済指標である。 米ドルを基準にして各国にあるマクドナルドの「ビッグマック」価格を調べることで、どの通貨がドルに対して過小評価あるいは過大評価されているかを明らかにするいう仕組みだ。

ユニークな経済指標

ビッグマック指数を一人当たりのGDP(国内総生産)で調整するとPPP(購買力平価)が示されるほか、世界的な経済格差について実社会に基づく分かりやすい観察が行えるとされている。身近な商品を通して比較することで、難解な経済指標の理解を容易にするユニークな方法だ。それでは、2023年7月のデータおよび2023年11月の為替レートに基づいた世界のビッグマック価格を見ていこう。

アメリカ合衆国:5,58ドル

まずは「お膝元」のハンバーガー価格をチェックしてみよう。アメリカのビッグマックの平均価格は5,58ドル。少し高く思われるが、その原因のひとつに近年のインフレによる値上がりがある。ちなみに2019年7月のビッグマック平均価格は4,71ドルで、2000年は2,24ドルだった。

スイス:7,54ドル

世界一ビッグマックの値段が高い国はスイス。平均価格は6,70スイスフランで、約7,54ドルに相当する。これはスイスフランが38,5%割高であることを示し、GDPを加味しても世界で2番目に高いビッグマックとなる。

ノルウェー:6,46ドル

ノルウェーのビッグマックは70クローネで、世界で2番目に高い。クローネが24%割高であることが示され、GDPを考慮しても高額であり、アメリカと比較すると1,4%上となっている。

ウルグアイ:6,45ドル

ウルグアイでビッグマックを買うのは考えものだ。259ペソは実質的にきわめて高額であるだけではなく、GDPを加味すれば地元住民にとって世界で一番高額なビッグマックとなる。アメリカより16%下の価格に設定されるはずが、22,9%上となっている。

アルゼンチン:数値にするのが難しい

『エコノミスト』誌によれば、アルゼンチンのビッグマックは1650ペソでアメリカより7,4%上の価格だが、同国の通貨はこの数ヶ月で急速に切り下げられ、インフレも急上昇しているため数値にするのは難しいという。経済危機の影響で、GDPを計算に入れると現在最も高価なハンバーガーのひとつだ。

ユーロ圏:5,73ドル

ユーロ圏でビッグマックを買うと、国によって価格は異なるが、一般的にアメリカより若干高めとなる。GDPを加味するとユーロ圏は15,5%高く、実質ベースでは4,3%の割高となる。

スウェーデンとデンマーク:5,70ドル

スカンジナビア諸国のスウェーデンとデンマークでは、ビッグマックの価格はアメリカよりも上だ。GDPを加味するとスウェーデンよりもデンマークのビッグマックの方がお手頃価格となる。

イギリス:5,20ドル

イギリスのビッグマックは4,19ポンドでアメリカより3,4%安い。しかし一人当たりのGDPを考慮すると地元住民にとって4,5%割高となる。

メキシコ:5,17ドル

メキシコでビッグマックの平均価格は約89ペソ。アメリカにおける価格をわずかに下回るが、GDPを加味すると地元住民にとってかなり高い買い物であり、約15,2%割高となる。

カナダ:5,13ドル

カナダのビッグマックの平均価格は7,05カナダドル。『エコノミスト』誌の為替レートによれば、アメリカより4%ほど安いが、GDPを考慮するとほんの少し割高になるという。

アラブ首長国連邦:4,90ドル

アラブ首長国連邦のビッグマックは約18ディルハムで、アメリカよりかなり格安だ。ドバイやアブダビを擁するアラブ首長国連邦はオイルマネーで潤っているが、GDPを加味してもアメリカより7,6%低めの設定だ。

オーストラリア:4,84ドル

オーストラリアのビッグマックは7,45豪ドル。ただし、為替レートを考慮するとアメリカよりも10%ほど安い価格設定だ(隣国のニュージーランドよりも少し安価)。GDPを加味しても、オーストラリアの方がお得といえる。

シンガポール:4,79ドル

シンガポールも裕福な国だが、ビッグマックの値段はアメリカより13%ほど安く設定され、6,45シンガポールドルだ。GDPを計算に入れても低めであり、地元住民にとって約18%割安となる。

ペルー:3,67ドル

アルゼンチンとウルグアイをのぞけば、南米のビッグマックは手頃な価格設定となっている。ペルーの平均価格は14,90ソルで、アメリカで買うより26%ほど安い。GDPを加味してもペルーの方が割安だ。

中国:3,46ドル

2018年の調べによれば、中国で最も人気のあるマクドナルドのハンバーガーはビッグマックだという。2023年の価格は25元で、米国より約37%低い。GDPを加味してももかなり格安で、2022年1月以降はさらに安価になっている。

トルコ:3,31ドル

トルコでビッグマックを食べると95リラ程でアメリカより37%ほど安い。GDPを考慮しても約23%下回る数字だ。興味深いことに、2013年7月のビッグマックはアメリカより44.1%高い価格設定であり、近年のトルコの通貨変動とインフレをみてとることができる。

ルーマニア:3,16ドル

ヨーロッパで一番安くビッグマックを買える国はルーマニアだ。14,50レイでアメリカより約42%格安。GDPを加味しても33%ほど安価となる。

日本:3,06ドル

世界的に物価高のイメージができあがっている日本だが、ビッグマックの価格は低め。日本円で450円で、アメリカより43,2%安価だ。2011年は日本のビッグマックの方がアメリカよりも若干高額設定であったが、それ以降は価格が下がり続けている。

香港:2,94ドル

香港のビッグマックは、アメリカより約47%安い価格となっている。香港の1人当たりGDPはかなり高いので、購買力という点でも2番目に割安だ。

ウクライナ:2,90ドル

ウクライナのビッグマックは105フリヴニャで、アメリカのほぼ半額。戦時下にあるがハンバーガーの価格は比較的手頃となっている。ちなみにロシアではウクライナ侵攻により2022年5月にマクドナルドが撤退している。

南アフリカ:2,72ドル

南アフリカのビッグマックは49,9ランドで、アメリカよりはるかに安い。これは現地通貨がきわめて過小評価されていることを示唆している。GDPを加味してもアメリカより約39%安い。

インド:2,51ドル

牛が神聖な生き物とされるインドでは、牛肉の代わりにチキンを使用した「マハラジャ・マック」が食されている。そのため一概にはいえないが、209ルピーでアメリカより55%ほど安価となる。

インドネシア:2,46ドル

ハンバーガーに38,000ルピアは高いと思われるかもしれないが、アメリカに比べればかなり低い値段だ。世界で2番目に安いビッグマックであることに加え、近年さらに価格が低下している。

台湾:2,36ドル

世界で最もビッグマック価格が低いのは台湾。わずか75台湾ドルで、アメリカに比べて57%も格安だ。GDPを加味しても世界最安値となった。

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