一生に一度は乗ってみたい:100両編成、全長約2kmにわたるスイスの列車

「最長記録」
全長なんと1,906メートル
路線は世界遺産
写真を撮る人々
美しい車窓の景色
氷河や湖の数々
電車旅ベスト10入り
世界屈指の鉄道大国
険しい地形
試走失敗も……
記録に挑戦した運転士の声
速度制限は時速35キロメートル
中継も大変
それまでの世界記録は?
さらに以前の記録
世界記録に思いを馳せて
「最長記録」

自動車の全長からヒゲの長さまで、世界には風変わりな「長さ世界一」が色々と存在する。そしてこのたび、乗客を運ぶ列車の世界最長記録が更新されたようだ。

 

全長なんと1,906メートル

記録を打ち立てのはスイスのレーティッシュ鉄道。CNN放送の報道によれば、同社はスイスにおける鉄道導入175周年を祝うため、100両編成、総重量2,990トン、そして全長なんと1,906メートルの記念列車を運行したのだという。

路線は世界遺産

記念列車はユネスコ世界遺産のアルブラ線のプレダ駅からアルヴァノイ駅まで、25キロメートルの区間を1時間あまりかけて走破した。この路線はアルプスの難所を克服して20世紀初頭に開通したものだ。

写真を撮る人々

世界一長い列車がヘビのように走り抜ける様子を一目見ようと、沿線に集まってカメラを構える人々の姿も多く見られた。

美しい車窓の景色

アルブラ線は、緑豊かな森林や石造りのループ橋など車窓から見える美しい景色で世界的に知られており、観光客に人気の「氷河急行」もこの路線を走っている。

氷河や湖の数々

「氷河急行」の名の通り、沿線には雄大な氷河が広がっているほか、風光明媚な湖の数々が車窓の風景に彩りを添えている。

 

電車旅ベスト10入り

実際、『ロンリープラネット』が2022年に発表した「風光明媚なヨーロッパの電車旅ベスト10」では、アルブラ線(およびベルニナ線)を走る「ベルニナ急行」と「氷河急行」がそれぞれ第4位、第10位にランクインしているほどだ。

 

世界屈指の鉄道大国

もちろん、鉄道を利用するのは観光客ばかりではない。実際、スイスは国民1人あたりの鉄道利用距離がトップの鉄道大国なのだ。

 

険しい地形

そして特筆すべきは、路線を取り巻く険しい地形や厳しい環境を克服するための建設・メンテナンス技術だろう。これはアルブラ線およびベルニナ線が世界遺産に登録された理由のひとつでもある。

写真は雪崩に見舞われた線路の復旧作業を行う人々(1951年)

試走失敗も……

このような高い技術をもってしても世界一への道のりは容易ではなかったようだ。CNN放送によれば、最初の試走の際に緊急停止装置の不備が発覚した上、7人いる運転士の連絡に用いられるトランシーバーや携帯電話がトンネル通過中につながらなくなってしまうという問題も判明したという。

画像:Pradamas Gifarry / Unsplash

記録に挑戦した運転士の声

主任運転士のアンドレアス・クラマーはCNNに対し「運転中は全員で息をぴったり合わせなくてはいけません。全員が速度を維持し、その他システムを制御し続けなくてはならないのです」とコメントしている。

速度制限は時速35キロメートル

問題はそれだけでない。長い下り坂で用いられる回生ブレーキは、これほど多くの車両が狭い範囲に集中していると車両や設備に大きな負担をかけてしまうのだ。そのため、走行速度は時速35キロメートルに制限されることになった、とCNN放送は伝えている。

 

中継も大変

このような試行錯誤の末、100両編成の記念列車は無事に予定のルートを走破、新記録を達成した。その様子はカメラ付きドローンなどを用いて生中継されたが、電波の届きにくい山間部ではこれも一筋縄ではいかない作業だったという。

画像:Jared Brashier / Unsplash

それまでの世界記録は?

では、レーティッシュ鉄道が記録を更新するまで、乗客を運ぶ列車の長さで世界記録を保持していたのはどの鉄道なのだろう?ABC放送によれば、ベルギー国鉄がベルギー・ガン基金のチャリティを目的として1991年に運行した全長1.7キロメートルの列車がこれまでの世界記録だったという。

さらに以前の記録

さらに以前には、オランダ鉄道が1989年に全長1.6キロメートルの列車を運行した例があるという。

世界記録に思いを馳せて

雄大な自然に溶け込みながら、めくるめく景色の中を走り抜けるレーティッシュ鉄道。機会があればぜひ乗車し、その歴史や風変わりな世界記録に思いを馳せてみてはいかがだろう。

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