1,400人近い兵士をわずか一日で失ったロシア軍:のべ死傷者数は62万人以上
ウクライナ軍参謀本部が9月10日に行った発表によれば、ロシア軍はわずか1日のうちに1,400人近い兵士を失ったという。これほどの数の死傷者が短時間で出たとみなされたということは、前線で激戦が繰り広げられているということに他ならない。
『ニューズウィーク』誌によれば、ウクライナ軍参謀本部はこの日、ロシア軍が24時間で1,380人もの戦死者を出し、開戦以来の死傷者数は62万7,790人に達したという見方を示したそうだ。
一方、ロシア側は自軍が戦場で被った損害についてデータを明かしていないため、ウクライナ軍参謀本部による発表が正確なのかどうか見極めるのは難しい。
もちろん、ウクライナはこの戦争の当事国であり、その発表を鵜呑みにすることはできない。ところが、ロシア軍の損害について第三国が行った推計でも、ウクライナ軍参謀本部の発表とほぼ同じような数字が得られているのだ。
英国防省はロシア軍がウクライナの戦場で被った損害について、死傷者数をはじめとする推計を定期的に公表し、この戦争に関する英国政府の見解を伝えている。そのデータはかなり信頼できると見てよいだろう。
英国防省が9月5日に発表したデータによれば、ロシア軍の死傷者数はすでに61万人を突破した可能性が高いという。また、今年8月は死傷者数が顕著に増えているとのこと。
英国防省いわく、「ロシア軍の死傷者数は2024年8月に、1日平均1,187人に増加した」そうだ。
ロシア軍の死傷者が今年8月に急増した理由は明らかだ。英国防省も指摘しているとおり、ロシア軍はドネツク州の要衝ポクロウシクを占領するため、自軍の損害を度外視した攻勢をかけ続けているのだ。
英国防省いわく:「2024年8月に(ロシア軍の)死傷者数が増加したのは、ウクライナがクルスク州で作戦を行ったことに加えて、ポクロウシク周辺でロシア軍が圧力をかけ続けていることが原因だと見てほぼ間違いない。ロシアは人員と装備の性能不足を補うために人海戦術に頼っている」
同国防省はさらに、「ロシア軍は今後も1ヵ月間は前線全体に圧力をかけ続けるだろう。しかし、その力量は限定的であり、戦術的な成功を大局的な戦果につなげる能力は今後も低下し続けるだろう」と結論づけている。
英国防省はロシア軍が9月中もクルスク州からロボティネ(ザポリージャ州)にわたる前線全体で作戦を続ければ、その死傷者数は1日平均1,000人あまりという高い水準で推移すると見ている。
しかし、同国防省が8月初旬に公開したデータによれば、ロシア軍の死傷者数は今年5月の時点で1日平均1,262人、6月には1,140人となっており、減ってきているのも事実だ。
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