30歳以下のビリオネアたちが手にした資産は単なる「親譲り」?
野心溢れる起業家たちが目指すのは資産10億ドルの大台にのること、つまりビリオネアになるということだ。さらに、若くしてこの偉業を成し遂げたとすれば、財界の伝説として名を残すこともできる。
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若くしてビリオネアの地位に立った人物の例としては、故スティーヴ・ジョブズ(Apple社の元CEO)やエヴァン・シュピーゲル(Snap Inc.のCEO)、ビル・ゲイツ(マイクロソフトの元CEO)、マーク・ザッカーバーグ(Meta社のCEO)などが挙げられる。
写真はMeta社のCEO、マーク・ザッカーバーグ
しかし、このような天才起業家たちが実力でのし上がる時代は終わりを迎えつつあるのかもしれない。
写真はファブリツィオ・ウグッツォーニとレオナルド・マリア・デル・ヴェッキオ
『フォーブス』誌の長者番付を見てもわかる通り、最近の若手ビリオネアたち(30歳以下)は革命的なアイデアや経営の才覚で成功を掴んだわけではない。多くの場合、相続によって莫大な富を手にしているのだ。
写真:ノルウェーの若手ビリオネア、ギュスターヴ・マグナル・ウィットゾー
現在、『フォーブス』誌の長者番付に名を連ねる30歳未満のビリオネアたちの中に、自力で巨万の富を生み出した人物は一人もいない。全員が先代(あるいはそれ以前)の築き上げた資産を受け継いだ者たちなのだ。これは2009年以来、はじめての事態だ。
ただし、この傾向が驚くべきものかと言えば、そうではない。実際「Cerulli Associates」は以前から、ミレニアル世代とZ世代の後継者たちが一族から大企業グループの経営権を託されるようになるだろうと予測していた。
写真はMazinnブランドのディレクター、エイドリアン・バリェステル
『フォーブス』誌の長者番付によれば、ビリオネアたちの平均年齢は66歳と比較的高齢だが、エヴァン・シュピーゲル(Snap Inc.のCEO、33歳)やベン・フランシス(Gymshark社のCEO、32歳)といった若手の名前も散見される。
写真:Instagram - @benfrancis
前述の2人はすでに30歳以下ではないものの、自らの才覚で道を切り開いてきた起業家たちだ。このような人物のもっとも顕著な例は、23歳のときに長者番付入りを果たしたマーク・ザッカーバーグだろう。
しかし、かつての若手起業家たちは今や世界屈指の大金持ちとして揺るぎない地位を確立した。ということは、さらに次世代のビリオネアたちもいずれ、長者番付の上位にランクインするようになるはずだ。
現在、30歳以下の若手ビリオネアは15人おり、その資産総額はおよそ250億ドル。前世代のビリオネアたちとは異なり、ほとんど全員ヨーロッパ出身で、自ら富を築いたわけでない。
写真:ルクソティカ創業者の息子、レオナルド・マリア・デル・ヴェッキオ
もちろん、彼らの富が相続によるものだからといって、実業家としての資格がないというわけではない。教育レベルの高さや新時代に適応する柔軟性のおかげで、一族の事業を継承し、資産を増やす準備はできているのだ。
写真:Oculus VRの創業者、パルマー・フリーマン・ラッキー
『フォーブス』誌の長者番付で最年少となったのは、祖父が創業した電気モーター大手WEG社(総資産11億ドル)を受け継いだリヴィア・フォークト(ブラジル)だ。なんと19歳だというから驚きだが、姉のドーラ・フォークとともに同社の経営に当たっているそうだ。
また、2022年にこの世を去ったレオナルド・デル・ヴェッキオの末っ子で、「レイバン」ブランドおよびルクソティカグループの後継者の一人となったクレメンテ・デル・ヴェッキオも19歳だ。クレメンテは2人の兄レオナルド・マリア、ルカとともに、それぞれ47億ドルずつを受け取ったとされる。
また、世界でもっとも裕福な若手ビリオネアはタタ・グループのサイラス・パロンジ・ミストリー元会長から49億ドルを相続した2人の息子、ザハン(25歳)とフィローズ(27歳)だそうだ。
この傾向が続けば、近い将来、次世代の実業家たちの間で起業家精神は失われ、資産管理が主な仕事になるだろう。専門家によれば、企業が倒産に至るのは経営者が3代目になったときだという。現在の若手ビリオネアには3代目も多いのだが、一体どうなるだろうか?
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