自由度ランキングTOP10:現代アメリカはほんとうに自由の国?

「人間の自由度指数」
人間の自由度とは?
2つの項目
個人の自由度
経済的自由度
アメリカの順位
移動、正義、政府の規模に関して低評価
パンデミックが人間の自由度に与えた影響
2019年のランキング
落ち続ける順位
順位が下がったほかの国々
上位10か国
10位:ルクセンブルク
9位:オランダ
8位:フィンランド
7位:アイスランド
6位:スウェーデン
5位:アイルランド
4位:デンマーク
3位:エストニア
2位:ニュージーランド
1位:スイス
「人間の自由度指数」

1977年に設立されたアメリカのリバタリアン系シンクタンクのケイトー研究所が、「人間の自由度指数(Human Freedom Index)」を毎年発表している。世界各国を対象に調査を行ったもので、協力者の中には12人のノーベル経済学賞受賞者も含まれる。

人間の自由度とは?

ケイトー研究所は、小さな政府、個人や市場経済の自由、そして平和を提唱している。そして、人間の自由度指数は「自分が思うことを行い、発言し、考える権利に対する干渉からの自由度(ただし、同じことを他人が行う権利を侵害しないことを条件とする)」を測定しているという。

2つの項目

この指数では、自由にとって不可欠と思われるさまざまな側面を、個人と経済という2つの項目に分類する。そして偏りを避けるため、各項目について他の機関が行った測定値と比較している。

個人の自由度

「個人の自由度」については、移動、宗教、組織および団体、表現、人間関係などの自由度に関する情報を収集する。また、各国や地域の法令による規則や安全に関しても評価を行っている。

経済的自由度

「経済的自由度」の項目では、政府の規模、財産権の保護、国際貿易の自由度、経済福祉、および規制を分析している。

アメリカの順位

自由の国とうたわれるアメリカは、2022年のランキングで23位に転落した。スコアは10点中8.23で、カナダやオーストラリア同様、多くのヨーロッパ諸国の下に位置している。

移動、正義、政府の規模に関して低評価

ケイトー研究所によれば、アメリカは法令による規制、政府の規模、移動自由度のカテゴリーで最も低いスコアを収めた。パンデミックによる移動制限もさることながら、経済面での資本と人の移動、そして個人の自由度に関する刑事司法制度で低い評価を得ている。

パンデミックが人間の自由度に与えた影響

ケイトー研究所によれば、移動の制約が原因で、ほとんどの国でパンデミック時に総合点が激減した。しかし、アメリカの場合、全てをパンデミックのせいにはできない。

2019年のランキング

2022年度のランキングで、パンデミックで移動を制限した多くの国々はアメリカよりも高い順位をとっている。さらに、パンデミック前にあたる2019年の時点で、アメリカの順位は16位とすでにトップ10からは遠い位置にあった。

落ち続ける順位

2000年以降、アメリカは2008年と2014年を除いて順位を下げ続けている。2000年から2006年にかけては6位から10位、2008年から2012年は8位から11位、そしてランキングの発表が年2回から1回となった2014年から2019年は、9位から16位にまで転落している。

順位が下がったほかの国々

パンデミック時に順位を落とした国もあるが、いずれもアメリカより高い順位に登場している。カナダは2022年に7位から13位に転落し、ノルウェーとオーストラリアは11位を分け合った。新型コロナウイルスの規制があったにもかかわらず何とか地位を維持した形だ。

上位10か国

ランキングの上位9カ国はヨーロッパ、そのうちの7カ国は欧州連合加盟国となった。上位10カ国はいずれも個人の自由度で高いスコアを出し、人間関係の自由度では10点満点のスコアを獲得した。最も低い内容はいずれの国も「政府の規模」だったので、この2つについては次以降のコメントで除外している。それでは人間の自由度指数ランキングの上位10カ国をみていこう。

10位:ルクセンブルク

治安と安全性についてヨーロッパの中でもトップにあたるスコア9.9を獲得したルクセンブルク。しかし、移動と市場規制の自由度で7.7という低スコアを出し、総合で8.53、10位となった。

9位:オランダ

スコア8.5で9位に付けたオランダ。治安と安全性が9.8の最高スコアで、最低は市場規制の7.8だった。

8位:フィンランド

オランダ同様、市場規制で7.8の最低スコア、しかし表現の自由で9.9のスコアを出し、総合8.62で8位となった。

7位:アイスランド

アイスランドは、治安、そして信教や結社の自由でそれぞれ9.8の高スコアを出した。しかし市場規制で7.1、総合で8.64となった。

6位:スウェーデン

8.66で6位となったスウェーデン。最も高かったのは信教の自由の9.9、最も低かったのは市場規制の7.7だった。

5位:アイルランド

アイルランドの最低スコアは法制度と財産権のカテゴリーで6.2、最高は表現の自由で9.9、総合8.7で5位にランクインした。

4位:デンマーク

総合8.72をマークしたデンマークの上位3項目は、通貨の健全性、治安と安全性、結社の自由でそれぞれ9.7。最低となるカテゴリーは移動の自由で7.8だった。

3位:エストニア

表現の自由で9.8をマークしたエストニア。移動の自由と市場規制で8.2、総合8.73で3位の高位置に付けた。

2位:ニュージーランド

8.75で2位となったニュージーランド。ヨーロッパ以外の国でトップ10に入った唯一の国だ。信教の自由が9.9と最も高く、最低スコアは法による規則の7.7だった。

1位:スイス

みごと「自由度指数」ランキングのトップを飾ったのは、総合8.94のスイス。EUに属さないヨーロッパの国であり、通貨の健全性と表現の自由が9.9の最高スコアを記録。反対に低かったのは国際貿易の自由で7.6だった。

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