自動車大国の日本も!左側通行の国が存在し続ける理由とは?
歴史家エイミー・シラ・テイテル氏によると、フランス革命前は貴族は左側通行、農民は右側通行だったが、革命後は貴族も一般の人々と同様に道路の右側を通行するようになったという。
その後、イギリスとフランスはそれぞれの植民地に車両通行ルールを輸出した。そのため、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、インドなど、多くの旧イギリス領では今でも左側通行となっている。
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旧イギリス植民地であるカナダの場合、主に米国とカナダ間の往来を円滑にするために、1920年代に左側通行から右側通行に変更した。
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もう一つの大きな影響は、米自動車メーカーフォードが1908年に製造したT型フォードの登場だ。フォードは左ハンドルの車を大量生産し、その結果、右側通行が普及していくことになった。
1920年代に左側通行から右側通行に変更したのはカナダだけではなかった。スペインは1924年、イタリアとポルトガルは1926年に、それまで左側通行だったヨーロッパの他の国々も右側通行に変更した。
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さらに第二次世界大戦中、ヒトラーはチェコスロバキアとハンガリーに左側通行から右側通行への変更を強制した。
その後、スウェーデンでも1967年9月3日に一夜にして左側通行から右側通行に変更された。この日は、右側通行を意味するスウェーデン語「Högertrafik」の略称でHデーと呼ばれている。
スウェーデン当局が右側通行に変更した理由は2つある。まずは、国境を接するフィンランドが右側通行に変わったことである。次にスウェーデン最大の自動車メーカーであるボルボがヨーロッパ諸国に輸出するために左ハンドルの車を量産したことだ。
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スウェーデン人は左側通行の道路を左ハンドルで運転していたため視界が悪く、結果的に交通事故の増加につながっていた。この対策として右側通行が導入されることになったのだ。
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スウェーデンに続いてアイスランドも左側通行を廃止している。1970年代には、旧イギリス植民地であったアフリカのナイジェリアとガーナも左側通行を廃止し、右側通行に移行した。
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日本は明治時代から一貫して左側通行だ。その理由としては、江戸時代に武士が刀を左に差していたことや、明治時代にイギリス式を取り入れたことなどが挙げられている。島国であることや、世界有数の自動車大国であることを考えれば、日本が右側通行になるということは考えづらいかもしれない。
しかし、右側から左側通行に切り替えた国も存在している。英『ガーディアン』紙によると、サモアは2009年に右側通行から左側通行に切り替えたという。これは非常に珍しいことで、大きな話題になった。