自ら敷設した地雷で身動きがとれないロシア軍
ロシアに対して攻勢を試みるウクライナだが、ゆっくりとした進軍を強いられている。その背景には、ロシア軍が拠点防衛のために敷設した無数の地雷がある。
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ウクライナ軍の進軍ルートには対戦車地雷および対人地雷がびっしりと埋まっており、ウクライナ軍の総司令官はこのことが攻勢の遅れにつながっていると主張。
ウクライナ軍のヴァレリー・ザルジニー元総司令官は2023年7月15日付けの『ワシントン・ポスト』紙上で、「地雷原が広大すぎて、すこしばかり装甲を貼っただけの戦車ではどうしようもありません」と述べたのだ。
ザルジニー元総司令官はさらに、どんな装甲車であっても結局は地雷に足止めされ、「集中砲火で撃破」されてしまうと説明。
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たとえば、2022年7月末にウクライナ軍が反転攻勢をはじめたときには、ウクライナ南部の村マラ・トクマチカ付近でこの作戦を展開するロシア軍の攻撃を受け、大打撃を受けてしまった。
ところが、『ニューズウィーク』誌の報道によれば、地雷原を利用したこの防衛戦略はロシア軍にとって裏目に出ており、「深刻な問題」に発展する可能性もあるという。
ベン・ホッジス元米欧州陸軍司令官の顧問だったマーク・ヴォイジャー氏は『ニューズウィーク』誌に対し、「ロシア軍はウクライナ南部で地雷を大量に敷設したため、自らも進軍することができなくなっています」とコメント。
写真:Facebook @lvivSF
さらに、「ロシア軍はいずれ、自分たちが南部全域にびっしり配置した地雷原に取り囲まれてしまうことでしょう」としている。
また、ウクライナ軍による反転攻勢が停滞した場合も、ロシア軍は自分たちの地雷原に阻まれて放棄した拠点を再占領することができない可能性が高いという。
前出のヴォイジャー氏いわく:「たとえロシア軍が反撃を狙ったとしても、彼ら自身が設置した分厚い要塞と地雷原が邪魔になって、うまくゆかないはずです」
同氏によれば、ロシア軍は南部の防衛線に釘付けになっており、彼らが攻勢をかけるとすれば東部のどこかである可能性が高いという。
しかし、ウクライナはその後南部のロボティネでロシア軍の防衛線を突破、地雷原をくぐり抜けて進軍を実施した。
ロイター通信によれば、ロボティネに突入した部隊を率いるウクライナ軍の司令官、コードネーム「スカラ」は「私たちはここで進軍をやめたりしません」と決意を見せたという。
同司令官いわく:「私たちは地雷の埋まった幹線道路をもう通り過ぎました。前進することができる場所まで来ているのです。ここからはもっと速く進むことができるはずです」
ウクライナ軍が広大な地雷原に通り道を作ることができれば、自ら敷設した地雷に阻まれて思うように反撃に出られないロシア軍は拠点を脅かされる可能性が高い。