東京ドーム3千個分以上に及ぶ面積が焼失したロサンゼルス:2028年五輪にも影響が
先月、アメリカ西部ロサンゼルスで発生した大規模な山火事は3週間にわたり燃え続け、ようやく鎮圧された。この火事で29人の死亡が確認されたほか、被害範囲は155平方キロメートル以上にも及んだ。この面積は、東京ドーム3千個分以上にあたるという。
米ウェブサイト「ビジネスインサイダー」が引用した気象データプラットフォーム「アキュウェザー」の情報によると、今回の山火事の被害総額は2,500億ドル(約38兆円)から2,750億ドル(約42兆円)に達する可能性があるそうだ。
2028年ロサンゼルスオリンピックに向けて準備が進むなか、その開催に暗雲が垂れこめている。
オリンピックの開催が予定されている80以上の会場のうち、現状のところ直接的な影響を受けたものはない。しかしながらサッカーの試合が行われるローズボウル・スタジアムと、ゴルフ競技会場のリビエラ・カントリー・クラブのすぐ近くにまで、火の手が及ぶ事態となった。
米紙『ロサンゼルス・タイムズ』は、選手村となるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)について、「山火事の影響でキャンパス内は閑散としている」と報じた。
国際科学者チーム「ワールド・ウェザー・アトリビューション」は1月28日、今回の山火事は気候変動が関与していると発表。乾燥が激しくなり山火事のシーズンとなる夏に、ロサンゼルスオリンピックは開催予定のため、同規模の山火事が再び発生する可能性もあるそうだ。
米紙『ニューヨーク・タイムズ』によると、2017年にオリンピックの開催を支持した元市議会議員のマイク・ボニンにとって、山火事は「最悪のシナリオ」だという。「山火事は、ロサンゼルス市がオリンピックを開催する能力があるかどうかをはかる試練だと言えるでしょう。市議たちは対処に追われているはずです」
保守派のなかでは、民主党出身のカレン・バス市長(画像中央女性)の山火事対応への批判も巻き起こっている。また同じく民主党員でカリフォルニアのギャビン・ニューサム州知事に対し、消火用の水が不足しているという非難の声も挙がった。
X(旧Twitter)上で保守派政治活動家のチャーリー・カークは、ロサンゼルスオリンピックの中止を主張。「消火栓に水を満たせないなら、オリンピックを開催する資格はない。ダラスかマイアミを開催地とし、世界中のアスリートの安全が保証される場所で競技を実施すべきだ」と自論を展開した。
ロサンゼルスオリンピックの費用は70億ドル(約1兆600億円)と推定されており、被災地復興と大会開催の両立が可能なのかを疑問視する声も挙がっている。
米紙『ニューヨーク・タイムズ』のインタビューに答えたヴァージニア工科大学のジャドリアン・ウーテン教授によれば、ロサンゼルスの財源を「オリンピック専用地域の活性化」と「将来の森林火災対策」にどう振り分けるかが、今後数ヶ月間の課題となりそうだ。
同紙は加えて、 3年半後となるロサンゼルスオリンピックの開幕時には、現地はまだ復興の真っ最中だろうと予測している。
一方、ロサンゼルス2028オリンピック・パラリンピック組織委員会のケイシー・ワッサーマン会長は楽観的な姿勢を見せている。「ロサンゼルスは困難から立ち直る強さと決断力に溢れる都市です。今回の試練を乗り越えることで、私たちの団結はより強固なものになるでしょう。2028年のロサンゼルスオリンピックで、世界中の人々を迎え入れることを心待ちにしています」とコメントを発表した。
ニュースサイト「アクシオス」によると、1月15日にトランプ氏の私邸であるマール・ア・ラーゴにて行われたワッサーマン会長との会談にて、トランプ大統領は「これはアメリカのオリンピックだ。ロサンゼルスにとってこれまで以上に重要な大会であり、歴史上最高の祭典となるよう、あらゆる面でサポートする」と発言している。
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