トランプ大統領が就任初日に出した大統領令まとめ:移民、ジェンダー、気候変動……
二期目が始まったトランプ大統領だが、就任早々に大統領令を乱発しており、バイデン前大統領の政策を撤回するような動きも見せている。
たとえば、バイデン前大統領は不法移民の強制送還について、優先的に送還する対象を限定していた。対象となっていたのは特に重大な犯罪を犯したり、国家安全保障上のリスクとみなされたり、国境で拘束されたりした人物だが、トランプ大統領はこの方針を撤回し、犯罪歴の有無にかかわらず不法移民全体を送還の対象とした。スカイニュースが報じている。
またBBCによると、これまでは不法滞在が疑われる移民も審理を待つあいだ社会生活を継続できたが、その慣行も大統領令で廃止された。さらに、教会や学校に立ち入っての身体拘束の禁止も解除された。
それだけに留まらず、トランプ大統領は不法移民を国境地帯における非常事態と宣言。これによって移民局員支援の名目で米軍を派遣することが可能になったほか、難民や亡命者も制限できるようになった。スカイニュースが伝えている。
さらにはアメリカで生まれた不法移民の子供に市民権を認めないとする大統領令にも署名、アメリカの伝統である出生地主義を否定する挙に出た。
だが、市民権の出生地主義は憲法で定められており、裁判所もそれを支持している。そのため、ニュースサイト「Axios」も指摘するように、この大統領令は今後その違憲性が問われることになるだろう。
NBCニュースによるとトランプ大統領は他にも、米政府が認める性別は男と女の2つだけであることや、「急進的で無駄ばかりの」多様・公平・包括(DEI)政策の廃止を宣言した大統領令にも署名したという。
同じくNBCニュースによると、その大統領令では、政府は「ジェンダー」ではなく「性別」という言葉を用いることや、パスポートやビザなどの公的書類は「性別を正確に反映」させることなども述べられていたという。これは、性別を特定しない「X」ジェンダーを選べるようにしたバイデン政権時代の決定を覆すものだ。
トランプ大統領によるとこの大統領令は「女性を極端なジェンダーイデオロギーから守り、生物学的真実を取り戻す」政策の一環であり、保険を通して性別移行に税金が使われることも防ぐのだという。
トランプ大統領は二酸化炭素排出量の削減を定めたパリ協定からの離脱も表明。気温上昇を防ぐ全世界的目標の達成が危ぶまれているほか、2021年にバイデン前大統領が打ち出した、2030年までにアメリカで販売される車の半数を電気自動車にするという目標も破棄した。スカイニュースが報じている。
それどころか、トランプ大統領はある大統領令で「エネルギー非常事態」を宣言、国内での石油採掘を大幅に増やし、やがては全世界に石油を輸出することを目指すとした。
そのほか、初日に署名された大統領令にはTikTok禁止の停止や、2021年の米連邦議会襲撃で有罪となった人々への恩赦、WHOからの脱退などがある。
ところで、トランプ大統領が初日から乱発している大統領令とはいったいどのようなものなのだろうか。ごく単純に説明すると、議会の承認無しに大統領が連邦政府に対して発することのできる命令といえる。
当然ながら大統領令で違法な命令をすることはできず、その内容は法律顧問局の審査を受ける。ただ、BBCによるとその審査は必須ではないようだ。
大統領令が容認できない内容のものであった場合、法的な審査にかけることができる。さらに、議会は大統領令を覆す内容の法案を提出することも可能だ。だが、大統領はその法案に対する拒否権を有している。
このように、大統領令は議会の承認を得ずに大統領が独立して動くことを許しており、非民主的であるとして批判も存在する。トランプ大統領に対しても、早くも独裁的な政権運営だという非難の声が挙がっている。
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