異例の3選を目指す? 演説中にフリーズ? トランプ元大統領がまたしても論争を巻き起こす
5月18日に開催された全米ライフル協会の年次総会に出席し、演説を行ったドナルド・トランプ元大統領。しかし、その発言内容のせいで、またしても新たな論争を巻き起こしてしまったようだ。
トランプ元大統領の問題発言はテキサス州ダラスで開かれた全米ライフル協会の「リーダーシップ・フォーラム」で飛び出したもので、一部の人々からは怒りの声が挙がっているという。
The Daily Digest をフォローして世界のニュースをいつも手元に
ロイター通信によれば、トランプ元大統領は銃所持擁護派の人々に対し、投票所に足を運ぶよう呼びかけたとのこと:「銃所持者にはぜひ、投票していただきたい。あなた方は反骨精神をお持ちだ。今回は投票によって反骨精神を示そうじゃないか」
全米ライフル協会(NRA)は2016年、2022年、そして今回と、大統領選挙のたびにトランプ氏を支持してきた。一方、トランプ元大統領も自分が再選された場合には、就任初日にアルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)の局長を解任するという公約を掲げ、NRAの支援に応えようとしているのだ。
トランプ元大統領はさらに、現職のジョー・バイデン大統領に対する批判を展開。2期目に返り咲いた暁には、「バイデン大統領が進めてきた合衆国憲法修正第2条(国民の武装権を保障する条文)に対する攻撃をすべて撤回する」と約束した。
一方、バイデン陣営もトランプ発言に素早く反応。ロイター通信によれば、トランプ元大統領の政策は公共の安全よりも銃ロビー団体を優先したものだと主張したという。
バイデン陣営の広報アマル・ムーサ氏は「今夜、ドナルド・トランプ氏はNRAの言いなりになることを宣言しました。たとえ、犠牲者や銃撃事件が増え、ますます苦しみが広がるとしてもだそうです」とコメント。
しかし、「リーダーシップ・フォーラム」の場でトランプ元大統領が口にした問題発言はこれだけではない。再選した暁には、今のところ合衆国憲法によって禁止されている大統領3選への道を開くと軽口をたたいたのだ。
ニュースサイト「ポリティコ」によれば、トランプ元大統領が聴衆に向かって「ご存じのとおり、FDR(フランクリン・D・ルーズベルト大統領)は16年間、ほぼ16年間、4期にわたって大統領を務めた。われわれも3期目を目指すべきなのか、それとも2期までだろうか?」と問いかけたところ、「3期目!」という叫び声が挙がったそうだ。
しかし、4月に『タイム』誌が行ったインタビューの中で、トランプ元大統領は今回の発言と相反するコメントを行っていた。合衆国憲法修正第22条(米大統領の任期制限を定める条文で、ルーズベルト大統領の辞任後に制定された)を改正するつもりはない、と明言していたのだ。
当時、トランプ元大統領は「(修正第22条の改正には)まったく賛成できないね。私は4年間の任期の中で立派に役目を果たすつもりだ。この国を正しい道に戻すということさ。今、わが国は衰退に向かっている。まるで失敗国家じゃないか。この国は嵐のまっただ中にあるんだ」と述べていた。
しかし、論争の的となったのはこれだけではない。『ニューズ・ウィーク』誌によれば、全米ライフル協会におけるトランプ元大統領の演説には認知機能の衰えを感じさせる一幕があり、反トランプ派を凍り付かせたというのだ。
演説の中でテキサス州を賞賛していたトランプ元大統領は突然「フリーズ」し、しばらく口をつぐんでから、ようやく演説を再開したという。
『ニューズ・ウィーク』誌いわく、トランプ元大統領は「テキサス州の誇り高き自立心を築き上げたのは、カウボーイや酪農家、牧場主、レンジャー、石油産業の労働者、兵士をはじめとする、とても勇敢な開拓者たちだった」と述べたところで口ごもり、30秒あまりも沈黙してしまったらしい。
その後、ようやく口を開いたトランプ元大統領は「ところが今、この国は衰退に向かっている。失敗国家になってしまった。過去58年間で最高のインフレ率で銀行は破綻し、金利も急騰しているじゃないか」と演説を続けた。
この一幕を受け、バイデン派のXアカウントでは「ドナルド・トランプは今夜の集会で突然、バグを起こしてフリーズした。明らかに大統領にふさわしくない。リツイートして、トランプは認知症だと全米に知らしめよう」といった投稿が相次いだ。
『ニューズ・ウィーク』誌によれば、民主党支持のコンテンツクリエイター、ハリー・シッソン氏をはじめとするバイデン派SNSアカウントではトランプ元大統領の「認知機能の急激な衰え」を指摘し、大統領選からの撤退を求める声が挙がっているという。