来館者に会えずに気落ちしたマンボウ:水族館スタッフの顔写真で元気を取り戻す
生き物たちもわたしたち人間と同様に、人恋しさを感じるらしいことは以前から知られていた。とくに、コロナ禍の際には、来園者が途絶えたことにストレスを感じた動物たちが異常行動に出る、といったケースが各地の動物園から報告された。
しかし、来園者の訪問を心待ちにしているのは、動物園で飼育されている動物たちだけではないようだ。なんと、臨時休館によって客足が途絶えた水族館で、マンボウが元気をなくしてしまったというのだ。
The Daily Digest をフォローして世界のニュースをいつも手元に
『毎日新聞』が報じたところによれば、このマンボウは山口県下関市立しものせき水族館「海響館」で暮らしているそうだ。同水族館は設備の改修工事を行うため、昨年12月1日から今年夏まで臨時休館となっている。
画像は海響館で飼育されているマンボウ(Kyodo News Images)
ところが、休館が始まるとこのマンボウはエサのクラゲを食べなくなってしまったほか、水槽に身体をこすりつけるといった、異常な行動を見せるようになったという。同紙によれば、当初は寄生虫や消化不良が原因ではないかと推測されたが、そうではないことが判明。
そんな中、あるスタッフから「来館者がいなくなってさみしいのでは」という意見が飛び出した。そこで、同水族館では飼育員の制服や人の顔の写真をマンボウの水槽に貼り付けることにしたそうだ。
画像:X @shimonoseki_aq
その結果、マンボウはその翌日からクラゲを食べ始め、元気を取り戻していったとのこと。本当に、人恋しさで体調を崩していたのだろうか?
画像:X @shimonoseki_aqのスクリーンショット
NHK放送の取材を受けた飼育員の宮澤萌さんいわく、来館者の不在が体調不良の原因かどうかはわからないとのこと。ただし、このマンボウは人を見ると寄って来る、人懐こい個体であることは確かだそうだ。
画像:X @shimonoseki_aqのスクリーンショット
『毎日新聞』によれば、このマンボウは高知県沖で捕獲された個体で、来館当時のサイズは体長79.5センチメートル、体重27.65キログラムだったが、現在はさらに大きいとのこと。
また、NHK放送は海響館のマンボウについて、クラゲを食べる姿を捉えた動画がSNS上で公開されると、わずか1日のうちに再生回数が250万回を突破するなど、同水族館の人気者だと報じている。
ともあれ、元気を取り戻してくれたということなので、一安心だ。気になる方は今年夏に予定されている海響館の再オープンを待って、このマンボウに会いに行ってみてはいかがだろうか?
画像は海響館(写真AC)