欧州のスタートアップが開発する未来の航空機:ロンドンからシドニーを4時間でつなぐ
ついに人類はヨーロッパからオーストラリアまで4時間で、フランクフルトからドバイまでわずか90分で移動できるようになった……。まるでサイエンス・フィクションのような話だが、欧州のスタートアップ、デスティナス(Destinus)社が開発中の極超高速(ハイパーソニック)航空機により、SFは遠からず現実になるかもしれない。
写真:Twitter@destinusaero
ユーロニュースが報じるように、デスティナス社はスイス発のスタートアップで、創業は2年前、2021年のことである。わずかな期間で長足の進歩を遂げたのだ。
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この企業は、スペイン政府事業と提携するほか、スペイン・フランス・ドイツにまたがるチーム(総勢120名)の協力をとりつけている。
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デスティナスはこれまで1200万ユーロ(約18億円)の出資を受けており、政府系のテクノロジー機関や私企業、さらにはスペインの諸大学とも共同作業をおこなってきた。
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はじめの二つの試作機は、テストフライトをつつがなく終え、目下のところ次のステップである水素燃料による飛行テストを開始すべく調整中である。
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3機目の試作機「デスティナス3」は、その記念すべき初フライトを今年末に実施するという。
CNNの報道によれば、デスティナス社製極超音速航空機は、マッハ5で飛ぶ予定である。マッハ5は、音速の5倍のスピードを意味する。
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時速になおすと、最高で時速6174km、およそ3837mphで飛ぶことになる。
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このめくるめくスピードにのり、航空機はロンドンからシドニーまで4時間そこそこで着くことができる。ちなみに現行便だとロンドン-シドニー間はおよそ22時間かかる。
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ところで、極超音速航空機の動力はどうなっているのか? 『Designboom』の記事によると、デスティナス社の航空機は水素を動力源としている。水素はクリーンな(環境汚染を引き起こさない)燃料であり、単位質量あたりのエネルギーも従来のジェット燃料より大きい。
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デスティナス社ホームページによると、航空機はハイパーポートから離陸する。ハイパーポートとは、水素の統合的な運用を可能とするインフラを備えた空港を指す。滑走路は通常のものを利用し、離陸直後、まずは一般の航空機と同じく、空気吸込みエンジンによって加速する。つづいて化学ロケットエンジンに点火、さらに高度と速度を増し、成層圏の上の中間圏、地表およそ50kmに達し、速度も極超音速、フライトは巡航段階へと移行する。
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水素だけがクリーンな燃料というわけではない。だが、水素は自然界に豊富にあり、かつ、再生可能な仕方で生産することが可能だ。したがってデスティナス社の航空機は、環境負荷がとても少ない仕組みをしているといえる。
だが、この航空機の開発にはもちろん障害がある。課題の一つは、デスティナス社によると、極超音速の飛行により生じる極めて高温の摩擦熱にどう対処すべきかだという。
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同社ウェブページは語る:「この速度では、機体の温度を低く保つことが非常に厄介になってくる」
「そこでわれわれは、解決策として独自のアクティブ冷却システムを開発しており、このシステムにより、空気との摩擦で生じる熱エネルギーが推進力に変換される。航空機の表面にまとわりつく高温のフローから機体を守り、その温度を低く保ち、同時にロケットエンジンを加速させるという寸法だ」
もしデスティナス社が全てのテストを成功させるなら、数年後にはわれわれは、航空旅行における画期的な転換を目にすることになるかもしれない。
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同社の事業開発マネージャーを務めるマルティナ・レーヴクヴィスト(Martina Löfqvist)は、デスティナス社の今後の展望をCNNに語っている。社は2030年代を目標に、「デスティナス3」よりサイズの小さい水素飛行機を飛ばしたい考えだ。定員およそ25名、乗客はビジネスクラスに限られる。
同社は2040年代には、こんどは全面的にスケールアップしたバージョンを製造する。エコノミー含む複数のクラスの客を載せて、世界の裏まで猛スピードで運ぶ予定だ。
写真:YouTube@Destinus