最新宇宙技術「パルスプラズマロケット」:宇宙移動の加速化に期待
宇宙に向かい、自由に惑星間を航行することは人類にとって長年の夢だ。しかし現時点では、地球からほかの惑星への距離はあまりにも大きく、人間が安全に移動することはできない。しかし、最新のパルスプラズマロケット技術が確立されればこうした状況が一変する可能性がある。
貨物と人間の両方を効率的に移動させることは、宇宙旅行に必要不可欠だ。そうした宇宙における長距離航行を可能にする鍵は、ロケットの速度にある。
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現時点では、惑星間の航行を可能にするような高推力を生み出す技術はない。しかし、ハウ・インダストリーズ社は、この問題を解決する鍵となるロケットの開発に取り組んでいるという。
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それがパルスプラズマロケットだ。パルス技術はもともと核融合に関連した技術であるが、5月1日のNASAの発表によれば、これを宇宙技術に応用したパルスプラズマロケットは非常に小型だという。
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NASAによれば、パルスプラズマロケット(PPR)は将来的に、比推力(ISP)5,000で、最大100,000ニュートン(N)の推力を生成できる可能性があるという。これらの数値が意味するのは、PPRは非常に燃料効率が良く、高い推進力をもつということだ。
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「高い燃料効率と高推力をあわせもつPPRの並外れた性能は、宇宙探査に革命を起こす可能性を秘めています」とNASAのブリアナ・クレメンツは語った。ここでは、PPRがどのような場面で役立つか、実際の例を見てみよう。
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宇宙技術専門サイト「Space.com」 によると、現在、有人宇宙船だと火星まで片道約9か月を要する。しかし、ハウ・インダストリーズ社のPPRが実現した場合、わずか2か月に短縮される可能性があるという。
さらに重要なのは、PPRが実現すれば、今までより重い宇宙船の搭載が可能になることだ。たとえば、これまで重量がありすぎロケットへの搭載が難しかった、銀河宇宙線から人体を保護するためのシールドを装備できる可能性が出てくる。
PPRは、小惑星帯やさらに遠くの新宇宙の探索など、太陽系外へのミッションも可能にするかもしれない。「PPRは宇宙探査の新時代を切り開くでしょう」とNASAのブリアナ・クレメンツは語った。
ハウ・インダストリーズ社のパルスプラズマロケットは、その革新的なコンセプトがNASAから認められ、資金援助を受けている。現在はエンジンの最適化や軽量化、より高い燃料効率の実現に取り組んでいるようだ。将来的に惑星間の航行が可能になる日もそう遠くはないかもしれない。
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