搭乗機を墜落された露軍パイロット、パラシュート降下の様子を公開
ロシア軍のあるパイロットがウクライナとの闘いの中で搭乗機を撃墜されてしまった。しかしからくも脱出に成功したばかりか、その一部始終を撮影した動画がオンライン上で公開されたのだ。ウクライナ上空で行われている戦闘の実態を示すものとして大きな注目を集めている。
『ニューズウィーク』誌によれば、この動画は親露派のミリタリーブロガー、キリル・フョードロフが自身のTelegramチャンネル「War, History and Guns」上に投稿したもので、墜落機を脱出したパイロットがパラシュート降下する様子が映っていたという。
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画像:Screenshot from Telegram @warhistoryalconafter
軍事ニュースサイト「Militarnyi」によれば、パイロットは「我々は撃墜されてしまった。陣地の上空で良かった。空高くを飛んでいたので、対処する時間はまったくなかった」と語ったとのこと。
画像:Screenshot from Telegram @warhistoryalconafter
投稿者のフョードロフは撮影場所や日時を明かしていないが、このロシア人パイロットは無事であり、戦闘任務に戻る構えだという。
画像:Screenshot from Telegram @warhistoryalconafter
一方、この動画が公開されると、撃墜されたロシア軍機の種類や現場を特定しようと試みる人々が現れた。
画像:Screenshot from Telegram @warhistoryalconafter
戦況の解説に熱心なことでも知られるウクライナのアントン・ヘラシチェンコ内相顧問はこの動画について、撃墜されたのはSu-30戦闘機、Su-35戦闘機またはSu-34戦闘爆撃機ではないかとコメント。
ヘラシチェンコ氏いわく:「パイロットは雲の上の高高度で射出されており、Su-30/Su-34戦闘機またはSu-34戦闘爆撃機でしょう」また、パイロットの「冷静な行動」からして、ロシア軍が支配する地域の上空で撃墜されたものと見ている。
画像:Screenshot from Telegram @warhistoryalconafter
一方、Telegram上でオープンソースインテリジェンス分析を行っているロシアのアカウント「EjShahidenko」はパイロットが降下した地点について、ドネツク州のチャシウ・ヤル付近ではないかとした。
画像:Telegram @EjShahidenko
チャシウ・ヤルは戦略上の要衝にあたり、ロシア軍は今年4月からこの街を攻略するため、激しい攻撃を続けている。ロイター通信によれば、ロシア国防省は7月3日に、自軍がチャシウ・ヤルの一部地区を占領したと発表したそうだ。
また、軍事情報サイト「Militarnyi」はロシア軍機の撃墜に用いられた武器について、米国製の地対空ミサイル「パトリオット」ではないかと指摘。同サイトによれば、ウクライナの防空隊は昨年12月にもロシア軍のSu-34を3機撃墜したと主張したことがあるという。
同サイトいわく、「ウクライナ空軍司令部は今回使用された対空システムの種類について言及していない」が、現場はウクライナ軍の支配下にあるドニプロ川沿岸地域から70キロメートル離れており、地対空ミサイル「パトリオット」が使用された可能性が高いと見られる。
今回の件については、ロシア側もウクライナ側も沈黙を保っているが、オープンソースインテリジェンスや軍事アナリストたちがさらなる分析を試みるのは間違いないだろう。
ともあれ、この動画からもわかる通り、ロシア軍はウクライナ上空で航空戦力に多大なダメージを受けている。オランダのオープンソースインテリジェンス大手「Oryx」によれば、ロシア軍が失った航空機は8月6日時点で確認できるものだけで122機に上っているとのこと。
一方、ウクライナ軍参謀本部が8月6日に公表したデータによれば、ロシア軍は開戦以来、航空機365機を失ったとされている。
ウクライナ軍の発表は戦果を誇張している可能性があるが、「Oryx」のデータは検証可能なケースしか含まれていないため、実際の数値は両者の間だと見ればよいだろう。
2024年4月、NATO欧州連合軍のクリストファー・カヴォリ最高司令官は米議会において、ロシア軍は航空戦力のおよそ10%を失ったと述べたが、その後、数ヵ月のうちにさらなる損失を被ったことは疑う余地がない。
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