トルコ政府に刑期「懲役1万1千196年」を下された起業家、その罪状とは
トルコ政府は起業家ファルク・ファティ・オゼルに対し、懲役1万1196年の判決を下した。100回生まれ変わっても終えることができないほどの刑期だが、一体どんな罪を犯したというのだろう?
では、順を追って事件を見てゆくことにしよう。ファルク・ファティ・オゼルはトルコの仮想通貨取引所「Thodex」の創設者だった。しかし、2021年初めに突如、業務を停止。40万人におよぶ顧客の資産を持ち逃げしてしまったのだ。
トルコ紙『Hürriyet』によれば、同国内務相は被害総額について1億ドルにのぼるとしているが、一部地元メディアは20億ドルという桁違いの数字を伝えたとのこと。
Thodexは顧客に対し、「海外業務に専念しており再開には5日間ほどかかります」という通知を送り付け、そのまま業務を停止してしまったのだ。
Thodexは高級車プレゼントを謳う積極的な広告キャンペーンを展開。多数の顧客を獲得していた。
さらに、トルコ国営アナドル通信によれば、Thodexは仮想通貨「ドージコイン」を顧客に大盤振る舞いしていたとされる。「ドージコイン」はもともとネットミームから派生したパロディ通貨だったが、イーロン・マスクの注目を集めるなどした結果、通貨としての地位を確立したものだ。
トルコ当局はファルク・ファティ・オゼルの追跡に乗り出したが、犯人は16ヵ月にわたって姿をくらましてしまった。そこで、国際刑事警察機構(ICPO)が赤手配書を発し、国際指名手配することとなった。
しかし2022年8月、アルバニアに潜伏しているところを発見され、ついに御用となる。そして、2023年4月にはトルコに身柄を引き渡された。
その後、イスタンブールの裁判所は2023年9月に懲役1万1196年という途方もない判決を下したのだ。
さらに、弟と妹にも同様の刑が宣告されており、ファルクが刑務所で孤立することはなさそうだ。
写真:Pexels - RDNE Stock Project
ファルク・ファティ・オゼルは現在29歳。刑期を全うするころには1万1225歳になっているはずだが……