幸福の国を統治するブータン国王夫妻:愛と平和に満ちたロイヤルカップル
幸福度No.1の国といわれるブータン。インドと中国に国境を接し、ヒマラヤ山脈に位置するこの王国がニュースで取り上げられることは決して多くはないかもしれないが、そこには雄大な景色が広がり、ロマンティックなロイヤルカップルの姿がある。今回は、幸福の国を統治する国王夫妻を追ってみよう。
現国王ジグミ・ケサル・ナムギャル・ワンチュク陛下は1980年2月21日生まれの40代。「ブータン」は公用語であるゾンカ語で「ドゥクパの国(雷竜の国)」と呼ばれ、国王は雷竜王とされている。
現国王の父、ジグメ・シンゲ・ワンチュク陛下は1972年に16歳でブータン国王に即位、当時世界最年少の国王として話題になった。2006年12月、前国王は長男のジグミ・ケサル・ナムゲル王子に譲位。ブータンの王政が100周年を迎えた翌年の2008年、戴冠式が行われ王子は正式に第5代ブータン国王となった。
国王の戴冠式はチベットやブータンに伝わるチベット仏教の伝統に則って執り行われた。国の象徴である龍をあしらった黄橙色や赤橙色の旗がいたるところに掲げられ、盛大な祝宴が開かれた。
前国王の長男として生まれた現国王は、即位前には皇太子として父に同行し国内各地を訪問してまわった。2002年にはブータン代表として国連総会に出席、世界の子どもたちの窮状を訴えるスピーチを行った。
2011年5月の国会において、国王は10歳年下の女性ジェツン・ペマとの結婚を発表。同年10月に古都プナカで結婚式を挙げた。ブータンでとりわけ格式の高い寺院で行われた伝統儀式に、国中の人々はもちろん海外からも祝福の声が寄せられた。
二人の結婚式はジェツン・ペマ新王妃の戴冠式ともなった。新国王夫妻は新婚旅行でインドを訪ね、続いて日本を公式訪問。容姿端麗なロイヤルカップルの姿は大きな話題を呼んだ。
ジェツン・ペマ王妃は1990年生まれ、ブータン国王の遠縁にあたる名家の出身で首都ティンプーで教育を受けた後、インドと英国で国際関係学を学んだ。
ブータンでは一夫多妻制が認められているにもかかわらず、国王陛下は「他の女性とは結婚しない、妻は生涯でただ一人」と宣言している。2011年に行った結婚前のスピーチでは、未来の妻が王妃としての資質をそなえていると語った。
父である前国王から現国王の治世にかけてブータンでは民主化が大きくすすめられ、土地改革の推進、インドとの友好条約の締結(2007年)、新憲法の制定(2008年)、反同性愛法の廃止などが行われた。
王妃は夫の公務に同行するほか社会活動や環境活動に積極的に取り組んでいる。ブータン王国の重要な自然保護協会の後援を務めるほか、2016年からはブータン赤十字の議長職に就いている。
ブータン国王夫妻には2016年2月に長男のジグメ・ナムゲル・ワンチュク王子が誕生し、2020年3月には次男のジグメ・ウゲン・ワンチュク王子が誕生した。
色鮮やかな伝統衣装をまとったブータン国王夫妻の写真は街のいたるところに見られ、国民はもちろん海外からも高い人気を集めている。緊張が続く世界において、ロイヤルカップルは愛と平和に満ちたオアシスを体現しているかのようだ。