恒星間天体「オウムアムア」:ハーバード大教授がエイリアンの可能性を説く
2017年に出現した恒星間天体「オウムアムア」をはじめとする飛行物体について、米国防総省(ペンタゴン)とハーバード大学は、小型探査機を地球に送り込むための「母艦」なのかもしれないと発表した。
この不可思議な現象について、以前は一般的に「UFO (未確認飛行物体)」という言葉が用いられていた。しかし、最近では「UAP(未確認異常現象)」という新たな概念のもと、より厳密なアプローチがとられるようになってきている。
今回発表された報告によれば、「恒星間を移動する構造物は多数の小型探査機を放出するための母艦かもしれない」とされている。
さらに、「こういった『タンポポの綿毛』は、太陽の重力やなんらかの推進力を利用して母艦から放たれるのではないか」というのだが……
2017年にパンスターズ望遠鏡がとらえた恒星間天体「オウムアムア」は天文学者たちの興味を大いに掻き立てた。
というのも、オウムアムアは一見、物理法則に反するような軌道や速度で宇宙空間を飛行していたからだ。さらに、通常ならばあるはずの「彗星の尾」が見当たらなかったほか、レーダーにも映らなかったとされる。
ただし、これについては観測機器の不備や目の錯覚によるものだという見方もある。実際、今回の報告でも、「このような現象がまったく見られなかったのは、単一の観測装置を用いた距離(および速度)の測定法では精度が低すぎたためかもしれない」という分析がなされている。
また、『フォーブス』誌によれば、2023年に開かれた公聴会ではペンタゴンの当局者が証言を行い、暗視スコープを用いて飛行中のドローンを撮影するとぼやけた三角形の物体として写ってしまうと説明。オウムアムアについて地球外生命体起源説を主張するハーバード大学の宇宙物理学者、アヴィ・ローブ博士も『NBCナイトリーニュース』によるインタビューの中で、このような誤認が起きてしまう可能性を認めている。
アヴィ・ローブ博士は、ペンタゴンが設置したUFO調査部門「全領域異常対策室(AARO)」のショーン・カークパトリック所長とともに今回の報告を主導している。
「AARO」は2022年7月に開設された比較的新しい部署だ。FOXニュースいわく、その任務は米国の領空や領海、さらには宇宙空間を漂う物体を追跡することだ。
一方、アヴィ・ローブ博士はハーバード大学における「ガリレオ・プロジェクト」の主導者として知られている。この計画は最近公表された数百件にのぼるUAP目撃情報について、科学的手法による評価を目指すものだ。
宇宙物理学における業績が評価されるローブ博士だが、こういったUAPについては夢のない誤認説よりも、地球外生命体による探査活動だという説を主張している。
『フォーブス』誌によれば、ローブ博士は最近の著書『オウムアムアは地球人を見たか?:異星文明との遭遇』の中で、人類史上初めて観測された恒星間天体「オウムアムア」について地球外知的生命体が送り込んだ探査機だったのではないか、と示唆しているそうだ。
同誌はさらに、ローブ博士の主張として、地球に落下する隕石の中には太陽系外から飛来したものも含まれているのでないかと伝えた。
また、ガリレオ・プロジェクトに携わる研究チームは、2014年に海中に落下した隕石の破片を回収する計画を立案。この隕石が地球上で見つかったものとしては初となる恒星間天体であることを示そうとしている。
いずれにせよ、このテーマに関するアヴィ・ローブ博士の立場はそれほど単純なものではない。地球外生命体の存在は信じているものの、UFO愛好家たちの安易な主張に対しては常々、物理法則を無視してはならないとくぎを刺しているのだ。
ローブ博士によれば、地球外生命体が存在する可能性は高いが、空中で見られる不可思議な現象はその大半がエイリアンとは関係ないとのこと。
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