急速に進歩するAI:存続が危ぶまれる職業とは?
ChatGPTに代表される対話型AIの進歩が著しい。さまざまな活用シーンにおいて革命的であることは言うまでもないが、とりわけ多くの人の関心の的となっているのが職場においてどのような変化をもたらすのかだ。このことは労働者にも雇用者にも無視できない問題となっている。
「ChatGPT」とは、OpenAI社が開発した対話型AIで、さまざまな課題をこなすことができる。あまりに万能なので、このAIのせいで存続が危ぶまれる職業すらあると噂されるほどだ。
OpenAI社やOpenReserch、ペンシルベニア大学などが行った研究によると「アメリカの労働のうち80%が、仕事内容の10%以上においてAIの影響を受ける」とみられるという。また、別のデータによると、全労働者の20%はその仕事の半分以上をAIがこなすようになるという。
この研究を行ったのはまさにそういった事態を生みだしているOpenAI社だ。OpenAI社はアメリカの実業家、サム・アルトマン等が立ち上げ、これらのデータを提供している。
このレポートから引き出される最初の結論は、AIの影響はあらゆる職種で、あらゆる職位においてみられることになるというものだ。「潜在的には、高収入な仕事ほど影響が大きい」と言われている。
とはいえ、その中でも特に影響を受けやすい職種があることも事実。いったいどのような職業がAIに代替される恐れが強いのだろうか?
このレポートによると、ChatGPTのような生成型AIにもっとも影響を受けるのは学士や修士を持つ人が行っているタイプの職業だという。それ以下の学歴の人が担う職種よりも大きく影響されるということだ。
写真:Unsplash (Christin Hume - christinhumephoto)
より具体的に言うと、この種の大規模言語モデルにもっとも影響されやすいのはプログラミングやライティングなどのスキルだという。
写真:Unsplash (Headway headwayio)
というわけで、この研究レポートの結果によれば、もっとも影響を強く受ける職業は電話営業やプログラマー、翻訳者や弁護士、会計士や教師ということになる。
写真:Unsplash (Jason Goodman)
他にも、数学者や財務アナリスト、各種管理職やウェブデザイナー、コンテンツ・ライターも影響を受けるだろう。だが、たとえあなたがこれらの職業に携わっていたとしてもパニックになることはない。影響を受けるといっても、これらの職業が完全になくなるわけではないからだ。とはいえ、仕事のあり方は大きく変わるかもしれない。
多くの専門家が同意しているように、AIが発達することである種のタスクが自動化されたり所要時間が減ったりはしたとしても、けっきょくは常に人間が介入することが必要であり、最終成果物は人間によるチェックを経なければならない。AIといえども絶対にミスをしないというわけではないからだ。
一方、AIによる影響が少ない職種もある。たとえばアスリートや料理人、煉瓦職人やオペレーター、エンジニアなどだ。
また、社会とのかかわりや科学的なスキル、批判的思考が要求される職業も「より保護される」という。
サム・アルトマンは「ABCニュース」でのインタビューでこう語っている:「何世代か経れば、人類はこの技術的な転換にみごとに適応していると思います[…]それが可能なことはいままでの歴史が証明しています[…]人間の創造性は果てしなく、いずれは新たな職業を見つけるでしょう。あらたにやるべきことをみつけるのです」
Photo: Unsplash (Guilherme Stecanella)
前述の研究で説明されているように、明らかなのは人工知能がこれまで人類が生み出してきた技術的進歩の中でももっとも革命的なものとなるだろうということだ。これはつまり、AI技術がある種のリスクや予測不可能性をはらんでいるということでもある。
2023年5月、研究者や政財界の人々が名を連ね、懸念を表明するオープンレターを「生命の未来研究所」に提出した。そこにはこう書かれている:「進歩したAIは地球における生命の歴史に深い変化を象徴するものかもしれない。だからこそ、その進歩には適切な注意とリソースを払い、しっかりと管理する必要がある」AIが我々の手を越えて暴走する未来も近いのだろうか?
写真:Unsplash (Thomas Lefebvre)