幸福の値段はいくら?:ノーベル経済学賞受賞者が出した答え

幸福になるには?
年収7万5,000ドル?
幸せの説明
お金で買えないものもある
豊かな国の基準
資産800万ドル
結婚の方が効果あり
自分だけ良ければ幸福?
不平等も不幸の原因
世界で最も幸福な国はどこ?
年収6万8,000ドル?
米国は第16位
ブータンは?
「国民総幸福量」
ミリオネアになる必要はないが……
不幸なお金持ち
21世紀の幸福とは?
幸福になるには?

お金があればあるほど幸せかというと、必ずしもそうではないのが人間というもの。では、いくらあればよいのだろう?実は、幸福になるために最適な収入については様々な研究が行われており、なかでもノーベル経済学賞受賞者による試算は注目に値するだろう。その研究によればかなりの高収入が提示されているが、それでもイーロン・マスクやジェフ・ベゾスが毎年手にする収入に比べればはるかに低い数字だ。

 

 

年収7万5,000ドル?

『フォーブス』誌をはじめとするメディアが報じたところによれば、アンガス・ディートン氏(2015年のノーベル経済学賞受賞者、写真)と共同研究者のダニエル・カーネマン氏は、幸せの値段について年収7万5,000ドルという収入額を提示。

幸せの説明

『ビジネスインサイダー』誌が引用したディートン氏とカーネマン氏の研究によれば、「おそらく年収7万5,000ドルが境目で、それ以上になるとたとえ収入額が増えても、気の合う仲間とともに過ごしたり、苦痛や病気を避けたり、余暇を楽しんだりといった心の充足につながる活動を高めることはできない」とされる。

画像:Jacqueline Munguía / Unsplash

お金で買えないものもある

つまり、一定以上のお金があっても、人生において意味のあるものはそれ以上買えなくなってしまうということだ。時間や愛情、健康はある程度満たされてしまえば、預金額とともに増えるものではないのだ。

 

豊かな国の基準

もちろん、この数字は豊かな国の経済的枠組みに基づいて算出されたものであり、新興国に暮らす大半の人々にとっては達成不可能な目標に思えるはずだ。しかし、幸せになるために必要な資産を調査した別の研究もある。

画像:Roberto Junior / Unsplash

資産800万ドル

セス・スティーヴンス=ダヴィドヴィッツ氏が『ニューヨーク・タイムズ』紙に投稿した記事によると、「ハーバード・ビジネス・スクールがミリオネア数千人を対象に行った調査によると、純資産が800万ドルを超えたあたりから幸福度が高まる」という。

結婚の方が効果あり

ただし、前出のスティーヴンス=ダヴィドヴィッツ氏は800万ドルを超えて得られる幸福についてこう続けている:「しかし、その効果はあまり大きくない。純資産800万ドルによって得られる幸福度は結婚によって得られる幸福度のおよそ半分に過ぎないのだ」つまり、気の合うパートナーを見つける方が、800万ドルを手にするよりも大きな幸せをもたらしてくれるということだ。

画像:Álvaro CvG / Unsplash

自分だけ良ければ幸福?

人間が社会的な動物である以上、幸不幸に影響を与えるのは自分の収入だけではない。他者の収入だって重要なのだ。

画像:Jacek Dylag/Unsplash

不平等も不幸の原因

サンディエゴ大学で心理学を教えるジーン・トゥエンゲ教授がオンライン・ジャーナル『The Conversation』に投稿した記事によれば、収入格差の大きい不平等な社会は幸福度も低いのだという。これは当然といえば当然だろう。

画像:Matt Collamer/Unsplash

世界で最も幸福な国はどこ?

実際、国連が行った2022年の世界幸福度報告によると、幸福度ランキング上位を占めるのはフィンランド、デンマーク、アイスランド、スイス、オランダ、ルクセンブルグなど、富の再分配がきちんと行われている豊かな国々だ。

画像:Tapio Haaja /Unsplash

年収6万8,000ドル?

国連が作成した幸福度ランキングで「幸福な国」に分類されている国々の年収を平均すると、およそ6万8,000ドルになる。

画像:Baptiste Gousset/Unsplash

米国は第16位

では、資本主義が最も発達した米国の幸福度はどのくらいなのだろうか?前述の国連による幸福度ランキングによれば第16位だというが、トップ10入りできないのは格差社会によるものだろうか?

画像:Jason Hutchison/Unsplash

ブータンは?

ところで、幸福度世界一として語られることの多い国と言えばブータンだ。実際のところ、これは本当なのだろうか?

画像:Adii Wahid/Unsplash

「国民総幸福量」

国連の2022年幸福度ランキングでブータンは第97位とされている。しかし、ブータン当局は国民の幸福度を見積もり、高めるために独自の「国民総幸福量」を導入し、世界に発信している。

画像:Gaurav Bagdi/Unsplash

ミリオネアになる必要はないが……

いずれにせよ、心理学・社会学・経済学の視点から実施されたこれらの研究によれば、ミリオネアになったからといって必ずしも幸福になれるわけではない。しかし、貧困に悩まされ、最低限度の生活さえも送ることができなければ、幸福度が下がってしまうのもまた事実だ。

 

 

 

不幸なお金持ち

一方、不幸なお金持ちもいる。ギリシャの海運王の娘として生まれたにもかかわらず不幸な人生を送ることとなったミリオネア、クリスティナ・オナシスはその一例だ。37歳で早世した彼女は「私はとても貧乏でお金の他には何も持っていない」と言ったとされており、ウィリアム・ライト著の伝記は『All the Pain That Money Can Buy(お金で買えるあらゆる苦痛)』と題されているほどだ。

 

21世紀の幸福とは?

結局のところ、お金は別として「幸福とは何か」という問いに答えるのはそう簡単ではないのだ。

 

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