少子化に悩む中国で大学に恋愛講座を求める意見が出される:若者からは冷ややかな反応も
急速な少子化に悩まされている中国だが、なんと当局側から各地の大学に、恋愛に関する授業を行うよう求める議論が出てきたという。
その議論が提出されたのは中国共産党の機関紙『人民日報』上で、「大学は恋愛・結婚教育を提供する主要な機関となるべきだ」という題の記事で論じられていた。
記事によると、学生たちは勉学と交際のバランスの取り方に迷っており、そのせいで交際から遠ざかりつつあるのだという。
記事ではまた、57%の学生が、恋愛関係を模索するには勉学で忙しすぎると考えている、という統計も引用されていた。
記事では、こういったことから「システマティックかつ科学的に人間関係を教えても、学生たちは感情的なつながりについてわからないままになってしまう」と指摘されている。
興味深いことに、国によるレポートでは、学生の66%は大学で恋愛講座を取ることに関心を示しているという。
こういった関心の高さを背景に、記事では、大学は「学生が体系的・科学的な知識を得る主要な場」なのだから、この種の教育も担う責任があると指摘している。
実際、近年では武漢大学、厦門大学、天津大学など中国トップ層の大学が「恋愛と結婚」「恋愛心理学」「恋愛社会学」などの講義を提供し始めている。
ただ、記事の提案に対しては、インターネット上で中国の若年層からの反発も集まっている。今の若者にとって主要な問題は経済成長が停滞しつつあることで、上昇する失業率やあがらない賃金に悩まされているのだ。
『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』は次のような発言を紹介している:「失業問題に集中しろ! 結婚や出産を考えるためには、まずは経済的安定が不可欠だ」
また、このような発言もあった:「卒業しても働けず、無職になるしかないのに、結婚して子供を産めと言われるなんて。いったいどんな罰だ、これは?」
こういう意見もある:「中学校では初恋の邪魔をし、デートを禁じるのに、大学に行ったとたんいきなり『はやく結婚しろ』だなんて」
「次はなんだ? 子供を産まないと卒業できなくするか?」という声まで挙がっている。
当然、少子化の原因としてかつての一人っ子政策を批判する意見もある:「これは一人っ子政策の必然的な結果だ。かつて2人目以上の子供の中絶を強いたことの、破滅的な帰結に直面している」
カリフォルニア大学の人口学専門家ワン・フェン氏によると、中国当局は人々に出産を奨励するうえで困難に直面しているという。
フェン氏は『フィナンシャル・タイムズ』紙にこう語っている:「特に若い女性は、高騰する生活費に苦しんでいるだけでなく、出産のためにキャリアを中断すると多大なハンデを背負うことにもなってしまいます」