富士山撮影に訪日客が殺到、町が富士山をみえなくする「目隠し」を設置
コンビニ越しに富士山を望む写真スポットのある山梨県富士河口湖町。近年観光客が殺到して迷惑行為が絶えないことから、同町では富士山の眺めを遮る高さ2.5メートルの「目隠し」をつくることを決めた。
現地を取材したAFP通信によれば、写真を撮ろうと訪れた数多くの訪日観光客が通りをふさぎ、ごみのポイ捨てをしたり駐車違反をしたりするなど迷惑行為に及んでいるという。
地元では各国語で注意書きの看板を立てたり警備員を配するなどの対策を行ったが効果が上がらず、やむを得ず最終手段として目隠しをすることにしたと、英紙『ガーディアン』が伝えている。
訪日観光客からはまるでコンビニの上に富士山が乗ったかのような眺めが人気となっているという。しかし、町では富士山を見えないようにする壁の設置を決定。
NHKによれば、コンビニの正面に長さ20メートル、高さ2.5メートルの黒い幕をはり、危険な道路横断を防ぐための柵を設置する工事が4月30日からすすめられている。
訪日客が殺到するようになったきっかけについて、英紙『ガーディアン』は「ここからの眺めはいかにも日本的だというコメントがSNSで広がり、人気の撮影スポットになった」という地元関係者の言葉を伝えている。
うわさが拡散した結果、あまりにも多くの観光客が訪れて狭い歩道をふさぐようになったばかりか、コンビニの向かいにある歯科医院の駐車場ではバスや車がおかれ、飲食や喫煙行為が行われるなどして患者にも迷惑がかかるようになってしまったという。
画像:Unsplash/Ying Gong
富士山をみえなくするための幕の設置は、観光客の急激な増加に困惑する全国の市町村がとっている対策のひとつにすぎない。
前述の英メディアによれば、山梨県ではこれまで任意で求めていた富士山への入山料について、今年の夏から2,000円で義務化することを決定した。
京都市もオーバーツーリズムによる問題を抱えており、観光客に人気の高い祇園では私道における撮影に加えて通行も禁止。違反者には罰金を科すことにしたという。
英紙『ガーディアン』は住民の言葉として、訪日観光客は祇園やその界隈をまるで「テーマパーク」のように扱い、そこを行き交う舞妓や芸者に対して失礼な態度をとり仕事の邪魔をするなどしていたという。
パンデミックが収束して入国規制が緩和されて以来、日本ではインバウンド(訪日外国人旅行)が活況を呈している。実際、日本政府も観光の拡大を推進している。
その結果、2024年3月の訪日外国人数は単月として初めて300万人を突破したと日本政府観光局が伝えている。