ISS滞在期間が1週間から8か月に延長された宇宙飛行士2名、ついに帰還予定が決定
ボーイング社の宇宙船「スターライナー」に搭乗し、有人試験飛行の一環として今年6月に国際宇宙ステーション(ISS)へと旅立った宇宙飛行士バリー・ウィルモアとサニータ・ウィリアムズ。一週間の滞在を予定していた二人のの地上への帰還時期が、延期の末に来年3月に決まったという。
ISSにはウィルモアとウィリアムズ以外の宇宙飛行士も滞在しており、彼らは10月に帰還した飛行士たちと入れ替わりで、この秋に到着したばかり。しかし、来年2月には帰還予定である。
仏『AFP通信』によると、ウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士が帰還時に搭乗を予定しているのは、現在ISSにドッキング中のスペースX社のクルードラゴン宇宙船運用9号機(Crew-9)である。
2人を帰還させるため、NASAは何度も計画の変更を強いられた。今年の9月に実施された宇宙船の打ち上げでは、当初予定されていた4名の乗組員が、両宇宙飛行士のために2名へと減らされたのである。
同通信社によると、ウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士をISSに運んだ「スターライナー」は、故障が見つかったことから9月下旬に無人での帰還を余儀無くされたため、NASAは予定していたミッションをすべて組み直さなければならなかったと、10月に帰還した宇宙飛行士の1人が語ったという。
米ボーイング社が開発した宇宙船「スターライナー」には複数の不具合が発生しており、そのため同機による2人の帰還は困難となった。米『AP通信』によると、NASAとボーイングのチームは打ち上げ前に、ヘリウム漏れに気付いたという。
不具合の修理後、宇宙飛行士が搭乗しても問題はないという判断がなされ、ウィルモアとウィリアムズは宇宙へと飛び立った。しかし国際宇宙ステーションへの到着後、さらに4か所のヘリウム漏れが発生したのだ。
それに加え、「スターライナー」に搭載された姿勢制御用スラスターのうち5基が、到着時に使用不能になる事態が発生した。ただし、そのうち4つはすでに修復済みである。
米『AP通信』は、故障しているのは一部の部品だけだと伝えた。しかしNASAは再び複数個所に故障が発生した場合、地上への帰還中に飛行士の安全が脅かされる恐れがあると、慎重な姿勢を崩さなかった。
ウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士は、国際宇宙ステーションの研究物資を積むスペースを確保するために、最小限の物資しか持ち込むことができなかった。それでもNASAは、飛行士たちは予期せぬ滞在期間の延長に耐えられるだけの物資を備えていると述べた。
米『AP通信』によると、10月に3名の宇宙飛行士が帰還したことにより、ISSのクルー数はようやく通常通りの7名となった。「スターライナー」のトラブルにより、ISSは数ヶ月間に渡って「過密状態」にあったのだ。
英『BBC』によると、ウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士は予期せぬ滞在期間の延長に不満はないようだ。ウィリアムズ飛行士は、7月のブリーフィングで、滞在期間が延びたことにかえってわくわくしていると述べている。