大統領に再選したプーチン大統領:次の6年間はどうなる?

戦争継続と内政改革
戦争の趨勢は米大統領選次第
最大の不確定要素
支援の中止はロシアの勝利につながる
長年にわたる影響も予想される
NATOへの直接攻撃の可能性は低い
サイバー攻撃で分断を図る
内政改革
インフラ整備や生活改善
貧困問題
人口減少問題
経済問題
低下する実質賃金
インフレ率も高い
生活必需品が買えない国民
弾圧の強化も
情報を遮断
戦争継続と内政改革

大統領選挙の結果、再選しさらに6年間の任期を務めることになったロシアのプーチン大統領。今期はいったいどのような政策を進める方針なのだろうか。

戦争の趨勢は米大統領選次第

プーチン大統領が率いるロシアの今後に関して、喫緊の問題となるのは当然ウクライナ侵攻の行方だろう。プーチン大統領はこれからも侵攻を中断することはないだろうが、その結果がどう転ぶかはアメリカにかかっているかもしれない。

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最大の不確定要素

コロラド鉱山大学で歴史学を研究するケン・オズグッド教授によると、ウクライナの今後に関して「最も影響力のある不確定要素」は2024年のアメリカ大統領選挙だという。誰がアメリカの大統領になるかによって、戦争の趨勢も決まるというのだ。『ニューズウィーク』誌が伝えている。

支援の中止はロシアの勝利につながる

オズグッド教授はこう語っている:「アメリカが軍事支援を中止し、ウクライナに対してロシアと交渉するよう圧力をかけるとすれば、それはロシアの勝利を意味します。ロシアの支配領域がいま以上に拡がらなかったとしても、プーチン大統領がそれを勝利として喧伝することは明らかです」

長年にわたる影響も予想される

オズグッド教授は「戦争がこのような結果となった場合、その影響は長年にわたるものとなるでしょう」と語り、ロシアによるポーランドやNATO諸国への侵攻にもつながり得るとも指摘している。とはいえ、そういったシナリオはどれも「それほど可能性は高くない」との留保は付されている。

NATOへの直接攻撃の可能性は低い

オズグッド教授も指摘するように、たとえアメリカが手を引いたとしてもNATOは依然として核武装国同士による相互安全保障が機能しており、加盟国への直接攻撃は「甚大な反撃」を引き起こすからだ。

サイバー攻撃で分断を図る

オズグッド教授が示唆する、より可能性の高いシナリオは、ロシアがNATO加盟国へサイバー攻撃や情報戦を仕掛け、同盟国の分断を図るというものだ。

内政改革

内政に関しては、次の6年間でプーチン大統領は多くの改革などを通じて経済問題に対処することになるだろう。そのことは、2月29日の一般教書演説でプーチン大統領本人の口から語られてもいる。

インフラ整備や生活改善

米放送局CNBCによると、プーチン大統領は次の6年間でインフラ整備などの公的支出に1260億ドル(約19兆3,000億円)を費やすと宣言したという。同局はまた、プーチン大統領がロシア国民の生活改善を目的としたさまざまなプログラムを構想しているとも伝えている。

貧困問題

家庭支援や住宅ローン補助などを目的としたプログラムがその一例だ。また、ロシアが直面している大きな問題である「貧困を解消し、国民の健康や平均寿命を改善させる」ための政策も提案されている。

人口減少問題

ロシアは他国と比べても厳しい人口減少問題に直面している。『モスクワ・タイムズ』紙に最近掲載された政府試算では、ロシアの人口は2024年には1億3,000万人まで減少すると見られている。

経済問題

経済面でも事態は深刻だ。ロイター通信によるとプーチン大統領は前回の大統領選挙の際に生活水準の「決定的な躍進」を有権者に対して宣言したというが、その「躍進」は結局実現することはなかった。

低下する実質賃金

前回の大統領選挙が行われたのは2018年だったが、それ以来ロシアの所得は7.6%しか上昇しておらず、ロイター通信によると実質賃金は2013年以下の水準になっているという。しかも、ロシア国民が直面している問題はこれだけではない。

インフレ率も高い

ロシアのインフレ率は中央銀行の定めた4%という目標を大きく超えており、2021年には8.4%、2022年には11.9%、2023年には7.4%に達している。利率も16%と大きく、生活を圧迫している。

生活必需品が買えない国民

2024年2月にロシア連邦中央銀行が行ったある調査では、国民の28%が食料や衣料品、靴などの生活必需品を買うのに十分なお金がないと回答している。こういった問題を解消することはプーチン政権にとって喫緊の課題だ。

弾圧の強化も

だが、仮にプーチン大統領がこのような社会経済的問題に取り組むことができたとしても、ロシア国内における弾圧は今後6年間において一層悪化することが予想される。体制に対する反対意見はより強硬に弾圧されることになることも十分あり得るのだ。

情報を遮断

『プーチン主義の掟』の著者ブライアン・テイラーは『ニューズウィーク』誌にこう語っている:「ロシア国内ではさらなる弾圧が予想されます。政権は意に反する情報を遮断しようとする傾向を強め、ソーシャルメディアへのアクセス制限など多様な手段も採ることになるでしょう」

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