NASAの衛星写真で20年前と現在の地球表面を比べてみると:失われる森林、小さくなる湖......

20年前と現在の地球環境を比較
黄河デルタ(中国):1989年
黄河デルタ(中国):2020年
パウエル湖(アメリカ):1999年
パウエル湖(アメリカ):2021年
アラル海(カザフスタン・ウズベキスタン):2000年
アラル海(カザフスタン・ウズベキスタン):2018年
アマゾン(ブラジル):2000年
アマゾン(ブラジル):2012年
上海(中国):1984年
上海(中国):2019年
アパラチア(アメリカ):1984年
アパラチア(アメリカ):2015年
アサバスカ川流域(カナダ):1984年
アサバスカ川流域(カナダ):2016年
ドバイ(アラブ首長国連邦):2000年
ドバイ(アラブ首長国連邦):2011年
20年前と現在の地球環境を比較

人間の活動にともなう温暖化の結果、地球環境はかつてない速度で大きな変化を被りつつある。NASAが公開した記事「変化する世界」では、衛星画像から世界各地の変化を一目で理解することができる。以下、その画像から変わりゆく世界の様相をチェックしてみよう。

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黄河デルタ(中国):1989年

中国の黄河はチベット高原に水源があり、7つの省を経て黄海につながっている。世界有数の堆積物の量でも知られており、沿岸を洪水から守るための治水事業は19世紀半ばから大規模に行われてきた。

画像:NASA

黄河デルタ(中国):2020年

NASAによると、「降雨量の減少」及び「上流での都市や農業における水需要の爆発的増加」の結果、デルタ地帯への水や土砂の流入が減少。そのため湿地帯が危機的状態となり、河の水質汚染も深刻化しているのだという。

画像:NASA

パウエル湖(アメリカ):1999年

アメリカ南西部にあるパウエル湖はコロラド川の途中グレン・キャニオン・ダムを造ったことでできた人造貯水池だ。この写真は1999年に撮られたもので、パウエル湖はコロラド川と同様に比較的水位が高く、堆積物のせいで緑がかった色合いだった。

画像:NASA

 

パウエル湖(アメリカ):2021年

だが、集中的な灌漑が続いた結果(パウエル湖は周囲7つの州の水源となっている)バランスが崩れ、湖の水位は大きく低下してしまった。2023年には記録的なレベルにまで水位が低下したものの、翌年の夏にはロッキー山脈に大雪が降ったことで短期的には状況は多少改善した。

画像:NASA

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アラル海(カザフスタン・ウズベキスタン):2000年

中央アジアのカザフスタン北部からウズベキスタン南部にかけて位置するアラル海は、かつては世界で4番目に大きい内陸水域だった。だが、1960年代にソ連が綿花栽培などのための大規模な灌漑プロジェクトを実施。2000年には元の大きさ(写真では黄色い線で示されている)の数分の一にまで縮小してしまった。

画像:NASA

アラル海(カザフスタン・ウズベキスタン):2018年

この集中的な灌漑によってアラル海は完全に破壊されてしまった。水は干上がり、漁業に依存していた周辺のコミュニティは崩壊、肥料や農薬による水質汚染など多くの問題が発生した。そうした化学物質は干上がった湖底から巻き上がる粉塵をも汚染し、広範な地域における衛生上の問題ももたらした。

画像:NASA

アマゾン(ブラジル):2000年

南米のブラジルやボリビア、ペルー、エクアドル、コロンビアなど数か国に広がるアマゾンは世界最大の熱帯雨林であり、多くの二酸化炭素を酸素へと変換していることから「世界の肺」とも呼ばれる。この画像はブラジル西部のロンドニア州で、アマゾンでも最も森林破壊が進んでいる地域のひとつだ。ベージュ色の部分が原生林で、薄い緑色の個所が耕作地や牧草地となっている。

画像:NASA

アマゾン(ブラジル):2012年

12年間で道路と森林伐採が西へと広がっていっているのがわかる。この地域では人為的な伐採に加えて森林火災でも大きな打撃を受けており、2022年夏には歴史上もっとも壊滅的な被害が出ている。

画像:NASA

上海(中国):1984年

中国の上海は今や同国最大の都市となっている。上海がこれほどの規模に成長し始めたのは「中国政府が外国からの貿易や投資に対して開放的政策を取り始めた」(NASA)1980年代以降のことで、以来目もくらむような速度で発展してきた。

画像:NASA

上海(中国):2019年

1984年には上海の中心部は黄浦江西岸に位置していたが、40年足らずの間に全方位に拡大。かつて農地だった地域も道路や住宅、店舗、工場へと姿を変えた。

画像:NASA

アパラチア(アメリカ):1984年

アパラチア地方のウェストバージニア州はアメリカにおける石炭産業揺籃の地として知られている。この地域のなだらかな山々は、石炭を採掘する鉱山会社によって階段状に削り取られていった。

画像:NASA

アパラチア(アメリカ):2015年

この画像は、拡大していく採掘地域(白色部分)とそれによる地域の自然環境への影響を示している。鉱山会社に土地の環境を元に戻すことを義務付ける法律が存在するものの、2010年に『サイエンス』誌に掲載された分析では、土地の生物多様性や河川、地下水、森林などの状態は「広範かつ不可逆的」な影響を被っていると考えられている。

画像:NASA

アサバスカ川流域(カナダ):1984年

カナダのアルバータ州は世界最大級の石油埋蔵量を誇っている。NASAによると、「石油を含んだ土砂(オイルサンド)のうち20%は採掘が容易な地表近くにあり、その鉱脈はアサバスカ川に隣接している。その他のオイルサンドは地下75メートル以下に埋まっている」という。

画像:NASA

アサバスカ川流域(カナダ):2016年

2016年に撮影されたこの画像からわかるのは、同地域でのオイルサンドの露天掘りが急速に増加しているということだ。これらの採掘事業は地域の環境に影響を及ぼしており、副産物(尾鉱)の溜まった池から地下水やアサバスカ川に有害物質が流出しているほか、採掘作業に伴って硫黄酸化物や窒素酸化物、炭化水素や微粒子類が大気中に放出されている。

画像:NASA

ドバイ(アラブ首長国連邦):2000年

アラブ首長国連邦のドバイはアラビア半島南東に位置し、当初は海岸に面した観光都市として開発が始まったがいまも絶えず拡張を続けている。この衛星画像(色は撮影後に着色)では手つかずの土地は茶色、植生は赤色、水は紺色、建物や舗装道路は水色・灰色で表現されている。

画像:NASA

ドバイ(アラブ首長国連邦):2011年

ここ10数年でのドバイの発展はまさに目を見張るほどで、ペルシャ湾沿岸部には海底から採取した土砂を利用した人工島が建設されている。この画像からは、かつての砂漠が都市へと変わっていく様子がはっきりと見て取れる。

画像:NASA

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