増加を続けるロシア軍の死傷者数:9月は1日平均1,200人を突破
英国防省が発表した最新データによれば、ロシア軍における1日あたりの死傷者数は今年9月に最大と達したという。また、今後もしばらくは高い水準を保つものと見られている。
英国防省の推計によれば、軍の死傷者数は今年9月に1日平均1,271人に達し、これまで最大だった今年5月の記録を塗り替えてしまったとのこと。
英国防省いわく:「1日あたりの死傷者数は平均1,271人となり、2024年5月に記録されたこれまでの最高記録1,262人よりも多い」
ただし、この数字はウクライナ軍参謀本部が戦況に関して定期的に行っている発表に基づいたものだ。
英国防省が上記の推計を発表したのは10月7日だったが、ウクライナ軍参謀本部は同日にロシア軍の死傷者数について、合計66万4,163人に上るとの見方を伝えた。一方、英国防省はロシア軍の総死傷者数について64万8,000人あまりと見積もっている。
ウクライナ軍参謀本部の発表では、戦死者と負傷者の区別はなされていない。とはいえ、ロシア軍が被った人的損失をおおまかに把握する上では役立つだろう。
一方、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は今年9月に西側情報機関の見解として、ロシア軍の戦死者は20万人、負傷者は40万人に達した可能性があると伝えた。
また、BBC放送が今年9月に分析したデータによれば、開戦以来、ロシア兵7万人あまりの戦死が確認されているとのこと。
BBC放送のオリガ・イヴシナ記者いわく:「ウクライナで戦死したロシア兵7万112人の名前が確認できました。しかし、実際の戦死者数はこれをはるかに上回るものと見られます。親族の死を公にしない家族もいますから」
英国防省によれば、ロシア軍が9月に記録的な数の戦死者を出したのは、ウクライナ軍が仕掛けたクルスク州に対する逆侵攻に加え、ロシア軍がウクライナ東部で推し進める強引な人海戦術が原因だと見られている。
英国防省いわく:「ロシア軍の死傷者数は2024年5月以降、増加傾向にあるが、これは戦闘地域がハルキウ州とクルスク州にも拡大し、前線全体で戦闘が激化したことによるものと見て間違いない」
同国防省はさらに、「ロシア軍は物量にモノを言わせて敵の防衛拠点に押し寄せ、戦術的優位に立つことでウクライナ軍を圧倒する作戦を続ける可能性が極めて高い」と指摘した。
しかし、とりわけ気がかりなのは、英国防省がロシア軍は冬の間も多数の死傷者を出し続けると見ていることだ。同国防省の見解によれば、ロシア軍の死傷者数は1日当たり1,000人あまりという高い水準が今後も続くものとされている。
英国防省いわく、「ロシア軍の死傷者数は冬が到来しても、今年いっぱいは1日平均1,000人超のまま推移するだろう」とのこと。
同国防省はさらに、「ロシア軍は気象条件が整っていないにもかかわらず機動力に欠ける歩兵戦術をとり続けており、冬の訪れとともに攻撃回数や消耗率が減少する気配はない」と指摘した。
英国防省の予測が正しければ、ロシア軍の死傷者は今後2ヵ月以内に70万人に達し、冬の終わりまでに80万人を突破してしまう可能性が高い。