第二次トランプ政権の人事案をチェック:タカ派の議員が国務長官に……
11月5日に行われた米大統領選の結果を受けて、トランプ氏は第二次政権の準備を着々と進えている。来年の政権人事も徐々に明らかになってきた。
CNNによると、国土安全保障長官にはサウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事が選ばれたという。
ノーム知事はトランプ次期大統領が選挙キャンペーンを繰り広げていた際には副大統領候補として名前が挙がったこともある。だが、自伝の中で、良い猟犬へと躾ける見込みのない犬を、1歳2ヶ月の段階で殺処分したと書いていることが批判され、この話は消えてしまった。
『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、国務長官にはフロリダ選出のマルコ・ルビオ上院議員が指名される予定だという。ただし、直前の変更も多いトランプ次期大統領だけに決定とは言い切れないかもしれない。
同紙も強調するように、キューバ系アメリカ人のマルコ・ルビオ議員はタカ派として知られ、中国だけでなくイランやキューバ、ベネズエラなどにも強硬な姿勢を鮮明にしている。
ルビオ議員はウクライナ侵攻についてもトランプ次期大統領と意見を同じくしている。つまり、いまの状況は行き詰まりなので、速やかに停戦に持ち込む必要があるという見解だ。
ロイター通信によると、トランプ次期大統領は、環境保護庁長官には共和党のリー・ゼルディン元下院議員を起用するとしたという。ゼルディン元下院議員はニューヨーク1区から選出されており、2022年にはニューヨーク市長選に立候補したこともある。
トランプ次期大統領は自身の運営するSNS「Truth Social」上でこう述べている:「ゼルディン氏は迅速かつ公正に規制緩和を進め、アメリカ財界のポテンシャルを解き放ってくれるだろう。もちろん、地球の大気と水を綺麗なものに保つための、高レベルな環境基準は保った上でのことだ」ロイター通信が報じている。
ロイター通信によると、ゼルディン元下院議員は環境保護的な政策に反対してきた経歴があるという。また、トランプ次期大統領は、大統領に就任した暁にはまず自動車の排ガス規制を撤廃するとも公言している。
国家安全保障問題担当大統領補佐官にはマイケル・ウォルツ下院議員の名前が挙がっている。CNNが報じている。ウォルツ議員は陸軍の特殊部隊「グリーンベレー」の一員として、アフガニスタンやアフリカ、中東などで軍務に就いていたことがある。
CNNも書いているように、国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任した場合、ウォルツ下院議員はロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルとハマスの紛争などに対するアメリカの姿勢を決める上で重要な役割を果たすことになるだろう。
ただ、トランプ次期大統領はこのポストに就いた人物と意見を異にして袂を分かったことが複数回ある。第一次政権時のジョン・ボルトン氏(写真)とハーバート・マクマスター元陸軍中将だ。
BBCによると、大統領首席補佐官にはスージー・ワイルズ氏が選ばれる見込みだという。ワイルズ氏はトランプ次期大統領の3度目の選挙戦でコンサルタントを務めていた。
ワイルズ氏は複数のメディアで「トランプ氏の『鉄の女』」と形容されている。あまり表舞台には立ってこなかったが、レーガン大統領やフロリダのデサンティス知事の選挙戦も支えたベテランだ。
ちなみに、正式に就任すればワイルズ氏は初の女性大統領首席補佐官となる。
そして、大統領首席補佐官代理にはトランプ次期大統領の移民政策顧問を務めるスティーブン・ミラー氏が起用されるという。CNNが報じている。
また、同じくCNNによると、ミラー氏は第一次政権時にはトランプ氏の上級顧問やスピーチライターも務めていたという。
ミラー氏はトランプ次期大統領の移民政策に対して非常に強い影響力を持っているとされており、新政権の移民問題に対する強硬な姿勢を反映した人事と見られる。
トランプ次期大統領の移民政策におけるもうひとりの重要人物が「国境帝王」ことトム・ホーマン氏だ。ホーマン氏は厳格な国境管理や不法移民の大規模送還を主張している。
『フォーブス』誌によるとホーマン氏は第一次政権時に移民・関税執行局(ICE)の長官を務めていたという。
一方、第一次政権時に要職に就いていた人物でも、今回は復帰する予定にないという場合も多い。
例えば、トランプ次期大統領は「Truth Social」上で、第一次政権時に国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏を起用する予定はないと表明している。
他にも、国際連合大使を務めたニッキー・ヘイリー氏も復帰することはないようだ。
とはいえ、第一次政権時代のことを考えれば、こういったリストは常に変更の可能性があると思っておいたほうが良いだろう。