古代エジプトのピラミッド建設の謎:石材は水圧式エレベーターで持ち上げていた?

永遠の謎を抱えるエジプト
ジェセル王のピラミッド
エジプト最古のピラミッド
大胆な仮説:水圧式エレベーター?
ピラミッドのそばに貯水槽があった?
貯水槽→パイプライン→縦坑
ピラミッドの近くには、かつて川が流れていた
豊富な水が存在していた
「古代エジプト人は水力学のパイオニアである」
仮説の域を出ていない
永遠の謎を抱えるエジプト

古代エジプト文明とその遺跡は、世界の人々を魅了しつづけている。例えば、現代のような技術や重機もない時代に、どうやってピラミッドのように大規模な建物が築かれたのだろうか。このたび、パリの考古学研究機関から、その疑問に答えうるような大胆な新説が発表された。

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ジェセル王のピラミッド

古代エジプトにおけるネクロポリス(埋葬地)だったサッカラには、多数のピラミッドがある。4500年前、エジプト第3王朝第2代ファラオのジェセル王がこの地に自分の墓を建設するよう命じたのがその始まりとされる。こうして完成したのが「ジェセル王のピラミッド」で、『ナショナル・ジオグラフィック』によれば高さ62メートル、容積33万400立方メートルの階段ピラミッドだ。

エジプト最古のピラミッド

アラブ国際紙『アッシャルクル・アウサト』によると、ジェセル王のピラミッドはエジプト最古のピラミッドであり、世界最古の石造巨大建築物とされることもある。その構造や建設工程については、これまでにさまざまな研究が行われ、今も多くの研究者がその謎に取り組んでいる。

大胆な仮説:水圧式エレベーター?

最近新たに発表された大胆な仮説によれば、この「ジェセル王のピラミッド」は水圧式のエレベーターを用いて建設された可能性があるというのだ。

ピラミッドのそばに貯水槽があった?

ピラミッドの建設方法について驚くべき仮説を提唱したのは、パリに拠点を置く民間研究所「パレオテクニック(Paleotechnic)」のグザヴィエ・ランドロー率いるチームだ。その仮説によると、ジェセル王のピラミッドから数百メートルのところに位置する用途不明の遺構は、じつは一種の貯水槽であったという。

貯水槽→パイプライン→縦坑

この遺構は「ギスル・エル・ムディール」と呼ばれており、巨大な石の壁で四方を囲まれている。仮説によると、その“貯水槽”はピラミッド内部の縦坑とパイプラインでつながれており、縦坑の中にはその水圧で動く石材運搬用エレベーターがあったというのだ。

ピラミッドの近くには、かつて川が流れていた

ちなみに、エジプトのピラミッドは各地にまばらに建てられているのではなく、その多くは砂漠の中の、狭い帯状の地域に沿って密集している。ジェセル王のピラミッドもそれらのうちのひとつなのだが、最近の研究により、この一帯に現在は消えてなくなったナイル川の支流が流れていたことを示す証拠が発見されている。

豊富な水が存在していた

つまり、エジプトのピラミッドは建設当時、近くに川が流れていたというのだ。そのため、この“貯水槽”には、ナイル川の支流から豊富な水を引きこむことができたはずだとパリの研究チームは考えている。

「古代エジプト人は水力学のパイオニアである」

同研究チームは論文にこう書いている。「古代エジプト人は、よく知られているように水力学のパイオニアであり、灌漑用水を引き、巨大な石を運ぶためにはしけ船を用いるなど、その技術を巧みに応用していた」

仮説の域を出ていない

もちろん、すべては壮大な仮説の域を出ていない。科学系メディア「Science News」が指摘するように、「いまだに、古代エジプト人が無数の巨大な石の塊からどうやってピラミッドを作り上げたのかについて、万人に納得する説明はなされていない」のだ。同メディアによると、石のブロックの重さは一つ2.5トンほどにもなるという。

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