北朝鮮で韓国ドラマを視聴した若者2人に…… 労働教化刑12年!?
北朝鮮で撮影された動画によって、16歳の若者2人が韓国ドラマを視聴した罪で労働教化刑12年を言い渡される様子が流出し、世界中に衝撃が広がっている。まるでディストピア小説さながらだが、事実である。
ことの始まりは、2020年に制定された「反動思想文化排撃法」だ。この法律は韓国文化に関連する物品やコンテンツを密輸、配布、消費した者を厳しく処罰するものだ。
韓国映画やドラマ、ウェブサイト、音楽、書籍、さらに韓国式の口語が禁止されているのはもちろんのこと、女性の場合、スカートやショートパンツの着用、髪のカラーリング、「外国風」ファッションなども取り締まりの対象となっている。
しかし、取り締まりの対象は韓国発の文化だけではない。海外の携帯電話に加え、日本や米国発のコンテンツも厳しく禁止されているのだ。
脱北者がニュースサイト「ビジネスインサイダー」に語ったところによれば、この法律は北朝鮮が直面する本当の問題から大衆の目を逸らすためのものだという。いわく:「米国のドラマなら視聴していることが露見しても、賄賂さえ渡せば何とかなります。しかし、韓国ドラマなら銃殺です」
こういった海外製のコンテンツは、金正恩総書記やその一族が戦後推進してきたイデオロギーや社会的理念を堕落させるものだと見なされているらしい。
BBC放送によれば、この法律が施行されてからというもの、金正恩政権は海外製コンテンツの販売や流通に手を貸した者を処罰しているのだ。
NBC放送が今年はじめに入手した動画には、灰色の上着を着せられた若者2人が広場の真ん中で群衆に囲まれ、反省するよう罵倒される様子が映し出されていた。この動画が撮影されたのは2022年だが、広く知られるようになったのは2024年になってからのことだ。
この2人の場合、韓国ドラマの視聴が問題視されたようだが、仮にK-POPを聴いただけだったとしても同じ結果になっていただろう。
まるで、『ハンドメイズ・テイル』や『イカゲーム』のワンシーンのようだが、フィクションではない。北朝鮮ではディストピア作品さながらの日常が繰り広げられているのだ。
こうして若者2人は群衆に罵倒された後、12年の労働教化刑を宣告されたという。2022年とは思えない悲惨な出来事だ。
朝鮮半島をめぐる南北の対立は1953年から続いている。一時は統一ムードが盛り上がりを見せた時期もあったが、それも今は昔。金正恩政権の方針転換によって両国間の緊張はますます高まっているのだ。韓国文化に対する取り締まり強化は、このような状況を反映したものだと見られている。