北朝鮮がロシアへの部隊派遣の見返りとして受け取るものとは?
米インド太平洋軍のサミュエル・パパロ司令官は、北朝鮮がウクライナ情勢をめぐってロシアを支援する見返りとして、何を受け取っているのか暴露した。
プーチン政権は2023年に北朝鮮との関係強化に乗り出した。北朝鮮側はこれを受けて数千人規模の兵力をロシアに派遣したほか、軍事装備を満載した多数のコンテナを提供してきた。
『Aviation Week』誌いわく、パパロ司令官は12月7日に行われたレーガン・ナショナル・ディフェンス・フォーラムで演説を行い、北朝鮮はロシアから「強力な」第4世代戦闘機を受け取ることになっていると明かした。
同司令官によれば、北朝鮮はロシアに兵力を差し出す見返りとして、Mig-29戦闘機とSu-27戦闘機を要求したとのこと。
また、『Aviation Week』誌によれば、パパロ司令官は北朝鮮がこれらの戦闘機に加え、さらなる軍事技術の提供を望んでいるかもしれないと見ているそうだ。
具体的には、弾道ミサイル技術(とりわけ再突入体に関するもの)や潜水艦技術、防空態勢の支援などが挙げられる。しかし、現時点では、ロシアによるそのような技術の提供は確認されていない。
ロンドンに拠点を置くシンクタンク、王立国際問題研究所でアジア太平洋プログラムのフェローを務めるエドワード・ハウエル博士によれば、ロシアによるウクライナ侵攻は露朝関係の再強化をもたらしているようだ。
プーチン大統領と金正恩総書記は2022年8月の段階で書簡を交わしており、2国間関係の強化によって国際社会における孤立化に対応しようと試みている。そのような情勢の中、両国は「武器と資金の交換」に至ったわけだ。
北朝鮮は122ミリメートル砲弾や152ミリメートル砲弾を差し出すことで、ロシアから食糧援助や経済援助、さらには技術提供を引き出してきた。ロシアはこの過程で、北朝鮮から弾道ミサイルまで受け取ることとなった。
2024年6月にプーチン大統領が24年ぶりに訪朝して以降、露朝関係は大きな変化を迎えている。両首脳の会談を経て、「包括的戦略パートナーシップ条約」が締結されたのだ。
ユーロニュース放送によれば、この条約は両国の間で軍事支援の在り方を規定するものであり、どちらか一方が攻撃を受けた場合にはもう一方が即時に加勢することになっているそうだ。
実際、北朝鮮軍部隊の派遣はこの条約に基づいたものだ。今のところ、ウクライナ領内にあるロシア軍占領地域では、北朝鮮軍の活動は確認されていない。しかし、ロシア領のクルスク州ではウクライナ軍と北朝鮮軍が交戦した形跡が見られる。