偶然から生まれて、世界を大きく変えた発明品:コカコーラ、バイアグラ......
科学における発明のおよそ半数は偶然の産物であり、もしかするとその割合はもっと高いかもしれないと専門家はいう。そこで、今回はたまたま発明された製品の数々をご紹介しよう。
強力な接着剤の開発にあたっていたスペンサー・シルバーが1968年に発見したのは、逆にとても剥がれやすい素材だった。これを利用して友人のアート・フライは3M社から付箋のさきがけとなる「Press'n Peel」を1977年にリリースしたが失敗。しかし、3年後に発売された「Post-it」はヒット商品となり、現在も愛されている。
写真:Unsplash - Patrick Perkins
アイスクリームのコーンが登場したのはわりと最近のこと。1904年の万国博覧会で、カップを切らしてしまったアイスクリームスタンドが隣の屋台で売っていたワッフルを丸めてアイスクリームを乗せたのがはじまり。その後、現在のようなサクサクのコーンへと進化を遂げるのだ。
写真:Unsplash - Brooke Lark
今や世界的に人気のコカ・コーラだが、産みの親はジョン・ペンバートンという薬剤師であり、当初この飲み物はワインベースのシロップとコカのエキスを調合した頭痛薬だった。しかし、1885年にアトランタでお酒が禁止されたことを受け、ペンバートンはワインベースのシロップを炭酸水に変更。その後の歴史は言うまでもない。
もともと高血圧や狭心症の薬として開発されたバイアグラ。しかし、モリストン病院(ウェールズ)の研究者たちは思うような結果を得ることができなかった。ところが、男性機能不全に効果があると判明。1996年に特許を取得し、現在に至っている。
史上初の抗生物質として医学に転機をもたらしたペニシリン。1929年、休暇から戻ってきた細菌学者のアレクサンダー・フレミングは、フタを開けたまま放置したペトリ皿のブドウ球菌がカビのせいで全滅しているのを発見。その後の研究で、カビが生成する物質を小動物に投与すると感染症を副作用なしで治療できることを突き止めた。
数年後、ハワード・フローリーとエルンスト・チェインがその物質の単離に成功し、ペニシリンが誕生することとなった。2人は1945年にノーベル医学賞を受賞している。
1930年、茶色いチョコレートクッキーを焼こうとしたルース・ウェイクフィールドは、オーブン用のチョコレートが手元にないことに気づく。そこで、板チョコを砕いて生地に混ぜたところ焼いても溶けずに残り、チョコチップクッキーが誕生した。
写真: Unsplash - Ben Lei
19世紀末、穀物を煮込んでグラノーラを作ろうとしていたジョン&ウィル・ケロッグ兄弟は、あるとき調理済みの穀物を容器ごとストーブの上に置きっぱなしにしてしまった。数日後、容器にはカビが生えていたものの、中身はふっくら乾燥していたのだ。2人はその後、実験を重ねてシリアルの開発に成功。ケロッグ社を創設した。
写真:Unsplash - Sten Ritterfeld
化学物質を棒の先につけて扱っていたときに、マッチのアイデアを思い付いた薬剤師のジョン・ウォーカー。彼は自分の発明を「フリクション・ライト」と名付け、ボール紙や木にヤスリ紙を組み合わせたものを薬局で販売していたが、特許は申請しなかったという。その結果、この発明に目をつけた企業家たちが特許を取得し、巨万の富を築くこととなるのだ。
写真:Unsplash - Ian Talmacs
1946年、レイセオン社のエンジニアだったパーシー・スペンサーはレーダー用マグネトロンの開発中に、ポケットの中のチョコレートバーが普段より早く溶けることに気づく。そこで、さまざまな物体を対象に実験を重ねた結果、重さ300キログラムの電子レンジを生み出し、特許を取得した。幸い、時とともに小型化が進み、今では一般的な家電となった。
写真:Unsplash - Vlad Zaytsev
ノーベル賞の始祖、アルフレッド・ノーベルは1864年に弟を含む4人をニトログリセリンの爆発事故で失っている。以来、この物質を安全に扱う方法を長年模索した結果、珪藻土に吸収させるという解決法を見いだし、ダイナマイトが誕生した。
高周波を利用して低体温症を治療する研究を行っていたジョン・ホップス。この試みは成功しなかったが、ホップスの装置を利用すると鼓動が止まった心臓をふたたび動かすことができると判明。ペースメーカーの開発が進展することとなった。
アイラ・レムセンとコンスタンティン・ファルバーグがコールタールの代替となる物質を模索していた1879年。ある日、ファルバーグは食事中にいつもより食べ物を甘く感じることに気づき、その原因が手を洗い忘れたことにあると突き止めた。こうしてサッカリンが生まれることになったのだ。
1955にジョルジュ・デ・メストラルが開発し、特許を取得したマジックテープ。1941に愛犬の散歩から帰ったメストラルはズボンの裾に張り付いた野生のゴボウの実に興味を抱き、どうして衣服にくっつくのか研究することにした。こうして、マジックテープが誕生し、メストラルはベルクロ社を設立して自らの発明を世界に広めていったのだ。
ポテトチップスが生まれたのは1853年。ニューヨークのレストランでコックをしていたジョージ・クラムは、ある客からフライドポテトが油っぽくて柔らかすぎると突き返されてしまった。そこで、意趣返しとして極端に薄く切りカリカリに揚げたポテトに塩を振って出したところ、件の客は大喜び。大ヒット商品が生まれた瞬間だ。
写真:Unsplash - Esperanza Doronila
1895年、ドイツの物理学者、ヴィルヘルム・レントゲンは冷陰極管を用いて蛍光面を光らせる実験をしていたが、手を差し出したところ画面に骨が映ることを発見。これを写真に捉えることでレントゲン写真が生まれることとなった。
写真:Unsplash - National Cancer Institute
レオ・ベークランドがホルムアルデヒドおよびフェノール、炭素に熱を加え、偶然世界初のプラスチック「ベークライト」を生み出したのは1907年のこと。ベークライトはとても頑丈なことから現在でもさまざまな製品に利用されている。
写真:Unsplash - Layne Harris
長年、ゴムの改良に心血を注いでいたチャールズ・グッドイヤーは、あるとき硫黄を加えたゴムを誤ってストーブで加熱してしまったが、実はこれがゴムを丈夫にする秘訣だった。1844年に特許を取得。タイヤメーカーのグッドイヤー社は彼にちなんで名付けられている。
写真:Unsplash - Tristan Beischel Autoily
フライパンの焦げ付き防止用の素材として知られるテフロン。デュポン社で冷却材を研究していた化学者、ロイ・プランケットが偶然発見した。溶剤に強く500℃の高温にも耐えるため、1950年代から広く利用されるようになった。
写真:Unsplash - Towfiqu Barbhuiya