動く地下壕のようなキャンピングカー「ELE」:何があっても大丈夫
ELE(Extinction Level Event)と名付けられたこのキャンピングカー。戦争や自然災害といった絶体絶命の事態を想定して開発されたものだけあって、まるで車輪付きの地下壕といった趣だ。しかし、驚くべきはその見た目だけではない。
写真:Mammoth Overland ELE
このキャンピングカーは、マンモス・オーバーランド社のスコット・テイラー社長がキャンプに注ぐ情熱と、数十年かけて積み上げた航空機製造のノウハウを融合させて生み出したものだ。
写真:Mammoth Overland ELE
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実は、マンモス・オーバーランド社は軽量スポーツ航空機メーカー「ヴェイション・エアクラフト」の子会社だ。したがって、ELEに航空機用の先端技術が用いられているのは驚くべきことではないのだ。
ELEの装甲は航空宇宙材料のアルミニウムでできた2重の壁に加え、高密度の断熱フォームからなっており、防弾レベル3を誇るという。
写真:Mammoth Overland ELE
ELEのドアは耐圧性を持たせるため、潜水艦のハッチのような構造となっている。外壁に埋め込まれた4本の柱でしっかりと支えられており、レバーで開閉するようになっているのだ。
写真:Unsplash - Michal Mrozek
そのため、内部の気圧は一定に保たれるほか、3分で空気を浄化することも可能。しかも、医療グレードのろ過システムが搭載されており、最長6ヵ月間きれいな空気を供給し続けることができるのだ。
写真:Mammoth Overland ELE
ちなみに、ELEに搭載されている空気浄化システムは非常に強力で、一般的なシステムでは取り除くことができないニオイまで除去することができる。
写真:Mammoth Overland ELE
また、人里離れた地域に乗り込むことを想定し、危険な動物や暴漢に効果を発揮するクマ避けスプレーも装備されている。
写真:Mammoth Overland ELE
ボタンを押してクマ避けスプレーを発射するとELEは25メートル×3メートルの分厚い催涙剤の煙幕に包まれ、ものの数秒で闖入者を撃退することができるのだ。
写真:Mammoth Overland ELE
ELEは単なるキャンピングカーではない。屋上には見張り台につながるハッチがついており、そこからドローンを飛ばすことだって可能だ。
写真:Mammoth Overland ELE
ドローンには暗視カメラが搭載されており、コンピューターを通じて遠隔操作しながら周囲を監視できるようになっている。
写真:Unsplash - Pawel Czerwinski
車内に設置されたスクリーンはドローンや暗視カメラの映像が表示されるほか、周囲の気象状況や放射線量などを逐一チェックするためにも用いられる。
写真:Mammoth Overland ELE
ELEの前部は鋼鉄で補強されており、樹木や岩石に衝突しても大丈夫なようになっている。また、車体下部も特殊な鋼鉄でカバーされているとのこと。
写真:Mammoth Overland ELE
しかし、先端技術は安全対策にばかり用いられているわけではない。ELEの内部にはエアコンのほか無線通信システム、インターネット、32インチのスクリーン、収納スペースなどが備え付けられており、狭い空間ながら快適な暮らしを実現しているのだ。
写真:Mammoth Overland ELE
気になるお値段はフル装備のELEで6万7,000ドル。オプションは防弾レベル3の装甲で2万5,000ドルとなっている。受注生産のみ。
マンモス・オーバーランド社のスコット・テイラー社長は、「ELEは航空機の安全基準で設計されてます。クマや山火事、社会の混乱まで、キャンパーが遭遇するおそれのある、あらゆるトラブルに対処できるので、誰でも探検に乗り出すことができるでしょう」とコメントしている。
写真:Mammoth Overland ELE