人口5億人を抱える世界最大のメガロポリスが西アフリカに誕生へ
2022年、国連は世界の総人口が80億人を突破したと発表した。それに伴い都市部で人口集中が進み、2050年までに人口の70%が都市部に集まると予測されている。
人口の多い大都市といえばニューヨーク、ロンドン、東京、上海、ブエノスアイレスなどが思い浮かぶかもしれない。だが、アフリカにも巨大都市が生まれつつある。
英紙『ガーディアン』は専門家の言葉として、今世紀末には人口約5億人という世界最大の都市圏がアフリカに誕生すると伝えている。
巨大都市圏を構成するとされるのは、コートジボワールのアビジャンからナイジェリアのラゴスに至る海岸沿いの一帯だ。西アフリカの二都市を結ぶ全長約1,000キロメートルのこのルートは「アビジャン~ラゴス回廊」と呼ばれ、上記2か国に加えトーゴ、ベナン、ガーナの計5か国を通過している。
こうした予測はそれほど驚くにはあたらないかもしれない。というのも、今世紀末には、アフリカ大陸が世界の総人口に占める割合は40%近くに達すると推定されているのだ。
実際、西アフリカの「アビジャン~ラゴス回廊」地域の人口はすでに4,000万人を突破。近年まで世界最大とされた東京大都市圏の人口3,700万人を上回っているのだ。
その理由は明らかだ。アフリカ各都市の周辺には未開拓の土地が広がっており、それが都市圏に吸収されると同時に、農村部から都市部へ人口が急速に流入するためだ。こうした流れが続けば、2035年に「アビジャン~ラゴス回廊」の人口は5億人を突破すると英紙『ガーディアン』が伝えている。
こうした人口増加の傾向が最も顕著にみられるのはコートジボワールのアビジャンで、「World Population Review」によれば、20世紀半ばの人口はわずか6万5,000人だったにもかかわらず、現在は100倍近いおよそ600万人となっている。
また、ナイジェリアのラゴスでは人口がすでに900万人を超え、アフリカ最大の都市となっている。その成長は著しく、2035年には2,500万人に達する可能性もあるという。
このペースで人口が増え続ければ、2100年にはラゴスの人口は8,800万人に達して世界最大の超巨大都市となる可能性がある。
しかし、「World Population Review」が指摘するように、西アフリカの「アビジャン~ラゴス回廊」では急激な人口増加に比してインフラ整備や社会サービスの充実が遅れ、深刻な都市問題が起こっている。
さらに、巨大な都市圏が5か国にわたることも問題を複雑にしている。こうした人口問題における対策のひとつが、アフリカ各国を結ぶ幹線道路網「トランス・アフリカ・ハイウェイ」の一部をなす「西アフリカ沿岸道路」だ。
5か国を結ぶ全長約1,000キロメートルの「アビジャン~ラゴス回廊」をはるかに超え、「西アフリカ沿岸道路」は全長4,000キロメートルでモーリタニアからナイジェリアに至る12か国をカバーしている。
オンラインメディア「Global Construction Review」によれば、「西アフリカ沿岸道路」の開発費は約156億ドル、アフリカ開発銀行等の機関が多額の出資を行っているという。