世界の子供を受け入れる北朝鮮サマーキャンプの実態とは:金総書記の像を清掃、ゲームで米国を攻撃......
北朝鮮に国内外の子供を受け入れるサマーキャンプ施設があることをご存じだろうか。国内の児童はもちろん、ロシアを中心に海外からも児童が集まるという。
CNNは夏前に、今年は100人のロシアの子供たちが北朝鮮をサマーキャンプで訪れる予定だと伝えた。コロナ禍以降初の試みだ。
具体的には、子供たちが訪れるのは北朝鮮南東部、日本海沿岸の江原道にあるソンドウォン国際児童キャンプだという。
ソンドウォン国際児童キャンプはいままでも世界中から子供を受け入れてきていたのだが、今回この試みが注目されているのは、ロシアと北朝鮮が包括的戦略パートナーシップ条約を締結した直後だからだ。
『ビジネスインサイダー』誌によると、同キャンプは最大1,200人の児童を受け入れ可能で、ロシアや中国、タイ、ベトナム、果てはメキシコなどから子供が訪れているのだという。
広大な敷地内には遊園地やアーケード、水族館、バードセンター、ボルダリング施設、そして剥製の動物を展示する施設などがあるのだという。
写真は同キャンプの標準的な一室だ。設置されているテレビが参加者の子供たちよりも年齢が上なのは確かだろう。
キャンプでは海岸でのレクリエーションなどふつうのアクティビティも実施されているが、想像の通り独特なイベントもある。参加者は毎日朝6時に起きてキム一族の像を清掃しないといけないのだ。
また、CNNが特に変わった点として指摘しているのは、キャンプに設置されたテレビゲームだ。そこではプレイヤーはハムスターとなって戦車に乗り、ホワイトハウスを破壊するのだという。
2015年にロシアから実際にキャンプに参加したユーリ・フロロフによると、外国から来た子供たちは北朝鮮の子供たちからは隔離されていたという。『ビジネスインサイダー』が伝えている。
フロロフによると、北朝鮮の子供たちと交流できたのは最終日だけで、ごく短時間のことだったという。
また、フロロフによると食事はほとんど米とジャガイモ、パンだけだったとCNNが伝えている。フロロフは2週間で5kgやせたらしい。
キャンプでは食事よりも酒とたばこのほうが手に入れやすいという。常時監視されていたにもかかわらず、当時12歳だったフロロフは友だちと一緒に初日から泥酔したと『ビジネスインサイダー』誌に語っている。
フロロフの認識では、参加者の子供たちは多くの場合、比較的安価に海沿いで夏を過ごすことができるからというだけの理由でやってきており、政治的動機は強くなかったとされている。
『ビジネスインサイダー』によると、同キャンプは政府から手厚い援助を受けており、費用は400ドル(約6万円)程度ですむのだという。
確かに、参加すれば生涯の思い出にはなるだろう。いい思い出とは言えないかもしれないが。