中国式の交通取締り:駐車違反者を「さらしもの」にする仕組みとは
巨大な人口を抱える中国だが、一部地域では駐車違反にいかつい「車輪止め」はなし。交通警察がクレバーな方法で違法駐車を取り締まっているという。いったいどんな仕組みなのだろうか。
市民に駐車ルールを守らせる方法はひとつではない。そして、中国の警察当局が目を付けたのは、違反車両を「さらしもの」にするというやり方だった。
しかし、違反車両を「さらしもの」にするとは、具体的にどういうことなのだろうか? ポイントは、一目でそれとわかるような烙印を車に残すことだ。
烙印となるのは運転席側のドアに取り付ける吸盤のような装置で、タイマーとGPSからなっている。この装置によって交通警察は違反車両を常時管理することができ、装置が何日間車に取り付けられているかを知ることもできる。
写真:Reddit
この装置はドアだけでなくドアミラーにも取り付けられるようになっている。しかし、これによってミラーの視野が遮られることはないため、普段と同じように車を運転することができる。つまり、移動にあたってレッカー車を呼ぶ必要はないのだ。
この装置は違反者に違反を通知するだけでなく、違反行為があったことを周囲の人々にも知らしめてしまう。ただ高額な罰金を科するよりも、違反防止効果が高いというわけだ。
写真:Douyin (TikTok)
ちなみに、この装置が取り付けられているかぎり、罰金の額は日に日に増えつづける。けれども、車両自体は問題なく使用することができるのだ。
まさに完璧なアイディアで、この罰は中国の人々の痛いところを突いているようだ。
なぜなら、中国では「社会信用スコア」というシステムが一部地域で普及しており、個人や企業について、社会的に信用を高める行為には報酬を、逆の行為には罰則を課すという取り組みがなされているからだ。駐車違反の烙印が大々的に押された車を運転することは、自分が社会的に信用の低い人間であることを周囲に知らしめているようなものなのである。
いまのところ、この罰則システムと吸盤装置は全国には広がっていない。しかし、全土に普及するのも時間の問題かもしれない。駐車違反の「車輪止め」はいずれ姿を消すのだろうか?