中国国際航空、中国産大型ジェットC929のカスタマー第1号に
オンラインニュース「EurAsian Times」の報によれば、中国国際航空(エア・チャイナ)が自国産航空機C929の世界初のユーザーとなった。市場競争が激しさを増し、将来的にはアメリカによる関税賦課も見えてきたことが背景にある。
今回、中国国際航空が使用を決めたのは中国商用飛機(COMAC)のジェット機C929だ。同機は現在開発中だが、第15回中国国際航空宇宙博覧会(珠海航空ショー)の場で、同航空と契約を締結したと発表された。
C929は座席数280席のジェット式ワイドボディ機で、競合機にはエアバス350やボーイング787がある。現時点ではまだ開発中で、航空証明の取得にはしばらくかかる見込みだ。
納品は早くとも2027年とされるが、中国国際航空としては国内産業へのコミットメントをアピールしたいという目論見もあるようだ。
中国商用飛機(COMAC)は2008年に上海で設立、中央政府などが株主となっている。すでにナローボディ機のC919が中国東方航空や中国国際航空などで就航しており、今後東南アジア路線に就役する計画もある。
C919は、中国でライセンス生産されていたマクドネル・ダグラスMD-80及びMD-90に近いが、機体形状などはエアバスA320にも似ている。
一方で、COMACは中国人民解放軍が所有しており影響が強いということで、米当局から軍関連企業に指定され制裁も受けている。
そのため、ロイター通信によると、アメリカの企業・個人はCOMACに投資することはできないという。そういった制裁を受けながらも、COMACは今後5年間で150機のC919を生産するという野心的な計画を立てている。
C919は現時点では外国製のエンジンを搭載しているが、将来的な国産エンジン搭載も視野に開発を進めている。
C929は双発機として計画され航続距離は最大12,000kmと、北京-ニューヨーク間を十分飛行可能な数値が目指されている。
「EurAsian Times」いわく、COMACは今後20年のうちに4万3,863機を納入、金額は6.6兆ドルにも及ぶとの強気の予測を発表しているという。
中国共産党傘下の『環球時報』いわく、中国は世界の民間航空機市場で急速に存在感を増しつつあるのだという。
第二次トランプ政権では中国に厳しい関税が課せられる恐れもあり、中国企業が欧米のサプライチェーンから独立し、アジア市場を形成しようとする公算は高い。
そうすれば供給網がより安定し、保護主義的政策を採ろうとしているアメリカからの影響が減らせる上、輸送費も削減できるからだ。
現在、中国は世界の民間航空機市場のうち16%を占めている。保有機体数も現在の4,000機から、2041年までに8,500機まで増える見込みだ。
こうして、中国はエアバスやボーイングといった外国資本からの自立を目指して、独自の巨大な航空機市場を形成しつつあるのかもしれない。