西側パイロットの獲得を目論む中国:米英など5カ国が共同で警告
いま、中国が西側諸国の戦闘機パイロットを「非常に積極的に」採用しようとしているとして、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、米国の5カ国が共同で警告を行った。
中国は欧米で経験を積んだパイロットを採用し、自国軍で指導に就かせる狙いとみられる。
ロイター通信によると、共同声明では次のように述べられているという:「欧米の戦闘機パイロットが人民解放軍で指導に当たった場合、我々の抑止力が低下し、将来の武力衝突におけるリスクが増加する恐れがある」
『ビジネスインサイダー』によると、人民解放軍が狙っているのは西側のパイロットやフライトエンジニア、軍事戦略・戦術・実務に詳しい専門家などだという。
中国側は西側パイロット獲得のためにさまざまな戦略を採っているとみられ、直接連絡したりオンライン上でアプローチしたりしているほか、各国所在の私企業をカバーとして用いることもあるという。
軍事ニュースサイト「military.com」によると、近年特に中国軍が頻用しているのは南アフリカにある企業を利用するやり方で、西側パイロットらの疑いを招かないよう巧みにアプローチしてくるのだという。
CNNによると、パイロットの練度を西側に対抗できるレベルまで向上させることは中国政府にとって積年の課題となっているという。
CNNも強調するように、西側パイロットが中国に引き抜かれた場合、当該人物が軍の指導に当たるのみならず、西側諸国が用いるであろう戦略に関する情報も流出することが懸念されている。
中国政府が台湾有事を見据えているのだとすれば、これはたしかに最優先課題ということになる。
BBCは、2024年5月の台湾総統選で独立派の頼総統が誕生したことで中国側も危機感を高めているとの見解を示している。
中国の習近平国家主席にとって台湾の実効支配を回復し「一つの中国」を実現することは重要な目標となっているが、はたしてそれは現実的に可能なのだろうか。
さらに言えば、世界最大の経済力を誇る大国と西側諸国が衝突したら、世界情勢はいったいどうなってしまうのだろうか。