世論調査でロシア人の半数が和平支持:アウディイウカでの大損害が影響か?
ロシアによるウクライナ侵攻がはじまってすでに2年近くが経とうとしている。終結する気配がないこの戦争だが、最近行われた世論調査の結果によれば、ロシア国民のおよそ半数は自国政府が和平交渉を進める必要があると考えているようだ。
ニュースサイト「ブルームバーグ」は最近、ロシア国内で市場調査を行っているグループ「Russian Field」が実施した世論調査の結果を報道。それによれば、対象者のおよそ半数はウクライナとの和平に前向きだという。
「Russian Field」の調査では対象者の48%が、ロシア政府は和平に取り組む必要があると回答。一方、戦闘の継続を主張したのは39%だった。
ブルームバーグによれば「Russian Field」の世論調査で和平派が継戦派を数で上回ったのは、開戦以来今回が初めてだとのこと。
「Russian Field」が発表した調査結果の概要によれば、45歳以上の男性では継戦派が多数を占めたものの、女性や45歳未満の回答者では和平交渉を求める声が多数派だったという。
さらに、所得水準の低い国民に比べ、富裕層の間で継戦を支持する声が多く聞かれたようだ。しかし、回答者全体について見れば、その74%が和平合意の締結を支持すると回答している。
ブルームバーグの指摘によれば、プーチン政権が和平合意にサインすることをこれほど多くのロシア人が支持したのは、部分的動員によって30万人が召集された2022年9月以来だという。
さらに、今回の世論調査では回答者の53%が2度目の動員に反対を表明した。ただし、ブルームバーグは、このような国民の声によってロシア政府が態度を軟化させるという楽観的な見方はしていない。
同サイトいわく:「ロシア国民の間で広まりつつある懸念がプーチン大統領の決断に影響を及ぼす可能性は低い。プーチン大統領は、ウクライナ東部および南部が部分的にロシアの支配下にあるという『現状』をウクライナ政府が受け入れる場合にのみ、対話の席に着くと発言している」
ブルームバーグはさらに、「ロシア軍は多数の死傷者を出し、占領した地域から何度も撤退を強いられているが、プーチン大統領は2022年2月に開始した侵略戦争を中止する意思を見せていない」と指摘。
なお、2度目の動員を支持すると回答した対象者は38%に留まり、継戦を支持する人々と同じ割合となっている。
45歳以上の男性は2度目の動員を支持する傾向にあり、60歳以上の男性ではおよそ半数がこの政策に賛成すると回答。一方、女性や45歳未満の男性では不支持が多数派だった。
「Russian Field」の世論調査ではすでに取り上げたもの以外にもさまざまな質問がなされ、興味深い回答が得られている。いずれにせよ、タカ派の戦略と2度目の動員を支持する人ほど継戦を望んでいるのは確かだ。
一方、ウクライナからの撤兵を支持し、2度目の動員に反対を表明した人々は、和平交渉に賛成。つまり、ロシア国民も一枚岩ではないということだ。
しかし、回答者の56%は今回の「特別軍事作戦」がうまくいったと考えており、そう思わない人はわずか25%に留まっている。
「Russian Field」の世論調査は、10月21日から29日にかけて対象者1,611人に電話で回答を求めるという形で行われた。当時、ロシア軍はアウディイウカ(ドネツク州)を守備するウクライナ軍に強引な攻勢を仕掛け、大損害を出していたことに留意する必要があるだろう。