世界で最も住みやすい都市は?:日本の都市もトップ10入り

「住みやすい都市」とは?
ウィーン(オーストリア):1位
コペンハーゲン(デンマーク):2位
チューリヒ(スイス):3位
ジュネーヴ(スイス)は5位
カナダの2都市、カルガリーとバンクーバー
メルボルン4位、シドニー5位、大阪9位、オークランド9位
住みにくい都市は?
ダマスカス(シリア):173位
カラチ(パキスタン):169位
キーウ(ウクライナ):165位
テルアビブ(イスラエル):112位
トリポリ(リビア):172位
ハラレ(ジンバブエ):167位
ラゴス(ナイジェリア):170位
アルジェ:171位、ダッカ:168位、ポート・モレスビー:166位、カラカス:164位
「住みやすい都市」とは?

英経済誌『エコノミスト』グループの調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は、世界に散らばる173の都市について「住みやすさ」を独自に評価、毎年ランキングを新たにしている。各都市の住みやすさは、安定度、医療、文化と環境、教育、インフラストラクチャーという5大カテゴリーにまたがる30の項目で採点されている。

写真:Pixabay

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ウィーン(オーストリア):1位

3年連続で住みやすさ1位に選ばれた都市は、オーストリアの首都ウィーン。安定度、医療、教育、インフラの4カテゴリーで100点満点だった。ただし、文化と環境のカテゴリーでは93.5点と改善の余地を残しており、これは大規模なスポーツイベントが同地で開かれていないためである。

コペンハーゲン(デンマーク):2位

住みやすさ第2位はデンマークのコペンハーゲン。社会福祉が充実しているデンマークでは、教育と医療が無料であり、人々は仕事や教育などで平等な機会を得ることができる。国土は豊かな緑に恵まれ、多くの人が移動に自転車を使うなど環境保護活動にも力を入れている。さらに国連の「世界幸福度報告書」2024年版によれば、デンマークは首位フィンランドに僅差でつぐ堂々の2位となっている。

チューリヒ(スイス):3位

優秀な公共交通網、素晴らしい自然の景観、文化活動やエンターテインメントにも事欠かず、教育面でも高水準、経済は安定しており、2024年の世界銀行統計データにおいてスイスは一人当たりの名目GDPランキングでルクセンブルクに次ぐ2位となっている。

ジュネーヴ(スイス)は5位

同じくスイスからはジュネーヴが5位にランクインしている。同都市は犯罪発生率の低さと安定性の高さから、このランキングの常連となっている。多くの国際機関やNGOが事務局や本部をジュネーヴに置いており、そのこともあって同都市は「平和で落ち着いた暮らしのできる場所」という定評を得ている。

カナダの2都市、カルガリーとバンクーバー

カナダからはカルガリーが5位にランクイン(ジュネーヴと同点)。バンクーバーは7位につけた。カルガリーは、世界で最も清潔な都市の一つとされており、石油産業で経済が潤っている。バンクーバーに比べると住居費と税が安いことも魅力だ。一方バンクーバーの魅力は、芸術や文化、食などにある。

メルボルン4位、シドニー5位、大阪9位、オークランド9位

オーストラリアからはメルボルンが4位にランクイン。シドニーはカルガリーと同点の5位になっている。メルボルンもシドニーもこのランキングの常連だ。日本からは大阪が9位、おなじくニュージーランドのオークランドも9位につけた。

住みにくい都市は?

では、世界で最も住みにくいのはどの都市だろう? 安定度、医療、文化と環境、教育、インフラストラクチャーといった分野で低い評点にとどまっているのはどの都市だろう?

ダマスカス(シリア):173位

最下位の173位は、シリアの首都ダマスカス。2011年に始まったシリア内戦は今も続いており、この住みやすい街ランキングでは2013年からずっと最下位に沈んでいる。

カラチ(パキスタン):169位

パキスタン最大の都市で、アラビア海に面するカラチはランキングの169位。ロイター通信によれば、カラチをはじめパキスタンの都市部では大気汚染が深刻であり、自動車の排気ガスや工場からの煙、れんがの焼き窯やごみ焼却がその主な原因になっているという。

キーウ(ウクライナ):165位

ウクライナのキーウは165位になっている。ロシアのミサイルやドローンによる攻撃で街が大きなダメージを受けていることから、5カテゴリーの「インフラストラクチャー」で特に低い評点がついている。

テルアビブ(イスラエル):112位

地中海に面するイスラエルの都市テルアビブは、超高層ビルが立ち並ぶ経済都市であり、世界遺産に登録されている「白い都市」が中心地区に広がっているなど、文化の面でも見どころが多い。しかし現在、パレスチナ自治区ガザにおいてイスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突が起きており、テルアビブにもガザやレバノンからロケット弾が打ち込まれている。その結果、今回の調査ではインフラと文化・環境のスコアが昨年と比べて大きく下がり、同都市の順位は昨年よりも20位下の112位になった。

トリポリ(リビア):172位

リビアの首都トリポリは、医療、インフラ、識字率といった面で多くの問題を抱えている。2011年の内戦でカダフィ独裁政権が倒れて以降、政治的に不安定な状態が続いており、昨年もトリポリで武力衝突が発生している。

ハラレ(ジンバブエ):167位

ジンバブエの首都ハラレは、医療のカテゴリで低い評点がついている。日本外務省HPによると、ジンバブエの公的医療機関は財政難等のため衛生状態が良くないこともあり、医薬品なども不足しているという。

ラゴス(ナイジェリア):170位

ナイジェリアの大都市ラゴスには人口が密集しており、自動車の排気ガスなどによる大気汚染が深刻だ。上下水道の設備も行き届いておらず、医療の質にもむらがある。

アルジェ:171位、ダッカ:168位、ポート・モレスビー:166位、カラカス:164位

その他、住みにくい都市としては、アルジェ(アルジェリア)、ダッカ(バングラデシュ)、ポート・モレスビー(パプアニューギニア)、カラカス(ベネズエラ)などが挙げられている。

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