もしもゼレンスキー大統領が暗殺されたら:万が一に備えて対策を練るウクライナ

もしも大統領が暗殺されたら
国民を団結させたゼレンスキー大統領
大統領の決断
「私はここにいます」
十数回におよぶ暗殺未遂
「機密情報を常に受け取っている」
CNN放送のインタビュー
ゼレンスキー大統領のコメント
暗殺対策はボディーガードの仕事
当局者たちの対応
後継者は誰?
権力の空白を回避
ウクライナの首脳部
国民の強固な結束
精神的なショック
ロシアに対抗する上でカギとなるのは……
最も重要なこと
もしも大統領が暗殺されたら

ウクライナ当局は、ゼレンスキー大統領がロシアによって暗殺されてしまう可能性に備えて対策を立てているという。それは一体どのような計画なのだろう? また、戦時のリーダーとして人気の高い同大統領が暗殺されてしまったとしたら、ウクライナ情勢にどのような影響があるのだろうか?

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国民を団結させたゼレンスキー大統領

ロシアによるウクライナ侵攻の初期段階でウクライナ国民を団結させたのは、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が首都キーウにとどまり、国民を鼓舞したことだろう。

大統領の決断

開戦直後にゼレンスキー大統領が下した「私に必要なのは弾薬です。(逃亡用の)車ではありません」という決断が、歴史の転換点となったことは間違いないだろう。しかし、キーウにとどまるという選択は、同大統領の身に危険をもたらすものだった。

「私はここにいます」

ロシアによるウクライナ侵攻開始から数日後、ゼレンスキー大統領は首都キーウに踏みとどまる決意を明かすと同時に、ウクライナ国民にこう呼び掛けた:「私はここにいます。武器を捨てるつもりはありません。私たちがこの国を守るのです」

 

十数回におよぶ暗殺未遂

しかし、ウクライナのミハイル・ポドリャク大統領顧問が2022年3月に『ウクラインスカ・プラウダ』紙に語ったところによれば、ゼレンスキー大統領は侵攻開始後わずか数週間のうちに十数回の暗殺未遂に直面したという。

「機密情報を常に受け取っている」

ポドリャク大統領顧問いわく:「外国の情報源は暗殺計画は2、3回だったとしていますが、私はそのような試みが十数回あったと見ています。いくつかのスパイグループによる官庁街侵入の試みについては、常に情報がもたらされています」

CNN放送のインタビュー

現在、ゼレンスキー大統領は侵攻の初期段階と比べれば、かなり安全な状況にあると見られていた。しかし、『ガーディアン』紙は2023年8月7日に、ウクライナのセキュリティサービスがスパイ容疑で女性を逮捕、大統領暗殺を阻止したと伝えている。このような情勢のなか、大統領自身はCNN放送が最近行ったインタビューの中で、自分の命の危険については考えないようにしていると述べた。

ゼレンスキー大統領のコメント

オデッサでCNN放送のエリン・バーネット記者のインタビューに応じたゼレンスキー大統領は、「もし私がそのことを考え続けていたら、自分自身の殻に閉じこもることになってしまうでしょう。それでは、地下壕から出てこないプーチンと変わりません」とコメント。

暗殺対策はボディーガードの仕事

さらに、「もちろん、私のボディガードたちはそのような事態を防ぐため対策していますし、それが彼らの任務です。しかし、私自身は考えないようにしています」と続けた。

 

当局者たちの対応

しかし、大統領自身は暗殺の可能性を考えないようにしているとはいえ、その他の政府当局者たちは万一の事態を想定して対策を練っている。実際、『ポリティコ』誌の報道によれば、大統領がロシアの暗殺者の手にかかって殺害されてしまった場合のシナリオを準備しているというのだ。

後継者は誰?

野党議員ミコラ・クニャジツキーは同誌に対し、ゼレンスキー大統領が政務を果たせなくなってしまった場合は憲法の規定に則り、国会議長が職務を引き継ぐことになると解説。

写真:Twitter@ m_kniazhytskyi

権力の空白を回避

クニャジツキー議員によれば、「したがって、権力の空白は生まれません」とのこと。万が一、ゼレンスキー大統領が暗殺されるようなことになれば、ヴェルホーヴナ・ラーダ(ウクライナ最高議会)のルスラン・ステファンチュク議長が、首脳部のサポートを受けながら職務を引き継ぐこととなるのだ。

ウクライナの首脳部

『ポリティコ』誌によれば、ステファンチュク議長のほか、アンドリー・イェルマーク大統領府長官、ドミトロ・クレバ外相、オレクシー・レズニコフ国防相も閣僚として活動を続けるほか、ヴァレリー・ザルジニー総司令官も指揮権を保持するものと見られている。

 

国民の強固な結束

米シンクタンクのシニアフェロー、アドリアン・カラトニスキーは『ポリティコ』紙上で、「この国では今、国民が一致団結し、強固に結束しています。そのため、たとえゼレンスキー大統領の身に何かあったとしても、一般的に考えられているほど決定的な影響はないでしょう」としている。

精神的なショック

カラトニスキーもゼレンスキー大統領の暗殺が心理的なショックを与えうることは認めている。しかし、今回の戦争によってウクライナは大きな変貌を遂げており、国民の反応を見極めるのは難しいと付け加えた。

ロシアに対抗する上でカギとなるのは……

一方、前出のクニャジツキー議員は「ロシアによる侵略に対抗する上でカギとなるのは強靭な国防軍、巧みな指揮、そして前線での勝利であることを忘れてはならないでしょう」と語っている。

最も重要なこと

さらに、同議員は「これがウクライナの政治的安定にとって最重要です」とした。ただし、『ポリティコ』誌はゼレンスキー大統領が暗殺された場合、同盟国の結束が揺らぐおそれがあると指摘。実際のところ、何が起こるのかは未知数だ。

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