ロ朝戦略的パートナーシップ条約締結:ロシアは北朝鮮と実質的軍事同盟を結ぶ
AP通信によると、ロシアと北朝鮮の間にかなり踏み込んだ内容の合意(ロ朝戦略的パートナーシップ条約)が結ばれた。両国関係は冷戦期以来最大級に接近したことになる。
同条約では有事の際に相互に軍事支援を行うことが明記されており、ウクライナ侵攻や今後の東アジア情勢への影響が懸念されている。BBCが報じた。
ロシア国営タス通信によると、ロシアのプーチン大統領はこう発表したという:「本日、新たな基本的文書が(北朝鮮との間に)交わされ、今後の長期的な関係の基礎が築かれた」
一方、北朝鮮の金正恩総書記はロシアと北朝鮮の間に「強固な友情」が築かれたと宣言、ロシアの「特別軍事作戦」を全面的にサポートするとも述べたという。AP通信が報じている。
タス通信はこの合意がロシアと北朝鮮の関係を「次のレベル」に引き上げるとし、その影響分野は文化や教育、農業、そして懸念されるように安全保障にまで及ぶと述べている。
プーチン大統領は合意は防衛的だとし、「どちらかの同盟国が攻撃を受けた際に相互援助を行う」ものだと述べている。だが、ロシアの言う「攻撃」概念は非常に曖昧なため、多くの専門家が不安視している。
米放送局NPRによると、ソ連と北朝鮮は冷戦時代にも相互防衛条約(ソ朝友好協力相互援助条約)を結んでおり、紛争が起きた際には相互援助を行うことになっていたという。
だがその条約もソ連崩壊後失効、前回プーチン大統領が北朝鮮を訪れた2000年にはより消極的な内容の合意が交わされただけとなっていた。だが、今回新たに結ばれた合意はまさしく軍事同盟と呼ぶのがふさわしいようだ。
『ワシントン・ポスト』紙によると、アメリカを筆頭とする西側諸国は、北朝鮮がロシアに弾薬を供与し、ウクライナでの戦闘を支えていることについて懸念を表明してきた。
弾薬の供与を受ける代わりに、ロシアは北朝鮮に食料や科学技術、経済援助を与え、ひいては金政権の維持を助けることになっている。
アメリカのブリンケン国務長官は、プーチン大統領による北朝鮮訪問は「やぶれかぶれ」であり、「ウクライナに対する侵略的戦争を継続するために必要な物資を提供してくれる国との関係を強固にしようとしている」とコメントした。
ともかく、ふたりの強権的指導者が西側への敵意を軸に手を結んだことは事実であり、ロシアと北朝鮮両国は世界全体からみればますます孤立を深めることになるだろう。